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この妖怪、泥潜みのルーツは千年ほど前に遡る。
元々は子供が遊びで作った泥人形が長い年月放置される事により生まれる妖怪で、
沼や水たまりの中から人間の足を掴んで、ちょっと沈めて驚かせる。
そんなチンケないたずら妖怪だった。
しかし長年、沼の底で人間を見ていた泥潜みは、いつしか人間に強い憧れを抱いていた。
「ボクモ、ニンゲンニナリタイ」
泥潜みは泥で人間にそっくりの体を作り、人間になりきる事にした。
それを見ていた他の泥潜みも、真似して人間の振りをし出した。
泥潜みはどんどん精巧に人間の体を真似た。
泥とは思えぬ褐色の肌。泥とは思えぬ四肢の動き。
泥潜み達が人に憧れて二百年が経った時、泥潜み達は完全に人間社会に混ざり込んだ。
そして更に三百年後、泥潜みは自分達が泥潜みであることを忘れていた。
信じられない事に長い年月を人間として生活した事で、彼らは自身を完全に人間だと思い込んでいたのだ。
思い込みとは恐ろしいもので、本来泥人形で痛みを感じないはずの泥潜みも、交通事故などであっけなく死んだ。
「人間なら死ぬはずだ」本能がそう考え、体を殺すのだ。
泥潜みが好意を持つ相手は、なぜだか数多くいる人間の中に混ざる泥潜みに対してだけだった。
なので彼らはごく自然に人間社会の中で、無意識に泥潜み同士で繁殖し続けたのだ。
そして平成の世、泥潜みは既に数十万という数に膨れ上がっている。
しかしその事実を知る人間はおろか泥潜みは一人もいない。
しかし一人、人間社会をずっとどこかで懐疑的に見ていた少年がいた。
人間、両親、全てが嘘くさく映る。何かが違う、僕とこいつ等は。
そして彼は気付いた……いや、思い出してしまったのだ。
自身が妖怪で、人間ではないということ。
「僕は、泥潜みに戻りたい」
泥潜み達が人間に憧れたのとは真逆に、彼は泥潜みに強い憧れを抱いていた。
偽りの自分で生き続ける事は彼にとって我慢できない事であった。
そして彼は決めた。
泥潜み全員に思い出させてやろう。
僕達は人間ではなく、妖怪だと。
それこそが僕が自分を偽らないという事だ。
彼はとても自己中心的であったが、それを自身の使命だと思い込んでいた。
最も衝撃的な方法で、同胞達の偽りの妄想を全てひっくり返す。
……百鬼夜行だ。
自身が妖怪になった事で世界の見方はガラリと変わった。
今では上ばかりを眺め、暗がりに導かれるようになった。
そこで密かに話される、平成の百鬼夜行。
僕が妖怪達の先陣を切って、下界に向かってこう叫ぼう。
「人間ごっこはおしまいだ、同胞よ」と。
彼が百鬼夜行の先陣を切れば、各地に散った泥潜みが自らを妖怪だと自覚し、
泥潜み達、そして人間界にまたとない混乱が訪れるだろう。
彼はそれを望んでいる。
【少年】
自身が泥潜みだと気付いた時に捨てた。
なので彼は少年、または泥潜みと呼ばれている。
冷徹で利己的。
目的のために手段は選ばず、例え肉親であっても容易に殺すだろう。
常に水筒を持ち歩いている。
泥潜みは一掬いの水があればそこに潜り込む事が出来る。
少年は戦闘の際、それを周りに撒くことで自身の有利なフィールドを作成する。
◎能力◎
泥潜みは水深10cmにも満たない水たまりの中にも潜む事が出来る。
この時、質量は完全に無視されるが、誰かを連れ込む事は出来ない。
防御としては絶大な力を持つが、これを攻撃に転じる事は出来ず、足を引っ張って驚かす程度の事しかできない。
泥潜みは本来は泥人形であるため、多少の損傷は泥を塗り固める事で補修が可能。
しかし本来の泥人形サイズ(10cm程度)以下に木端微塵にされると誰かが拾い集めてくれない限り、動けなくなる。
自身の泥で相手を覆い、相手を窒息させる。
または覆っている泥で相手の行動を制限、操作出来る。
泥潜みが操る泥は想像以上に頑強で、成人男性程度では振りほどけない。
振りほどけたとしても流動性のある泥は、容易に再びまとわりつくだろう。
基本的に攻撃向けではないが、防御や持久戦にはめっぽう強い性質を持つ。
補足
最終更新:2014年10月21日 11:03