どんでんチルドレン

オリックスは今期の大型補強で新外国人アジア人選手、
朴賛浩・李承ヨプの二人を獲得したが、
しかし共に年配のベテランで、
実戦でどこまで彼らが全盛期の力を発揮出来るのか
周囲から疑問の声も高かった。また年俸も高額だった。
そして案の定と言うべきか、
シーズン開幕早々、両選手共絶不調に陥り二軍落ち。
李選手は再び一軍に上がって来たものの
未だ打率163の低迷から脱け切れず、
朴選手も始めの先発三連敗から一度一軍登録を抹消された後、
ファームから戻って来て再びの敗戦で遂に二度目の抹消。

朴投手はメジャーで先発のポジションを希望していたのだが、
やはりその年齢を考慮してか、
抑えのポジションばかりで先発での契約が中々得られなかった。
しかしそこを岡田監督が見込み、
チームの先発ローテーションの一員として迎え入れた。
李承ヨプ選手にしてもまた、
巨人を自由契約となった李選手に対し、
監督が彼はまだまだやれると獲得に踏み切った。

未だシーズン途中ながら期待された結果とは大誤算。
しかし今、岡田オリックスというチームにとってそうした、
少し過大評価し過ぎなのではないかと思われる様な人事は
この両外国人選手に限られた、一人や二人の事ではなかった。

かつて千葉ロッテで最多セーブ投手に輝き
メジャー挑戦も果たした小林雅英投手(37歳)。
彼もまた日本球界に復帰し今ではオリックスの一員に。
(巨人を自由契約とされたがやはりオリックスが獲得に乗り出した。
現在、防御率13.5で登録抹消中・・・)

一昨年、巨人からトレードで移籍して来た木佐貫洋投手。
その移籍前年から調子を崩し、オリックス初年度も2桁ながら
10勝12敗で防御率も3.98の成績。
所が何とその木佐貫洋投手が今シーズン、オリックスの開幕投手に。
(エースの金子千尋が右肘手術で出遅れた事も理由だったが)
しかしながらその結果は・・・・・。(登録抹消中・・・)

阪神から日ハムへ移籍した後、二度の戦力外報告を受けた
坪井智哉選手も今ではオリックスにいる。
坪井選手は嘗て岡田阪神二軍監督時代にファームで
教えを受けた事もある関係。
(しかしながら未だオリックスでの出場選手登録は無し・・・)

だからシーズン前、前楽天監督の野村さんが
今年の最下位はオリックスだと言っていたのも、
”そんな人達ばかり取って、それでみんな
期待通りに活躍してくれればいいけど、もしダメだった場合は
大変な事になるよ”という面を心配していたのかも知れない。

しかしこれが、失敗ばかりではなかった。
同じく日本人海外メジャー帰りのビッグ・ネーム、田口壮選手は
41歳にして古巣のオリックスに復帰。
レギュラーとして打率340の大活躍。

また一昨年、一輝選手とのトレードで野中信吾選手と共に
横浜から獲得した桑原謙太朗投手に対し、
岡田監督は「大化けする」と一言。
(六月現在、中継ぎ7試合登板で防御率0.72)

そして昨年、
同じく横浜から山本省吾・喜田剛両選手とのトレードで獲得した
寺原隼人投手。
寺原投手はそれまで故障の多い選手だったが
今の所チームトップの四完投を含む5勝4敗。
チームを最下位から救う大きな原動力に。

さらにその寺原投手とのトレードで一緒に横浜から入団となった
かの”水差し野朗”こと高宮和也投手までが、
やはりこの岡田オリックスで再起の機会を窺っているのだ。

そしてまたそんな彼ら以外にも、
岡田監督の指示にリリーフへと転向した平野佳寿、岸田護の
両投手は岡田阪神時代のJFKの様な存在へと変貌。
それまで二軍生活の長かったT-岡田は一気に
ホームラン王へとブレイク。
同じく二年間で未勝利の西勇輝も今年に入って
プロ入り初勝利から無傷の四連勝を含む5勝2敗の急成長。
エースの金子千尋は17勝で最多勝のタイトルを取った。

岡田監督は元々阪神二軍監督時代から若手育成の評価が
非常に高かったと言い、
自身「二軍で若手が育って行くのが何より楽しみ」と語る程。
勿論それが上手く行く場合もあれば上手く行かない場合もある。
しかし失敗は成功の元などと言われる様に、
始めからダメだと決め付けてしまっては
そこから先の発展や可能性もまた無くなってしまう。
これまでの成果にしても、
それは一重に岡田監督が“与信”という種を事前にあちこち、
バラ蒔いて置けばこその結果だろう。

岡田監督は監督としての実戦指揮では「選手任せで無責任」などと
評されてしまう事が多いのだが、
その采配はともかく、
何れどんでん岡田監督が育てたどんでんチルドレン、
所謂“どんチル”達が、
彼らの力でチームを下位から上位へと押し上げて行くのではないか。
最終更新:2012年01月07日 16:58