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並川 平太 (なみかわ へいた)

 

 

 

製作者 あかり 
出場大会 第十回大会 
経歴  

 

 

 

 

設定

二年前のあの日、俺は夢を見た。


「力が欲しいか」

ノイズのかかった野太い声。俺の目の前には、巨人が立っていた。
なんというか、俺らしい夢だなと思った。そう、俺はこれが夢だと理解できていた。
そして再び、巨人は問う。

「力が欲しいか」

その声に、俺はこう答えた。

「めっちゃ欲しい」
「そうか、ならば授けよう」


その瞬間、自らの体に強烈な落雷が落ちた。
衝撃的な電撃に、俺は目を覚ました。あぁ、やっぱり夢か。

でも、少しおかしかった。
あれは夢だった。夢だったはずなのに、今も身体が痺れている。
そして、この内から溢れる形容し難い自信。何も出来ないのに、なんでも出来るような感覚。少し、自分が怖かった。

「...とうとう脳まで壊れちまったかなぁ。それにしても、随分と明るいな......ッ!?」

ベットに転がる目覚まし時計は、起床時間の随分先を指していた。
講義開始のタイムリミットは、刻々と過ぎてゆく。
ヤバいっ! 井草の講義に遅れるっ! あいつの講義落とすと留年だ...っ!


ベットから飛び出した俺は、カーテンを勢いよく開く。

いつもならば、遠くに高々とタワーがそびえ立ち、煌々として都市を見守ってる。
だか、今日は少し様子が違った。いつもの日常はそこに無く、眼前に広がっていたのは、異常。
タワーは崩落し、周辺地域では火災が発生していた。

「...家賃の安い郊外に下宿して正解だったなぁ。もう少し寝るかぁ...って! なんだこれ!!!」

驚いた。そりゃもう、がばい驚いた。
何故って、あのタワーが崩落するわけがないから。
あの科学の結晶が、そう簡単に壊れるはずがないからだ。
これはもしや、敵対勢力の陰謀? ...いかんいかん、いつもの癖が。いい加減卒業しろよ俺。

とりあえず、簡単に着替えて外に出た。都市は大混乱で、都市機能は完全に麻痺していた。
そして、一番驚いた事は、"異能者"の存在だった。

突如現れた異能者達は、混乱したこの都市に、さらなる混沌を呼び込んだ。
強盗やら殺人やら、ありとあらゆる犯罪が異能者達によって行われた。
でも、異能者は悪い奴らだけじゃなかった。

異能者を退治する異能者達もいた。俺は、すごくかっこいいと思った。
まるで、昔に憧れたヒーローのようだったから。

あぁ、俺もあんな力があればなぁ... あの夢、本当にならないかねぇ...

 

あれから、少しの月日が経った。
"対超能力者部隊"の発足によって、この都市は秩序を取り戻した。
復興も着々と進み、異能者による事件も随分と減少した。

そんな俺はというと、無事に大学を卒業し、"対超能力者部隊"の後方支援という、
まぁ言わば雑用の仕事に就いていた。
雑用といっても、物資の運搬や復興の支援などで、それなりにやりがいはあった。
それに、能力のない俺みたいな凡人が、部隊に入れるだけ充分名誉なことだ。
なにより、あのエミットさんの元で働けているのだから、申し分ない。

いいよなぁエミットさん。本当にヒーローのような人だ。
あの大会での活躍は、今でも脳裏からはなれない。

でも...やっぱり俺も、能力欲しいなぁ。


その夜、俺はまた夢を見た。

「何故、力を使わない」

出た。二年前の巨人だ。くっそぅ、俺だって使いてーよ。

「もしや、発現方法を知らんな?」

なんだって...?

