
| 製作者 | あかり |
| 出場大会 | 第十回大会 |
| 経歴 |
設定
男は、《神の声帯》を持っていた。
現下に生を持つ全ての種に、無限の癒しと安寧をもたらす、七色の声を持っていた。
男はその声で、幾千もの生命を救った。
時には癒しを。時には平安を。時には救済を。
地を駆け、海を渡り、空を飛び、世界に声を届けた。
男は、歌手でもあった。
収益は全て寄付に回し、親善ライブを進んで行う歌手だった。
そんな男は、科学都市に来ていた。
理由はもちろん、ライブの為だ。男の歌を聴こうと、多くの人が集まった。
軽快な音楽と共に、ライブが始まった。
人々は、男の歌声に酔い痴れ、興奮も頂点に達しようとしていた。
その時、あの悲劇は起こった。
都市の象徴である《科学タワー》に一筋の光が落ちた。
それは、天使の梯子のような、煌々として神々しいものではなく。
まるで悪魔の召喚のような、恐々として轟々しいものだった。
タワーは崩壊し、被害は都市全体に及んだ。
もちろん、ライブ会場も例外ではなかった。
多くの観客が、建物の下敷きとなった。
数百を超える死傷者を出した事に、男は苦しんだ。
自分が生き残ってしまった事に、男は悲しんだ。
私がここを会場にしていなければ。
私がこの日にライブを開いていなければ。
私のせいだ。私が...私が殺したのだ......。何故、私は生きているのだ...。
更に、悲劇は続いた。
落雷の影響か否かはわからない。が、男自身が能力者になってしまった。
男の《神の声帯》は、能力に侵されてしまったのだ。
能力者となった男は、常に皆を癒し、慰め、救ってきた力を失っていた。
それとは逆に、皆を苦しめ、犯し、堕とす力を手にいれた。
男は自らに絶望し、歌手を辞め、身を隠した―――。
「苦しい...自らの声が...耳に、頭蓋に、脳に響く...。助けてくれ。誰か...助けてくれ」
「さぁ、お手を取りなさい。救いはここにあるのですよ」
ここは科学都市。
薄暗い裏路地で疲弊した男がいた。
男は、自らの声にうなされていた。
悪魔の囁きのような、地獄から轟く死者の声のような。
そんな自らの声に悩まされていた。
助けてくれ。助けてくれ。
男は願った。自らを救ってくれる者を。かつて、自らが皆を救ったように。救いの手を。
そして、男は出会った。救いの手に。
その者は、自身を《救済者》と呼んだ。
救済者は、男に食料をやり、居場所を与えた。
そして、こう言った。
「世界は、救済を求めています。私も、あなたも、人類皆が、救済を待っています。
私は、とある方に救われました。だから、ここにこうして立っていられるのです。
あなたも、私の救済によって、皆を救済する事が出来るのですよ。
さぁ、共に世界を救いましょう。あなたが、かつて皆に救いを与えたように」
男は、救済者を信じ、行動した。
救済者の《信者》と呼ばれる者達と共に。
様々な工作。不可解な報身。犯罪的な行動。
信者たちは、救済者の言葉を疑うことなく実行した。もちろん、男も例外なく。
少しの月日が経ったある夜。
救済者は信者を集め、こう言った。
「もうすぐ、世界に救いがもたらされます。
それは、先導者《スターベン・メヒト》という男によって成されます。
皆さんも、この都市に蔓延している悪の気を感じ取る事ができるでしょう。
そうです。悪の気は、あの忌々しい科学の事です。
科学は、私達に《能力》という形で悪をもたらしました。
あの事件は、ある実験によるものでした。それなのに、科学はそれを救済しようとせず、
あまつさえ、《能力》と共存しようとさえしている。悪との共存です。
皆さんは、科学を許せますか? 私は許せません。怒りすら感じます。
その科学を...いや、悪を滅し救済をもたらしてくれる者こそ、先導者なのです。
さぁ、皆さん。救済に備えなさい。導きに答えなさい」
信者たちは、この日から戦闘のための力を学び始めた。
皆、先導者《スターベン・メヒト》に従うべく、疑問もせずに努力した。
そして...その日はやってきた。
特別収容所から囚人達が脱獄した。
囚人達を指揮するのは、あの先導者《スターベン・メヒト》だった。
預言が当たった。信者達は歓喜した。男も、涙を流して喜んだ。
しかし、救済者は声を荒げた。
「焦るなッ! 今はタイミングではありません。
タイミングを誤ると、救済は無に帰します。先導者の導きも無いものになるのです。
今は、救済の時を、待つのです...」
そして、運命の日。
大きなモニターに映し出されていたのは、信者が先導者と信じる者と、大統領の姿。
大統領の掛け声がスターベン・メヒトによって遮られたその瞬間、救済者は叫んだ。
「さぁ、もうすぐこの国は終わり、救済されるッ!
