五十嵐尊火(いがらしそんか)

 

 

 

 

製作者 chuchuhakokaina 
出場大会 第十一回大会 
経歴  

 

 

 

 

設定

おいもっと詰めろよ。って騒ぐな。バレたらどうすんだよ。で、内緒話だろ?早く話せよ。え、俺が先に言え?やだよ順番決めたじゃねーか。どうしても?しょうがねえな。
 あれは、俺がホームセンターに行ったときのことさ。誰だってワクワクするだろホームセンター。俺もわりとテンション高く棚見てるときにさ、あの人がやってきた。
さほど背は高くなくて、足もとはがっちりとしたエンジニアブーツ。露出のないシンプルな作業着で、軍手をして、頭に手ぬぐいを巻いて首からはタオルをかけていた。顔立ちも服装も別に綺麗でも何でもないけど、棚を見てすぐに物を見定めて手に取っていく様子が凄くスマートでかっこよくてさ、ついこの人のことをガン見しちゃったんだ。そしたら、その人と目が合った。
「あなた、ハリウッド映画は好き?」
その瞬間、第一声に彼女がこういったもんだから、もうこの人についていくしかないって思ったね。ミステリアスな彼女に一目ぼれさ。頷いて、彼女の持ってたものを真似して持って行く。塩化ビニルのパイプをはじめ、この店にはありふれた物たち。彼女の手の中では特別なものに見える。
彼女はカウンターにそれらを置くと、タオルを外した。存外白い項に、いくつも青い腐ったような噛み傷があって、よく見れば顎の下まで緑色に痣が広がってたよ。彼女は慣れた手つきで手早くブツを組み上げて、俺の持ってきたのも含めてすべて体に巻き付けると、手に導火線を束ね持ちライターを掲げたんだ。
「B級ホラーの爆破オチってサイコーでしょ?」
サイコーなのはアンタだよ!って思って、俺はつい好きだ、キスしてほしいって言ったんだ。初対面の俺にそんなこと言われるだなんて思っても無かったんだろうな、彼女はきょとんとして、簡単に自分について話した後、どうなっても知らないわよって言って俺の口にキスをくれた。慣れない様子がキュートだったな。
そのあと彼女が打ち上げた花火は、今まで見た何より綺麗だった。そのおかげで、俺はここまで来れた。
…シェルターの奥まで詰めたな?時間切れだ、お前の話は聞けなかったか。あのホームセンターから拝借した他の物資は全ておいていく。うまくやれよ。
俺?俺は外のゾンビどもを何とかしてくる。彼女のキスをもらっちまったんでな。俺もゾンビになる前にひと花咲かせてくるぜ。

彼女は五十嵐尊火、女性、24歳。身長は163センチ。職業はエンジニア。ゾンビではなく人間として死んだ。

 


補足

 

 

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最終更新:2016年12月18日 17:59