<p>A:引き受ける</p> <p>「引き受ける。ここで断ったら、男が廃るってもんだ」<br> 「ほ、本当に良いのですか? もしかしたら、命を落とすかもしれませんよ?」<br> 「ッハ、今更惜しむような命じゃない。それに、美羽や美優を置いて死ぬかってんだ。<br> どうせこのまま手こまねいてても世界が壊れちまうってんなら、少しでも抵抗してやるさ」<br> 「―――ありがとうございます。ヒロトさんなら、そう言ってくれると信じていました」<br> 「まぁな。さって、んじゃさしあたって体力作りでもしようかね。ユリアさんも参加する?」<br> 「え、な、何故でしょう?」<br> 「だって、ますいんじゃないの? 風呂場の声、聞こえてた」<br> 「も、もう。ヒロトさんは、時にいじわるです」</p> <p> ハハハ、と笑い声が風に吹かれて飛んでいく。<br> その声はどこまでも遠く、世界さえ超えていくような、そんなことを予感させる夜だった。</p>