「お、おしえてくれよ!頼むよ神さん!」
「仕方ない。ではヒントをやろう」
「ヒント...?」
「お前、仕事から帰ってきては毎日ネットで体を鍛えようとしないな」
「まぁ、面倒だし。そんなことするならネットでツ◯ッターしてた方が有意義じゃん」
「体を鍛えろ。さすれば、自然と力を手に入れられる」

嘘っぽぉー。やっぱり、所詮は俺の夢だな。期待して損した。


目が覚めた。なんつーか、訳わかんね。
俺は、一応。一応夢のお告げを信じ、腕立て10回をしてみた。

するとどうだろう。
内から沸き立つよくわからないモヤっとした力。
理解できないが、力の使い方を理解できた。...能力が発現した。

これには、さすがに興奮を抑えられなかった。

「マジで!? 能力発現しちゃったよ! しかも、まだまだ発現する余地があるっぽい!!!」

それから、俺は体を鍛えた。
10キロマラソン、山登り、水泳。一週間で色々やった。
効果が有るものと無いものがあったが、それでも、10個ほどの能力が発現した。

もう、こうなってくるとジムに行くしかねーなと思った。


ルンルン気分で、新設のジムに向かう途中だった。
警報が鳴った。特別収容所から囚人達が抜け出したというものだ。
ヤバいことになった。俺は一目散にシェルターへと向かった。

シェルターの中で1日過ごした。そして、俺は気づいた。

「俺、もう能力持ってるじゃん。何逃げてんだよ!!」

俺は、対超能力者部隊に合流するべく立ち上がった。
その時、シェルター内にある大きなモニターに、ゴツい男と大統領が映った。
何やら会見のような感じだ。しかし、そんな事を見ている場合じゃない。

俺は、一直線に対超能力者部隊の本部へと向かう。
さぁさぁ、ヒーローは遅れてやってくるのですよぉと意気込んでドアを開けた。

...誰もいない。あ、そうか。部隊の本営は大統領と一緒か。
よし! じゃあ俺も大統領の元へ向かいますかぁ!!! エミットさん、待っててくださいねぇ!!

 

この時、既に戦争の火蓋が切って落とされていた事を、俺は知らなかった。

 


*能力 《最終説話(ファイナル・エピソーダー)》

物語の最終回に出てきそうな、とんでもな能力。
1度使用した能力は、感覚的に使用方法を忘れてしまうため、再び使用することは
不可能であり、これからも発現することはない。


*自己犠牲
相手の生命活動を素粒子レベルで完全に停止させ、今後、如何なる蘇生も無効にする。
同時に自らの命も失い、こちらの蘇生も不可能。
文字通り、自己を犠牲にして相手に死を与える。

*体能超過
肉体・感覚を、人の限界を超えるほどの力を得る。能力持続時間は10秒。
つまりは、ムキムキになり、刺激にめっちゃ敏感になる。

*心境変化
相手の精神に入り込み、意思や思考を強引に捻じ曲げる。
敵対している者を、降参させたり、仲間にしたりできる。
ただし、目と目を合わせた者1人のみ有効。

*未来予知
100秒後までに起こる出来事を、完全な形で予知できる。
ただし、未来を改変した場合はそこからの未来は違うものとなる。

*時間拡張
10秒間、感覚を100倍に引き延ばすことができる。
人間では認識できない速さのモノを捉えることができる。
しかし、引き伸ばせるものは感覚だけであり、身体は変わらない。

*真相解明
相手の隠している能力や計画など、全てを見通すことができる。
つまり、お前のやってる事は、全てまるっとゴリッとスリっとお見通しだぁ―!!!

*形勢逆転
自らの身体に受けたダメージを、相手に丸々移す。
ただし、相手のダメージはこちらに移るため、互いが傷ついてる場合は、
使用は推奨できない。

*全知全能
10秒間、ありとあらゆる事象や物事に答えを出すことができる。
もちろん、相手に勝つ方法すらわかってしまう。
ただし、その後にその方法を実行できるかどうかは別問題。

*理解不能
理解不能な謎の力を、手から発射できる。10弾まで。
ぶつかったものは、なんであろうと破壊される。
至近距離であればあるほど当たる。

*感動完結
半径10メートルの園内にいる者達に、全てを忘れる程の感動を与え、
戦う気力をそぐ。自身も号泣してしまい、相手と抱き合って泣く。

*その他情報
普段の身体能力は、そこそこ運動のできる学生くらい。
学力は、中堅国立大学に中くらいの成績で入学できるくらい。
コミュ力はある。調子に乗りやすいが、ここぞとばかりの時は、
何故かめっちゃ冷静になる。本人曰く、アニメの影響らしい。
ヒーローモノが好きで、歴代ライダーモノは全て視聴済み。

 


