
| 製作者 | 雪村 |
| 出場大会 | 第十回大会 |
| 経歴 |
設定
【名前】ライズ・ヴェルデ
【年齢】21歳
【職業】アイドル/役者
――青年は この世の正しさが嫌いだった。
美しさが嫌いだった。
まるで自分だけを取り残すかのように
緩やかに 平穏を取り戻していくこの世界が
壊したくなる程 嫌いだった。
【ある少年の語り草】
『ひとつ、とある一人の少年の話をしよう。
あはは、そんなに長い話じゃないですよ。
どこぞのバカそうな女が自慢げに話すファッションの話よりは薄っぺらなお話ですって。
で、そのとある少年っていうのはね、それはまぁ貧しい貧しい貧困街の少年でさ。
明日食う物も満足に用意できない馬鹿な男女が、人の三大欲求のひとつだけはしっかりと満たしてしまったが為に生まれてしまった子供なわけ。
当然、少年の生きていた世界じゃそんな『モノ』はすぐにでも燃えないゴミに出されてハイおしまい。ってなるのが常だったんだけど、この少年はいささか事情が違った。
そう、違ってしまったんだよ。
…少年はね、それはそれは美しい顔をしていたんだ。
その美麗さは幼くてもわかる程で、まるで少女のように美しい少年だった。
だから少年は売られた。
肩書きだけ両親と名乗る男と女によって、2ヶ月もすれば手元から消え去るであろう札束と、高い1本のワインと引き換えに。
売られた先は、それはまぁ酷いもんだった。
そもそも誰が死のうが生きようかなんて関係のない街から、わざわざ女顔の男を買うぐらいだ。
いくら察しの悪い人間でも分かってしまうぐらいの、まぁ、そんな感じの売られ先。
ここであそこでの生活の全てを言い表すことができないのが残念なぐらいの有様だったよ。
けれども、哀れ健気な少年は、幼いながらにこの地獄を理解して、そして生きるため地獄の全てに耐えた。
そして何年も耐え続け、けれど次第に壊れ始めた少年がようやっと青年へと成長した頃のことでしたよ。…貴方も知っているでしょう?
――そう、『科学タワーへの落雷』
その日、その瞬間、神様っていうのは実に気まぐれで意地が悪く、そしてなんて慈悲深いお方なんだと少年はただ一度だけ強く思ったそうな。
そして気がつけば白いベッドの上で豚のように息を荒げていた『ご主人様だったもの』は一時的な少年の声と引き換えに口から血を流して息絶えていた。
壊れきることの出来なかった青年は、壊れきれなかった故に自分に覆いかぶさるそれを殺したんだ。
それからは早かった。
屋敷の金目のものを手当たり次第に詰め込み、服を整え、屋敷を出た。
久方ぶりに出た街は大混乱の最中だったが、まるで今からピクニックにでも行くかのように、青年は血と悲鳴の中を歩き、そして思った。
嗚呼、なんだ、外に出たところで所詮この世は地獄なんだ。と。
人も、景色も、感情も
汚れているのは自分だけじゃなかったのだと。
地獄に住んでいたのは自分だけじゃなかったのだと。
そくぞくと体中を駆け巡る希望にも似た感覚に、まるで舞台上にいる時のように、両手を広げながら高らかに謳いだしたい気分だった…………
…………
………
……って、えっ!?ちょっと、な、なに顔真っ青にしてるんですか?
…へっ?これ僕の話じゃないかって?
ちょ!!勘弁してくださいよ!!なに真剣になってるんですか!これ、今度やる舞台の役の話ですよ!そう、役の話!まぁ、狙って話した感は否めないですけど…へへっびっくりしました?
……あああ、怒らないでくださいよーからかってすみませんでしたって!っていうか、自分で言うのもなんですけど僕これでもれっきとした今をときめくアイドルなんですよ?!僕がこんな過去持ってたら今更マスコミも大騒ぎですよ!
