アットウィキロゴ

烏瓜 天花(からすうり あまは)

 

 

 

製作者 皐月あや 
出場大会 第8回大会 
経歴 一回戦ドロー(試合後帰宅) 

 

 

 

 

設定

お金が足りない。
それが目下の悩みの種だった。

世界のどの国よりも科学が発達した科学都市。
その片隅に、一軒のひなびた料理屋があった。
店の名前は『からすうり』。
炉端焼きなどもやる、居酒屋のような店だ。
主人の菫、女将の天花、夫婦二人で切り盛りしていた。
こじんまりとした店内には、囲炉裏がひとつ。
人は奥にある座敷を含めて20人入れるかどうかというところで、
おしゃれや流行、科学からもかけ離れたこの店が、
なんとかやってこられたのは、主人菫の努力が大きかった。

だが、科学タワーに雷が落ち、能力者が次々と生まれた日、
菫も能力者となり、その後突然姿を消してしまった。
天花は帰りを待ちながら、一人で店を開け続けた。
しかし、それもそろそろ限界だった。
なぜなら彼女は、とんでもなくドジだったのだ。
人当たりは良い。料理も(無事作り終われば)うまい。
が、皿を割る、料理をひっくり返すのはザラだった。
ひどい時は料理を渡す掘返べらで、お客の頭をぶっ叩くことも。
そんなこんなで、まともにご飯にありつけないこの店からは、
少しずつ客足が遠のいた。

めげることはなかった。
天花は楽観的であり、そしてここぞという時は粘り強かった。
店は絶対にたたまない。
けれど、収入が減るのでは物理的にどうしようもないことだった。


「能力者を集めてトーナメント戦をやってるらしい」
「賞金がしこたま出るってよ」
ある日、お客がそんな話をしているのを耳にした。
「そのお話、詳しく教えて頂けませんか!」
思わず食いついた天花に、相当危険だと、お客たちは口を揃えて言った。
それは勿論分かっていたが、聞いてすぐに、行かなければと思った。
実は、科学タワーの事件の日、能力者になったのは菫だけではなかった。
天花もまた、能力者となっていたのだ。


《ドジ属性を強化・引き出す能力》


これが天花の得た能力だった。
菫の能力は、まるで超能力者のようなものだった。
対して自分の能力は、本当に能力者になったかどうかも怪しいもの。
役に立つとは思えない…と、思っていた。
だが、使いようによってはあるいは。
あるいは優勝を狙えるかもしれない。
賞金をしこたま貰えるかもしれない。
そして何より。

「行けば菫くんが見つかるかもしれない」


火の元よし、戸締まりよし。
立てかけられた掘返べらを手にし、天花は店の扉をくぐる。
そして、休業中と書かれた紙を、入り口にぺたりと貼り付けた。

(ついでにお店の宣伝もしちゃおうかしら)

そんなことをぼんやり考えながら、トーナメント会場へと足を向ける。
そして何もない道で躓き、盛大に転んだ。
波乱の幕開けの予感がする…。
そう思い、天花は苦笑いするのだった。


・技について

天花は試合開始直後から、自分のドジ属性能力を上げます。
自分のドジ属性については、継続的に上げ続けられます。

◆三枚おろし

手元が狂った包丁で相手を切りつける。
鋼鉄をも切り裂く。
足を滑らせることとの合わせ技で、大体のものは
切れるほどの威力までになる。
ただし、合わせ技の場合は攻撃後に体勢を整えなくては
ならないため、若干の隙ができる。

◆掘返べらの鉄槌

トゲトゲ付きの特製掘返べらを
フィールドで躓いて思い切り相手に叩きつける。
鋼鉄をも砕く。
トゲトゲは超強力ボンドで後付けされているので、
ある程度使用すると少しづつとれて威力が下がる。
まっ平らな状態では岩を砕く程度。

◆バーテンのものまね

ご近所にできたおしゃれバーに対抗する技。
いくつかのリキュールを混ぜ合わせると…
限りなく100%に近い形で失敗する。

・大失敗

なぜかお酒が爆発する。
その爆風によって、相手の攻撃を防ぐ。
(接近していれば相手を吹っ飛ばす、飛び道具なら風ではじくなど。
または煙幕効果としても使える)

・大成功

この世のものとは思えないほどの美酒の出来上がり。
どうぞ一杯やってくださいな。

◆天花にダメージを与えられない!