補足

 「まったく、熱心な奴だな君は。暇なのか?」
笑い交じりの声は、もちろん君には届かない。まぁ、当たり前だよな…

 君は今日も、俺の墓前に花をたむける。
形は不揃いで、色もばらばら。そこが何とも君らしいんだけど。
そして、君は俺の墓前の前に座るんだ。言葉を発する訳でもなく、ただじっとして。
「何か、嬉しい事でもあったのか?」
君が俺の墓前を眺める顔は、決まって笑っている。
墓参りなんて行為ほど、負の感情が付きまとうものもないと思うが、君は違った。
普通、ここで何故かという疑問にぶち当たるんだろうけど、俺はその解を導くのに時間はかからなかった。単純な話だ、俺に会えるから。
…自分で言っていて恥ずかしくなるけれど、きっと間違いはないと思う。
だって、君は単純な奴だもんな。実にわかりやすいよ。
そして、俺も単純な奴だからな。その顔に安心するんだ。


―――でも、重荷になってないだろうか。

 最近、君がいない時はそんなことばかり考えている。だってそうだろう?
俺は、君の命の恩人なのかもしれない。あの戦場で出会った、大切な友人なのかもしれない。
でも、もうあの戦争は終わったんだ。やっと平和を手に入れたんだ。
君だって、自由を手に入れたんだ。何だってできる。どこだって行ける。
なのに…俺という存在が、未だに君をこの地に縛り付けてしまっているようで…

別に、忘れてほしい訳じゃない。嫌いになった訳でもない。
なんというか…難しいな。


 「君は、つらくないのか?」
またあくる日、君は俺の墓前にやってきた。俺の声は、もちろん君には聞こえない。
そんなことを良いことに、俺は言葉を投げつけた。
「こんなところに毎日毎日、もう俺の事なんて忘れていいんだ。やっとつかんだ自由な人生なんだぞ?それを、こんな事に浪費していていいのか?もう、来ないでいいんだ…」
俺の声は聞こえない。聞こえないはずなのに、君の顔が一瞬、ゆがんだように見えた。

いや、あれは見間違いなんかじゃない。確かに一瞬だけ、君は眉をひそめた。

その時、俺は悟ったよ。
君が、義務感や責任感でここに来ているんじゃないって。
この地に縛られているわけじゃないんだって。
ここに来る自由、それこそを君は謳歌しているんだって。

―――素直に、君自身の意思なんだって。

 俺はなんて失礼な奴なんだ。なんてひどい奴なんだ。
素直に君の思いを汲んだやれなかった俺は、友人失格だな…ハハハ…
こんな状態になっても、後悔ってするんだな…
「ごめんな、君の気持ちをしっかりと考えてやれてなかった。軽率なことを言ったよ…」
どれだけ君に通じているかはわからない。いや、まったく通じていないだろう。
でも、俺はそんなことお構いなしに謝った。ありったけの声で、なけなしの心で。

誰にも聞こえない俺の声は、風に消え、花を揺らした。
それを見た君は、今までにないくらい笑っていた。
俺には、いいよと、君が言ってくれているように見えた。


 あれからどれくらいの月日が経っただろう。
君は飽きずに俺のもとを訪れている。まったく、本当に暇なんだな君。
そして、相も変わらず墓前に花を添え、嬉しそうに座るんだ。

俺は今、世界中で一番の幸せ者なのかもしれない。
いや、死んでいるからそこらへんは曖昧だけど…
こんなに近くで、大切な友人の成長を見守れたのだから。
変わらない君の笑顔を独り占めできていたのだから。

もう、思い残すことはないよ。ありがとう。

【もう、いいのか?】

あぁ、もう充分だ。神様には随分とわがままを言ったよ。ごめん。

【いや、良いんだ。君にあんな役目を与えてしまった私にも責任はある。これくらいはさせてもらわなければな】

そうか…じゃあ、そろそろ行こうか。

【まぁそう急かすな。最後に、あやつに声くらいかけたらどうだ?】

…そうだな。どうせ聞こえないんだろうけど。

『ありがとう。これからも街の事、よろしく頼むぞ』

その言葉を聞いた君は、驚いた顔でこちらを向いた。
そして、驚きながらも笑って、大きく頷いた。


―――俺には最後、頬に一筋の涙が流れたように見えた。

 

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最終更新:2016年03月25日 20:01