……そう、大騒ぎなんですよ。』
【ある男の説話】
『あれは科学タワーの落雷があって1年後…ちょうど査定試合が終わってすぐのことだったか。
俺が「ライズ・ヴェルデ」っていうバケモノをスカウトしたのは。
…あぁ、スカウトってのはちょっと違うな。
「能力を使い人を殺しながら生きてきたことを、対能力者部に通報されたくなければ協力しろ。」
なんて、こんな言葉スカウトと言うには程遠いってもんだ。
まぁ、そんな感じで当時落雷の置き土産みたいな気持ち悪い能力使って、治安の悪い路地裏でやりたい放題やっていたバケモノに声をかけたってわけよ。
俺だって怖くなかったわけじゃねーよ?俺ただの一般人だし?でもその時の俺は死ぬとか殺されるとかどうでもいいぐらいに切羽詰ってたしよー、藁にもすがる思いだったんだ。
で、結果あいつがなにを思ったのかは知らねーが交渉は成立。
対能力者部とかいう厄介な組織に拘束されるのと、目の前にいる胡散臭い男に着いていって上手く止まり木にするのとを天秤にでもかけてこっちにでも傾いてくれたのかねぇ?なんにせよ俺にとっちゃ好都合だったよ。
んで、言葉数少なく頷いたそんなあいつに俺が命じたのは実にシンプル。
「その能力を使ってこの傾いた事務所の借金と経営をなんとかしろ。その為の邪魔者は全て消せ。」ってな。
元々「人」を「使い捨て」のように扱っていた俺の事務所はさぁ、投資した金とは裏腹にどんどん経営が傾いていっていたんよね。
おかしな話だよなぁ、雇い主は俺なんだからその俺に雇われて顔と身体売ってる人間は商品以外の何者でもねぇのに、理不尽な話だよ全く。
んで、そんな折にこのバケモノの噂を聞いて一か八か交渉を持ちかけたってわけ。
…あいつは有能だったよ。
なんの迷いも躊躇いも無く、頭を使い、身体を使い、人を使い、人を騙し、人を殺す。
しかも容姿もいいときたもんだ。
表の世界ではあいつのことを「査定後に急に現れたアイドル」なんて言われているが何のことはねぇ。
そんなもんは金づる相手の懐に潜り込みやすくする為だけの地位で、俺に言わせりゃあいつ自身も売りもんにもなって一石二鳥ってやつさ。
そんなこんなで、あのバケモノ様のおかげで今やこの事務所は傾いてた過去もなんのことやら。立派に大手芸能事務所にランクアップってな。
まぁ、「芸能事務所」っていうよりは今はもう「犯罪組織」って呼んだほうが正解かもしんねぇけどな。
でもそんなことは関係ねぇ、何よりこんなご時世だ。
何やったって、どこで誰が死んだって、儲かればいいんだよ、儲かれば、な。』
【ライズ・ヴェルデという青年】
歌よりも舞台や芝居といったほうが得意という変わりものアイドルで、中世的で端麗な容姿と、見るものを引き込んでいく演技に若い世代中心に人気のある青年。
また、人当たりもよく爽やかで謙虚さもある彼のその性格は、同業者やスポンサーからも非常に好感を持たれている。
……と表向きではなっているが、裏では事務所の言うままに能力を使い、息をするように嘘をつき人を陥れるのを主としている青年。
表向きの顔は全て「アイドルとしての演技」で、素のライズはどこまでも偏屈で残虐、そして全てにおいて「信じる」ということができない。
それもこれも屋敷に売られてから今まで「人間の負の部分」に関することにしか能力を使ってこなかったからであり、人はみな自分と同じように闇を抱えた薄汚れたクズだと思っている。
その為、自分とは正反対な「人間の良の部分」を真っ直ぐに信じているとあるミュージシャンを反吐が出る程嫌悪していて、いつかあの偽善者の金髪は殺してやろうと心に決めている。
