製作者 | 魔王レヌ・萃ミズキ(スイミズキ) |
出場大会 | 第十二回大会 |
経歴 |
設定
キャラクター名:エレン = イェンネフェルト
年齢:23歳
ノルスケン皇国の諸侯イェンネフェルト家の末っ子として生を受ける。
イェンネフェルト家の領地はノルスケン皇国の端に位置し、その末席となるエレンに与えられた領地はその中でもごくわずかなものだった。
幼少より、叙事詩や英雄譚を好んで読み、それが高じて戦史なども読み漁った。
だが、それらの華々しい書物の内容とは裏腹に、ノルスケン皇国の、もっと言えば魔導国家連合の平和ボケぶりは幼いエレンを落胆させるには充分であった。
連合は長きにわたる平和により、その発展を止めた。かつて繁栄を極めた大帝国の文化を懐古するにしても、300年という月日はあまりにも長すぎた。連合国とは内海と山脈を隔てた北方に位置するノルスケン皇国はその文化再興の恩恵に預かることもなく、皇国を長く統治する老いぼれた皇帝もまた、平和をむさぼり、日々を生きるだけの無能であった。
王に連なる貴族の血統ということで、剣術や学問に取り組みはしたが、無能な兄らを転がし、馬鹿にする位にしか役には立たなかった。
このまま、この小さな国の、小さな領地にて一生を終えるのかと思うと、自身が哀れでしょうがなかった。
10歳の冬、エレンはあるものを目撃する。それは、自らの領地の山奥にある、小さな温泉での出来事だった。
満点の星空にオーロラが幕を下ろしているのは珍しくなかったが、その夜空を淡い輝きを放ちながら泳ぐ大きなクジラを見たのだ。
エレンは目を疑った。なにせ、文献でしか見たことのないクジラが、空を飛んでいるのだ。
しかも、その大きさは1キロメートルを超えようというような大きさだった
山の合間へと消えゆくクジラと山を見比べてようやくその大きさがわかったほどだ。
その姿は雄大で、神々しいものであった。
急ぎ館に戻り、空飛ぶクジラに関する書物はないか、書庫を片っ端から調べた。
結果として、いくつかの伝説があるばかりで、存在を明らかにする文書は見当たらなかった。
この世界における飛行の魔術は、それほど珍しいわけではない。
だが、それほど簡単なものでもないのだ。
魔術の使用にはマナを消費する。飛行ともなれば、常にそのマナを消費し続けるのだ。
三大発明に羅針盤があり、長距離の移動手段として船が利用されるのだ。飛行での長距離移動など考えられなかった。
だが、クジラは確かにいた。あれだけの巨体で、あれだけの高度と速度を維持するとなれば、その消費するマナは尋常ではない量になる。
それは、エレンの探求心をくすぐるには十分すぎるものだった。
以後、エレンは病的なまでに研究に打ち込むことになる。研究テーマはもちろん、空を飛ぶことであった。
空を飛ぶ魔法についての既存理論から、その効率の悪さなどを洗い出し、より効率的に、速く、高く、長距離を飛ぶことを夢見た。
魔術だけでの飛行の難しさはわかっているため、科学の観点からもアプローチを試みた。
が、小貴族の末席ともなれば、研究資金はすぐに底をついた。
貴族の証たる領地も兄らに売り飛ばし、数少ない私財を投げ売っても足りるものではなかった。
が、時を同じくしてノルスケン皇国の皇帝が死去、新たな年若い後継者の元、国策を大きく変えることになった。この後継者はのちに、雷帝と呼ばれるようになる。
雷帝は連合諸国との国力差を憂い、富国論を掲げた。特に生産性の低い国土の状況を鑑み、技術開発において、その発展を望んでいた。
そして、その雷帝の耳に、片田舎で妙な研究を続けているエレンの噂が届いた。
興味を示した雷帝はエレンを呼び出し、その研究について説明させた。
年の頃を同じくする身として、雷帝はその才覚を認めるとともに、その才覚を発揮させるべく皇国の研究機関へと迎え入れる。
エレンは、研究が続けられるのであればと快諾し、結果として数多くの発明をする。
魔術の源であるマナのパッケージ化、それに伴う従来火器の小型化、簡易化、規格化、大量生産計画。
幼少の頃より培った軍事理論なども合わせ、国策の大きな要としての地位を確立するに至る。
そうして、様々な研究を傍らに行いながら、ようやく、飛行魔術のユニット化に成功する。
試作段階ながらも、高速で高機動、高高度飛行などは既存の飛行魔術とは桁違いのレベルであった。
