ノア

 

 

製作者 浅祈 
出場大会 第八回大会 
経歴  

 

 

 

 

設定

僕は、僕の名前は……すまない……思い出せない。

あの日…雷が落ちた日・・・僕は確か科学タワーで治癒の研究していた。
僕の担当は酸素カプセルにおいて治癒力の向上や治癒速度を早めるなどといったことで
その日も熱心に研究していた。

雷が落ちた瞬間に生まれた膨大なエネルギーは、研究室にある様々な機器を介し、機器は暴走・・そしてそのまま僕の身体を通った

―――――僕は気絶した。

何時間経っただろうか、僕は徐々に意識が戻り目を開けようとしたがいくら目を開けようとしても目が開かない
パニックになった。だったら起き上がってみよう、僕は手を床に行こうと手に力を入れようとする
が、力が入らない。

目も開けられない!手も動かない!!力が出ない!!!!!なんで・・どうしてなんだ!?!?!

 


もう疲れた……僕は考えるのをやめ意識を手放した。

 


なんだかふわふわする……宙に浮いているみたいだ……
すごい気持ちがいい……天国なのか……
もう一度家族に……妻に……息子に会いたかった……

 

諦めかけていた僕は急に意識が覚醒した。
気付いたら僕は宙に浮いていたんだ

でも手がない、足もない・・身体がない
辺りを見てみようと、身体っていっていいのかわからないが身体を動かしてみた
床には僕が着ていた服がある、身に付けていた物すべてだ。

落ち着け落ち着くんだ……
まずは自分の姿を確認しよう、そうだ話はそこからなんだ
鏡……鏡で見てみよう、見たくない気もするが。

しかし移動するのにあたり宙に浮いているせいか、上手く移動できなかった
壁に激突したり頭上から何か落ちてきたが、それは自分がもう人間じゃないということ知らしめてくれた

 


〝全く痛みを感じないのだ〟

 

人間じゃない……もう人間じゃない。鏡で自分を見なくても分かる 僕はもう人間じゃないんだ。
じゃあ何なんだ?いったい僕はなんだ?
途方に暮れる中、すれ違った研究者のタバコの火が身体に付いた途端、爆発した。

 

あぁ……なるほど……僕は酸素になったんだ。
おそらく研究室にあった酸素の機器から伝わったエネルギーが原因だと思われる。
これが僕の新たな始まり。孤独。


それからの僕は家へは帰らず今後一切近づかない決心をし
以前自分が研究していた一部である酸素をどう使いこなそうか考えていた。
爆発や治癒……酸素中毒など出来ることはたくさんある
人間ではないが自分は生きているし……生きたい。まずはそれらをマスターしなくては…………。

 


とある日のこと、噂の能力者査定試合を空から文字通り高みの見物。
僕が酸素だからできることだ。だがちっとも嬉しくはない・・・なぜか?
人と言葉を交わすことも、触れ合うことも出来ないからだ。

だがしかし、眼下には自分の体で戦い血を流し言葉を交わす僕とは違う能力者たち。
僕とは違って触れたい相手に触れることができる、言葉を交わしたい相手と言葉を交わすことが出来る。
戦いなんて興味がない。ただその事だけが凄く妬ましい…妬ましい妬ましい……


今戦ってる能力者共はみんな死ねばいいのに。そう思った


そうだこの会場の酸素を操作して、集団中毒に出来ないか?僕は考えた。
思い切って意識を集中させる

だめだ、まだまだ力不足らしい。
僕は決勝戦を前にしてその場から離れた
もっと上手く使えるようにならないと・・・。


**************

よし、成功だ!
街のはずれのスラムにて酸素の実験をした。
人殺しはしたくないが、やむを得なくスラムの人間で酸素中毒や治癒を試した。
ただ酸素爆発だけは無理だった。爆発させるために高濃度に変えることは容易いが、何より火種がない
酸素である自分が火種なんで到底無理な話だった
ライターが使えればいいのだが……手がない僕には出来ない。
もっと考えなければ。

僕はそれからというものの、スラムの人間で実験を繰り返した。
スラムの人間が話していたが、今度裏で能力者同士が戦うトーナメントがあるらしい。
これは出たい、以前見た査定試合みたいな戦い 僕もそれがしたい。
そう思い出して、今以上に実験に夢中になりだした頃、僕が力を使うたび、大切な何かが僕の思考から少しづつ消えていくような妙な感覚に陥る。


あれ……僕が人間だったときは何をしていたんだっけ……?


僕の両親は……ううう、思い出せない……顔も声も名前も…………。

*****************


急激に襲ってくる喪失感に、僕は今まで避けていた自宅へと向かうことにした。
このまま力を使い続けると家族の事すら忘れてしまう可能性がある。


だから一目会いたい。
言葉を交わせなくても 体に触れることが出来なくてもただ会いたい

そして自宅玄関前・・・ぼーっとしていると急に扉が開く


「パパ……!!??パパ?ねぇ……居るんでしょ!!??」

息子……大きくなったな。

(パパはここにいるよ・・・君には見えないだろうけどちゃんとここに居るよ)

声なんて出ないから会話できるはずがないが僕は息子の問いかけに答えた


「……!?パパ!!!そこに居るんだね!!おかえり!!!!!」

 

息子は僕の方を見てそう言った。
開いた口が……口はないが開いた口がふさがらなかった


(パパが言ってることわかるのかい?)