自分が見ていた薄汚れた世界こそ正しい世界の姿だと思いこみ、自分と同じ薄汚れた人間たちを堕としていく事で快楽と安心を得て「自分という存在」を肯定してるため、自分の居場所を奪うように再び平穏が訪れようとしているこの科学都市に嫌悪感を抱いていた。
しかし、今回のクーデターが起こったことにより、再びこの都市を元の汚れた世界に戻すことができるチャンスではないかと人知れず囚人側に付く。
またライズ自身、表面的には「自分の居場所である薄汚れている世界」を奪われたくないとそう思っているようだが、
心の底では、こんなにも汚れきった自分を作ったこのクソみたいな世界が、一人素知らぬ顔して平穏を取り戻そうなんて絶対に許さない。という思考が深く根付いている。
この戦争が終わった後、またこの薄汚れた世界で変わらず生きていく為、ベールの付いたハットを深く被り、口元を隠す黒のマスクと着用し正体を隠している。
【能力/真実の口(おおうそつき)】
表向きは『口に出したことが本当になる能力』
けれど本当は『相手がライズの言葉に肯定/心当たりがあることでその言葉が真実になる能力』である。
この能力は相手がライズの言葉を信じれば信じるほどライズは有利になり、
ライズの嘘が現実になるほど相手は恐怖し、心のどこかでライズの言葉が「真」であると錯覚するようになっていく。
「相手の感情」に関することに対し能力を使い成立すると、その感情が自分でも抑えられないほど肥大する。
例えばライズが自分の身の上話をした上で「僕のこと可哀想でしょ?」と問いかけ少しでもそれを肯定する気持ちがあれば「可哀想」という感情が肥大してしまう。そこから「こんな可愛そうな僕に手は出せないよね」といった言葉を繋げていって相手の行動を制限していく。
そして、この感情に対しての能力こそが普段からライズが多様しているものであり、彼が歪んでしまった原因のひとつである。
また、「雨が降る」や「容姿が変わる」などの直接的なことに関しては五感に対してリアルな幻覚という形で作用し、相手の自傷を促すことに関しては能力使用後に声が若干枯れ、極端に疲労する。
しかし自殺を促したり「死」に直結することに関しては能力を使ったあと一定時間声が出なくなる。
なんにせよ、相手が自分の言葉を「真」としないと発揮されない能力の為、相手に自分の言葉を通すことができないとなんにもならない。
なので、自分の言葉が本当になる能力に見せかけ、話術と小道具、そして持ち前の演技力で能力を発揮させるところまで持ち込むのが基本戦闘スタイルとなる。
また、自分にこの能力をかけることは出来ないが、自分の身体に対する「嘘」を相手が信じたらそのままその嘘は真となり自身に作用する。
【小道具】
・低周波発生機
ポケットに忍ばせた小型の低周波発生機。
主に聴覚系の錯覚を起こさせるために使う。
・麻痺ガス
タイピンに仕込んである麻痺ガスで、効果は弱いが相手を一時的に痺れさせることができる。
主に体の自由を奪う系の錯覚を起こさせる為に使う。
ライズにもガスがかかるが、幼い頃から使用され続けていたためこの程度なら耐性があり効かない。
・催眠ガス
タイピンに仕込んである催眠ガスで、一時的に相手の眠気を誘う。
麻痺ガス同様、主に体の自由を奪う系の錯覚を起こさせる為に使い、
ライズ自身にはこの程度なら耐性があり効かない。
・隠しナイフ
袖に隠し持っている鋭利な小型ナイフ。
不意打ちの攻撃をする際に主に使うが、かまいたちのような錯覚を起こすときにも使用する。
またジャケットの裏にも何本も仕込んであり、投げナイフとしても扱うことができる。
・短剣/拳銃
それなりには上手く扱いができるメイン物理武器。
短剣を大太刀に見せかけたり、拳銃をマシンガンに見せかけたりすることで、
獲物のリーチや弾数を錯覚させ精神的に相手を攻撃することもできる。
補足