ねっとりと絡みつくように私を撫でる 母の手 家事をしていなかったから 彼女の手は 綺麗なままだった 父は 主婦業を全うしない母を 責めるような事はしなかった その代わり 私が小学校5年生の時 つまり 家を買って一年後 家から出て行った 「新しい女の人と暮らすんですって。酷いわね、父さん。」 母は 大して傷付いていないみたいに言った だけど私は 十分傷付いていた ようするにこれは ドラマや漫画でよく出てくる 離婚……。 あとで知ったことなのだけれど 母と父は入籍していなかった 私は私生児で 戸籍にはただ “女”と記載されているだけ 「そんなこと 気にしたってしょうがないわ。父さんと母さんは一時期愛し合っていた それだけ。その事実が戸籍になくても、それは事実なのよ。分かるでしょう?また人を好きになってそして戸籍に残す そんなことしてたらキリないわ。」 分からないよ、母さん。 何でそんなに人を好きになるの? 一人の人を命を賭けて 生涯をかけて愛する事が 何故 母さんには出来ないの? 普通の人は 普通の母さんは ちゃんと 家事もやるし 子供に寂しい思いなんて させてない 寂しいよ 母さん 施設に入ったほうが 幸せかもしれないよ 母さん分かってよ 私と貴方は 違う人。 [[←RETURN>http://www30.atwiki.jp/bluesky-dreamer/?page=%E2%91%A2]] [[NEXT→>http://www30.atwiki.jp/bluesky-dreamer/?page=%E2%91%A4]]