「わかるよ!!」

(なんでだい?)

「わかんない!でもわかる!」

僕の息子は能力者なのか?わからない。
息子は涙目になりながら話はじめた

「パパ……ママがね……ママが毎晩パパの事さがして……おかねもなくて……すごい死んじゃいそうなの……パパ助けて」


(パパはママとキミに会いに来たんだよ……だから助ける。)

 

「嬉しい!パパ!ありがとう!!!!ママー!!!!パパだよー!!!!!」


家の奥から物音がした。
僕は意を決して家の中に入り込む
なんだか懐かしい気がした……これが僕の家だったんだ。

「あなた!!!???」

(僕の声が聞こえるかい?頼む聞こえてくれ)

妻は寂しそうに周りを見渡し涙を溢す

「嘘つかないで頂戴、ママをからかって楽しいの……?ママは貴方よりパパに会いたいの……ッ」

妻は息子に向かって消えそうなくらいの声で言った
その姿は以前とは違い痩せ、フラフラし頬もこけ、いつも泣いているのがすぐわかる目の充血
僕は胸に穴が開いたみたいに苦しくなった。

(僕のせいでごめん……色々あって実体じゃないんだ)

そう息子に向けて言った 息子は妻に向けて私の言った事を繰り返し言う

「僕のせいでごめん、色々あって実体?じゃないんだ、ってパパが言ってるよママ」

「えっ……?」

「僕、パパの声聞こえるんだ・・なんでかわからないけどパパはここにいるよ」


動揺する妻に向けて精いっぱいの愛情を込める

(苦労させてごめんな……抱きしめたり話すことは出来ないけどお前を癒すことは出来るよ)


この前感じた喪失感から自分の力を使うことを避けていたが大事な妻の為、僕は酸素を濃縮しそれで妻を包み込む

(理解できないと思うけどこれが僕の力なんだ……今、お前を酸素カプセルの状態にしてる。だからじきに元気が出るさ)

息子が一生懸命僕の言葉を妻に伝えてくれる。
妻は溢れてくる涙を拭うことはせず、自分を抱きしめ呟く

 

「これは……あなたを抱きしめているのよ……」

 

僕は……僕がこの世に存在してる以上、この二人を守らないといけない
喪失がなんだ、もう体も失い声も失い記憶も失いかけてるではないか。
今更何を恐れる、妻を息子を失うより数億倍ましだ

僕は決めた
あの裏のトーナメントで優勝して、得たお金があれば今みたいに苦労はしないだろう
弱い抵抗できない人間を殺すとは違う……全力で挑まななければいけない
色んなことを喪失するかもしれない。自分が消えてしまうかもしれない。
だけどもう迷わない。


(息子よ……力を貸してくれないか?)


***************************************

 


名前:???(不明)
年齢:29歳
能力:酸素を操る

 

>>爆発<<
酸素を高濃度に変えることで火種さえあれば大小強弱関係なく、爆発させることができる
発火物質と火種両方を兼ね添えている使い捨てライターで着火をする。
ライターは息子が複数所持、着火する
息子の安全を考え、爆発対象物までの高濃度酸素の道を作りその上でライターで着火
その結果離れた場所から爆発させることができる

>>中毒<<
酸素圧を変えることで相手を中毒にさせ中毒になった人間は痙攣や呼吸困難 胸の痛み 網膜の剥離になる
主に相手の行動を制限したいときに使う


>>酸化<<
金属と酸素が結びつくことで金属製の物は錆びて切れ味を失い使い物になら無くなる
もちろん金属以外には効果がない

>>猛毒<<
酸素が紫外線と結合することにより強い毒性を持つオゾンへと変換する。
その毒を吸うことで、目や呼吸器を刺激され酷くなると呼吸ができなくなり麻痺を引き起こす

屋外では使用は比較的容易いが、室内になると蛍光灯や電球、LEDからは少しの紫外線しか放出されないため
精密な酸素操作が必要となるので多用は出来ない


>>治癒力上昇<<
大気中の酸素の気圧を変えて濃縮し、負傷した箇所に当てることで負傷した部位が回復する
ただし重い傷や内臓などの場合完全に回復するのにはそれなりの時間を要するが、切り傷や銃創などの類は瞬時とはいかないものの数時間で回復する
分かりやすく言えば酸素カプセル。 治癒中は動けないというわけではなく特にそういう制限はない

 

 

【息子】
名前:ノア
年齢:11歳
体重:34キロ
身長:149センチ
性格:温厚で家族思い

体力そのほか諸々人並程度。
自分しか父親の声が聞こえないのを理解し、トーナメントがどんなものか知った上で父親の役に立ちたいがために協力し
実体がない父親の代わりに、自分の名前でトーナメントにエントリーする。
使い捨てライターを数十個ポケットに持っている。

 


補足

 

 

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最終更新:2015年05月16日 21:51
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