この飛行ユニットの肝は、マナと血液の混合であった。
マナとは血統と深く結び付けられるもの。であれば血そのものにマナが宿ると言っても過言ではない。実験の結果、液体化したマナと血液の混合物は、魔術への変換効率が極めて高いことが判明。
また、マナのパッケージ化によって、ユニットへのマナ供給自体は液化マナをガラス瓶に封じ込め、それを交換で行えるよう設計した。
混合物として魔法の才覚のある者の血を利用するため、万人が扱える代物ではないし、血液を少量ずつ消費するため、長時間の稼働には問題が残った。
とはいえ、この飛行ユニットは兵器としてみるならば十分すぎるほどの性能を持っていた。
特に、先鋭化しつつある軍の中でも、地形に影響されづらい空に展開できる利点は、連合諸国との間に内海と山脈を擁する皇国内では大きく注目された。
また、付随する研究として、帆船に代わる、飛行船の開発も同時に行った。こちらは、速力や高度を少しばかり犠牲にし、航続距離と積載重量を増やすという試みの元、研究が行われた。
結果として、地形に影響されない輸送手段として、帆船より優れ、帆船と同様に、武装化をすることによって、火砲陣地や凡兵を機動戦力として運用することが可能になったのだ。積載重量を増やすために、飛行ユニット自体が大型になり、帆船と同様に風の流れが多少影響するが、それも飛行ユニットによる制御ができ、帆船以上に柔軟性を発揮した。運用に際し、専属の魔術師によるマナと血液の混合が必要である点は、課題として残った。
これらの成果は目を見張るものであったが、エレンはそれで満足してはいなかった。
あの時みたクジラは、空を泳いでいた。であれば、長時間の飛行が、もっと言えば永続的な飛行が可能であるはずだ。それを可能とするのは果たして生物としての血統故なのか、はたまた別の手段があるのか。何にせよ、まずこの大空を手中に収め、かのクジラを研究せねばならない。そのためにももっと多くの研究資金と資材を求めた。
それらは雷帝の思惑とも一致し、ノルスケン皇国はこの10年で大きな成長をした。もはや魔導国家連合という小さな枠には収まる気はなかった。
そして、此度の魔導国家連合の議長の訃報が舞い込んできた。
雷帝はここぞとばかりに、その座を狙うこととなる。議長ともなれば、連合での発言力は増し、連合全体を利用することができるであろう。そうなれば、世界の覇権を握る一歩としては大きなものとなる。
ノルスケン皇国が指名した大魔導士はもちろん、エレン = イェンネフェルトである。
皇国の各種兵器を開発した本人であり、その扱いにはたけていた。幼き頃に培った武芸の才もある。無論、戦術・戦略レベルでの智謀も兼ね備えている。これ以上の適格者は皇国にはいないだろう。
エレンも、平和ボケした魔導国家連合には飽き飽きしていたし、連合の総力を挙げての研究ができるとなれば願ってもないことだった。何より、自ら作り出したものが、どこまで通用するかを試してみたい気持ちも強かった。
かつて本で読んだ英雄叙事詩に名を連ねるという夢も手が届きそうな位置にある。
「さぁ、クラーラ。今日はどこまで私を連れて行ってくれるのかな?」
装備設定
・試作飛行ユニット「クラーラ」
高速、高機動、高高度の飛行を可能にした飛行ユニットの実験機。
皇国軍へ供与された量産型より、遥かに高い性能を発揮する。というのも、量産機にはそれなりの魔法適正の人間でも扱える程度に性能を抑え、運用時間を延ばす必要があったからだ。
エレンの使用する「クラーラ」については、エレン自身が作成し、調整した。貴族の血統に生まれ、高い魔法適正を持つエレンにとっては、性能を落とす必要はなく、むしろマナと血液の供給量を増やせば、さらなる性能を発揮できるよう、安全装置も外されている。
ユニットは腰に装着され、かなり自由に推進力を噴射できるよう、可動域が確保されている。ユニットを細かく動かすことによって、高機動性を確保している。真下に向ければ、滞空することもでき、噴射方向を前方にすれば、後ろ向きに空を飛ぶことも可能である。また、足甲のかかと部分にも小さな飛行ユニットを配置し、さらなる機動性の確保を行っている。
手甲から伸びる管は、血液の供給管である。ユニットの基部には、液体マナカートリッジが装着されている。これらをユニット内で混合し、ユニットに施された術式によって、推進力に変換している。