そう、先導者《スターベン・メヒト》の手によってッ!!
解放の時はすぐそこだッ! 立ち上がれ!
そして、先導者と共に歴史を変えるのだッ!!
世界に救いを、もたらすのだッ!!!!!!」
信者達は、先導者《スターベン・メヒト》の元に向かった。
自らが、救済をもたらすのだと、一切疑うことなく。
男も、それに遅れまいと歩みを進めようとした時。
救済者に止められ、一言、声を聞いた。
「あなたは、他の者達とは違います。
あなたの力は強大だ。先導者の力になりなさい」
男は、その言葉に歓喜し、狂喜した。
そして、自身の満ちた表情で、戦場へと赴いた。
―――救済者は1人、空を見上げ笑っていた。
「...これでいいんでしょう? 私の出番はこれまで。フフフ...
全てはあなた様の手中にある。さぁ、どうなることやら...フフ...フフフフ......」
+プロフィール+
名前:不明
性別:男
職業:元歌手
能力:Egdeflos(エグデフロス)
脳に直接働きかける特殊な周波数の声を発し、相手を内側から攻撃する。
この攻撃は、聴覚を有する者全てに有効であり、逆に聴覚を有さない者には一切効果がない。耳栓を用いれば、効果を半減させる事は出来るが、効果を無効化させる事は不可能。
:3+96Hz 罪悪感・恐れ・トラウマの増幅
記憶の中にある罪悪感・恐れ・トラウマを増幅させ、震えが止まらなくなる。
声を聞き続けた場合、見えてるモノ全てが恐ろしくなり、目を閉じ続けてしまう。
:41*7Hz 困難や挫折の現出
現在、直面している物事に対して、ネガティブな感情を持たせる。
声を聞き続けた場合、全てが失敗すると思い始め、何もしなくなる。
:5^28Hz DNAの破壊
内側からDNAを徐々に破壊し、痛みのない恐怖を与える。
声を聞き続けた場合、細胞分裂のバランスが崩れ、癌の乱出によりゆっくり死に至る。
男の声の中で、唯一物理的な効果を持つ。
:639Hz怒り・不安の助長
内側から溢れる、怒りや不安に襲われる。
声を聞き続けた場合、怒り狂ったり、不安に狩られ、何ふり構わず攻撃する。
敵味方関係なく、人モノ関係なく暴れまくる。
:74÷1Hz 洞察力・観察力の低下
感覚を鈍らせ、善悪の判断を低下させる。
声を聞き続けた場合、全てを信じれなくなり、誰の聞く耳も持たなくなる。
:85#2Hz 幻覚の発現
蟻や蜘蛛など、主に虫系の幻覚を見せる。
声を聞き続けた場合、幻覚と現実の区別ができなくなり、発狂する。
:9-36Hz 意識の崩壊
五感の感覚を段々と削いでゆき、意識を落としてゆく。
声を聞き続けた場合、意識を完全に落とし、永遠の暗黒へと誘う。
テクニック:
能力に技を混ぜ、能力の効果を増幅させるテクニック。
:反響
壁など音が反響するモノを背にし、相手に声を聞かせる事で、
より大きな効果を与える。
:混声
最大二つの声色を混ぜ、複数の効果を与える。
その代わり、効果は半減してしまう。
:爆音
思い切り声を出し、広範囲に及ぶ声を響かせる。
敵味方関係なく声を届ける。
体術:混合武術
柔道や空手、世界の武術をごちゃ混ぜにした体術を使う。
あくまでも補助的な術であり、攻撃的な術はあまりない。守備的な術が多い。
その他:情報
救済者と出会った少しあと、自身の能力のために聴覚器官を摘出している。
しかし、発声に関する事は感覚的に理解できているため、支障はない。
補足