
| 製作者 | F.P. |
| 出場大会 | 第六回大会 |
設定
彼は、幼い頃から、人が何を思っているのかが何となく分かったり、
動物や虫、植物、鉛筆や石ころなど、あらゆるものの「声」を聞くことができた。
そのためか、彼は何に対しても慈悲深く、愛情深く、優しい人柄へと成長した。
それと共に彼の能力も強まり、相手の「声」を聞くだけでなく、自分の「声」を相手に伝えることもできるようになった。
そしてその能力と共に、彼は菩氷学園へと入学した。
そこにいる人達は、今まで出会った人とは全く異質で、しかし素晴らしい人ばかりだった。
そんな人達と接する内、彼の内気な性格も少しずつ変わっていった。
友達も少しずつ増え、時にはいじめられることもあったが、調停委員が守ってくれた。
三年生に進級したとき、悪夢が始まる。
この年に選ばれた調停委員は学生だった。
その学生は、調停委員に任命されると、こう言った。
「月に一度、クラスの中で必要ではないと思う人に投票しよう。
必要ではない人に選ばれた人は、この世から消えてもらおう。」
味方だと思っていた調停委員が、牙を剥いた。
彼は戦慄した。自分が「必要ではない人」に選ばれない自信など無かった。ましてや、それを一ヶ月に一度だ。
彼は、クラスの人の心を読み、投票先を調べ、なるべく自分の票が死票となるようにした。
それと同時に、クラスの人から投票されないよう、精一杯の振る舞いもした。
だが、彼の優しすぎる性格では、出来ることなど些細なものだった。
卒業を目前に控えた2月、彼は選ばれてしまった。
死の宣告を受けた彼は、どこかも分からぬ森の中へと連れて行かれた。
周りを見るとそこら中に、焼け跡と灰と、人の骨があった。
目の前には、自分よりも一回り大きな丸太が立て掛けられていて、その足元には藁や薪が置かれている。
そして彼は、その丸太に縛り付けられた。
いやだ。
彼は理解した。これから自分がどうなるのかを。
「必要とされない人には、それ相応の罰を与えないとね。」
足元に火が灯された。
火はゆっくりと、彼の足へ、身体へと広がり、彼を灰へと変えてゆく。
死に値するほどの苦痛だった。
それでも彼は願い続けた。
死にたくない―
どこからか聞こえてきたチャイムで、彼は気が付いた。
そこは、あの時の森の中だった。
僕は死んでいなかったのだろうか?
答えが欲しかったのか、彼は無我夢中で、チャイムの音が聞こえた方向へと走った。
果たして彼は、菩氷学園に辿り着いた。
もうほとんどの学生が下校したようで、静まり返っていた。
彼は導かれるように、自分の教室に入った。
自分の机には教科書が入ったままだった。あの時と何も変わってはいなかった。
しばらく彼は、魂が抜けたように立ち尽くしていた。
教室に、誰かが入ってきた。
振り向いて見ると、その人はクラスメイトだった。その人も、あの時と変わってはいなかった。
クラスメイトと再会して、彼は、ようやく帰ってこれたと、そう思った。
だがその時、彼はその人の「声」を聞いてしまった。
『化け物だ』
その人は叫びながら教室から飛び出した。
どうして。
彼は、追いかけようと廊下に出た。
その瞬間、足を止めた。
目の前の窓に、自分の姿が映った。
そこに彼の姿はなかった。
代わりにあったのは、あの時焼け残った骸骨だった。
顔も、手も、足も、焼き尽くされたそのままの格好だった。
こんな姿では、死んでいるのと同じだ。
どうして。
クラスから必要ないと言われ、焼き殺され、こんな姿にされ、化け物だと言われた。
どうして。
あんな規律さえなければ
調停委員さえいなければ
クラスメイトさえいなければ
こんな学園にさえ入らなければ
こんな学園さえ、なければ。
もはや彼は、かつての彼ではなくなっていた。
彼は、菩氷学園に復讐する決意をした。
【イニシャル:Y.H.】
菩氷学園3年生。調停委員の作った規律によって焼き殺されたが、
焼け残った彼の骨が、彼の「死にたくない」という思いに応え、動く骸骨として生き返った。
そして、菩氷学園を崩壊させるために調停委員に立候補する。
【身体】
彼の身体は浮いたような状態になっており、骨同士はほとんど固定されていないので、単純に衝撃を与えても受け流される。
骨同士は人間の形を保とうとするので、お互い離れてもすぐに人の形に戻る。
またそのため、骨を飛び道具のように投げたり飛ばしたりすることは出来ない。人間の形のまま空中に浮くといったことは可能。
基本的に彼の「思い通り」に動く。
彼の意志が強ければ彼の身体も力強く動き、彼の意志に揺らぎがあったりすれば、それは身体の動きを鈍らせる。
しかし、身体はある意味彼から独立しており、背後からの攻撃や不意打ちなど、危険だと判断した場合は彼の意志に反しても動く。
本当は、彼に復讐なんてして欲しくないと思っている。
【能力】
あらゆるものの「声」(人でないもの、生きていない物体も含む、相手の心)を聞くことができる。
また、自分の「声」を相手に伝えることもできる。
自然と聞こえたり伝わったりするのではなく、意識することによって能力を行使する。
この能力によって、人や動物の思考を読み取ったり、落とし物に持ち主を聞いたりすることができ、
食べ物の味の感想といった、言葉にしにくい曖昧なものまで感じ取ることができる。
しかし、「心を読まれまい」とする相手や、それに相当するほどの非常に強い敵意のある相手の「声」は聞くことができない。
逆に、強い意志は意識しなくても聞き取ってしまう。
○How to use(ハウ・トゥ・ユーズ)
物体のどこが脆くてどこが強固なのかを物体自身から聞き出し、
鉛筆で石を砕いたり、布で剣を受けるといったことが可能。
しかしあくまでも物体の利点欠点を最大限に活かすことができるだけ、つまり、
「当たりどころが良かった、悪かった」の範疇内で物体を使いこなすだけである。
○Grieve(グリーヴ)
相手に自分の受けた苦しみをぶつける。
精神の弱い者には到底耐えられない。
彼自身にも精神的なダメージが及ぶ。
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