| 製作者 | 磁石 |
| 出場大会 | 第十一回大会 |
| 経歴 |
設定
Page.1
本書は、彼女と出会う誰かの為のちょっとした説明書である。
本書が手に取られた時点で彼女は起動し、これを読んでいる者を主と認識、本書の内容に準じた自己紹介を始めるだろう。
彼女は本書の中身を知っているわけではない。話半分に聞いてやってほしい。
「――初めまして。アナタが、ボクの新しいご主人様ですね?」
「これから、末永くよろしくお願いします! はい! 末永く、です!」
Page.2:設計
ご覧の通り、彼女は人間の女を模して造られている。
前時代と一線を画した高性能縮小化により、全長は1m45cm、重量は25kgとの数値に収まった。
五感は全て、頭頂部の青い触角と、同色の青い瞳によって補われている。耳や鼻といった部位は装飾に過ぎない。
彼女に用いられている青色は異常や危険が起きた際に変色して知らせる、信号の役割も果たしている。
「どうかしましたか? ……あ、触角が気になるんですね。どうぞ、触ってみてもいいですよ!」
Page.3:思考
彼女は機械と呼ぶのが憚られるほど高い段階で喜怒哀楽を感じ取り、全身で表現することが可能だ。我々の長年の研究の成果である。
また、これは当初の計画とは異なる傾向だが、彼女は人間という存在を深く尊敬しているようだ。
生存の為に必要な活動の1つ1つが、彼女にとっては褒め讃えるべき偉業らしい。
製造者たる私も、2時間の仮眠を取っただけで尊敬の眼差しを向けられるとは思わなかった。気をつけてほしい。
「だって、凄いじゃないですか! 物を体の中に取り入れたり、機能停止状態を楽しんだり……」
「……ボクには、そんなことは出来ませんから……」
Page.4:機能
彼女には幾つかの生活家電と機能、並びに学習装置が搭載されている。
家電としては、ビデオカメラ、映写機、並びに空気清浄機など。
機能としては、料理洗濯といった家事、危険を排除する警備システムなどである。
「はい。学習プログラムを起動させれば、ボクは他にも色々な事が出来るようになります!」
「何でも出来るようになる訳では、ないんですけどね……えへへ」
Page.5:追伸
どうか、彼女を使ってやってくれ。
研究だけを目的とした我々には、彼女の願望を叶えてやる事が出来ない。
不毛でいい。彼女に、何らかの役目を与えてやってほしい。
「……はい。役目がないのは……本当に、悲しいんです」
「お願いします。『何もするな』なんて、言わないで下さいね……?」
補足