相手の潜在ドジ属性を限りなく高めて、攻撃をミスさせる。
攻撃の不発のみ、もしくは失敗した上ダメージを与えることもある。
(拳銃であれば暴発してダメージを食うなど)
相手のドジ属性を上げるのには
自分の能力を上げるよりも負担がかかるので、
使用できるのは3時間に1回程度。

 


◆以下は裏話、烏瓜 菫(からすうり すみれ)についてです。
 

戦いは一度だけのはずだったのだ。
そして、家に帰るはずだった。

世界のどの国よりも科学が発達した科学都市。
その片隅に、一軒のひなびた料理屋があった。
店の名前は『からすうり』。
炉端焼きなども作る、居酒屋のような店だ。
主人の菫、女将の天花、夫婦二人で切り盛りしていた。
こじんまりとした店内には、囲炉裏がひとつ。
人は奥にある座敷を含めて20人入れるかどうかというところだ。

だが、この店にはもう一箇所、秘密の部屋があった。
店内から手洗い前を通り、奥座敷へと続く通路。
その間に、巧妙に隠された小部屋が2つ。
そこでは時々、正義のために戦う組織の者たちが、
地下深くに眠る黒い組織の者たちが、
密談を交わしていた。

なぜそんなことになったかと言えば…単純な話で、
菫の2人の親友が、それぞれ表裏社会のある組織に通ずる
幹部クラスの人間であったからだ。
都市の片隅にある、流行らない店。
そして親友である店主の細やかな配慮。
それが、この店を密談に使う理由だ。

店の部屋は提供する。
だが、それ以外の事には一切関わらない。
それが、親友たちへの絶対の約束だった。

その約束が崩れたのは、科学タワーに雷が落ちたあの日の後。
次々と現れる能力者たち。
その能力者たちにより、1人は殺され、1人は行方が分からなくなった。
報告は、彼らの部下がしてくれた。

(もう、あの部屋は必要ないかもしれないな)

部屋の予約は親友から直接し、また同席しているうえで
利用すると決めていた。
その2人がいなくなった今、もうあの部屋を使うことはない。
 実際、報告後に密談部屋使用の話は持ちかけられなかった。

しかし、ある日突然、表社会の親友の部下が訪ねてきた。
「奥様が能力者と伺いまして」
心臓が跳ね上がる。
―どこでそれを。
「うちの奥さんは、ちょっとドジなだけですよ」
そのドジに、拍車がかかっていることには、うすうす気づいていた。
雷が落ちたあの日からだ。
「私の間違いではないですか?」
「烏瓜さんが?」
そして菫もあの日以来、手の平から雷を作りだせるようになっていた。
実際に、作ってみせる。
「ならば話が早い」
一試合でいいのです、能力者の査定試合に出ていただきたい。

不用意に言った一言を後悔した。
断ることはできる。
親友たちと、部屋を貸す以外のことには関わらないと
約束していたのだから。
しかし妻は、小部屋のことも知らないのだ。
親友たちが来た時は、大事な客で自分が相手を
するからと言っていた。
断った後、もし直接妻に話しかけらることがあったら…
妻は単なる一般人だ。
危険な目には合わせられない。
自分であれば、多少の武術の心得はあった。

「…わかりました」

条件を二つ出した。
ひとつは店が休みの日であること。
もうひとつは、その一試合が終わった後は、
今後一切そのような話は持ちかけないようにすること。

相手は了解した。
「では、また後日」


店の休みの昼下がり。
「まぁさん、ちょっと出かけてくるよ」
店の中へひと声かけると、はあいと奥から返事が返ってきた。
どうやら掃除に夢中のようだ。
今日は良く晴れて、暖かい。
扉という扉、窓という窓をあけられ、店も大きく深呼吸しているようだった。
「夕方には帰るから」
「気をつけてね」
囲炉裏のわきから、天花がちょこっと顔をのぞかせる。
「まぁさんも、かえって散らかしたりしないように」
言うと、妻はぷくっと頬を膨らませた。
直後、2人で笑いあう。
「いってらっしゃい」
「いってきます」

必ず帰るから。
だから何も言わずに家を出た。

帰るはずだったのだ。

だが。

一試合と言われたその戦いで致命傷を受けた菫は、
組織に拾われ、まだ目を覚ますことなく眠り続けている。
妻が客を装った裏社会の人間に、
トーナメントにでるよう仕向けられたのにも気付けぬままに。

 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年05月24日 00:23