ユニットへのマナの供給は、カートリッジによって行われているので、エレン自身のマナは他のことにも使用できる。カートリッジ内のマナが切れた場合、カートリッジを交換することで、簡単に飛べるようになるが、結局血液がボトルネックとなって長時間飛行には至らなかった。ちなみに、最長で8時間程度の飛行が可能である。
・皇国式小銃三式
皇国式小銃の特徴は何と言っても、弾薬の装填が簡単に行えることだ。銃本体の下部に弾倉を設けてあり、クリップで止めている弾薬を弾倉に押し込めばよい。作動方式はボルトアクション方式であり、従来の前装式のマスケット銃とは比べ物にならない連射速度を誇る。
三式の特徴は、長銃身で、口径は大型、かつ装薬も多い弾丸を使用している。これにより、十分な射程と命中率、高威力を実現している。弾頭が大きいのは、単純な物理的ダメージを上げる目的のほかに、爆裂魔法の刻印のためでもある。いずれにしても着弾時の威力を重視している。しかし、従来のマスケット銃よりも重たくなってしまったため、凡人による歩兵部隊での運用は難しいとされ、飛行ユニットを使った職業軍人向けに配備されることとなった。
空中戦闘での使用を視野に開発された三式は、空中から地上目標に向けて撃ち下ろすことが多いため、直撃でなくても地面にあたり、至近弾であれば弾頭に刻まれた極小規模の爆裂魔法により破裂した金属片などでダメージを与えるという構想のもと開発された。逆に言えば、直撃してしまえば、爆発と金属片とで相手を挽肉に変えるような威力を誇り、開発者の悪意がうかがえる。
・浮遊追従式魔法誘導弾
これは兵器の類ではなく、純粋な魔術によって構成されている。
この魔術は、飛行ユニット装着者同士における空戦実験が皇国内で行われたことに端を発する。
エレンは、飛行ユニットの普及により、高機動な空戦が起きると予想した。であれば、銃による直線的な攻撃手段ではなく、敵を追尾する誘導弾の必要性が出てくると考えた。銃の集中運用や連射性を上げることで、弾幕を張り対応することも考えたが、飛行の際に多くの弾丸を携行することは、積載量の問題で現時点では実現不可能であった。
他国の魔法には敵を多少なりとも追尾するものも多いと聞き及び、それらを真似て試作したのがこの魔法である。
魔術を発現させると、使用者の周囲に無数の魔弾が展開される。魔弾は使用者に追従し、術者が指定した目標に対して、任意のタイミングで射出される。特徴として、誘導性と速度を重視したため、射程距離と威力が減少したが、空戦実験では無類の強さを誇った。射程距離の問題で、相手に肉迫する必要はあるものの、撃ってしまえば避けられるものはまずいなかった。繊細な飛行ユニット使用者に弾が当たれば、何かしらの損害が与えられるため、威力の小ささはさほど気にならなかった。また、後方に位置する対象にも撃てるため、飛行時に後ろを取られたとしても遅れを取ることはなくなった。また、エレンは銃から射出された弾丸に対して、この魔弾を使用し、撃ち落とすという曲芸をやってのけた。これにより、他国で使用されている対象を追従する魔弾への対応策としての価値も認められた。
ただし、使用に際してマナを大きく消費するため多用はできず、魔術発現のための呪文も複雑なものである。スクロール化は困難を極め、現段階でこの魔法を使用できるのは、エレンのみである。他の飛行ユニット使用者でも使えるよう、簡易化の研究が進められている。
・「広域殲滅用術式一号」のスクロール。
ノルスケン皇国の現皇帝である、雷帝により作成された魔術のスクロール。
手のひらサイズの紙に描かれた模様は、小さいながらも複雑で、作成には丸一月が費やさる。その間、雷帝は日に使えるマナをすべて消費し、模様を少しずつ書き加えて作り上げる、模様の大きさに不釣り合いなほど大規模な術式である。活版印刷での模様の再現は不可能であり、王の血による血判が押されているため、威力は折り紙付きである。
無論、作られることは稀であり、これが使われるということは国家の存亡をかけたものと言える。
発現の際の詠唱は短く「雷帝の名の下に」の一文で終わる。
魔法は、術者を中心とした球形に広がっていく、稲妻の塊である。高速で広がり、球の直径は3キロに及ぶ。範囲内にいる者は、無差別に攻撃の対象となる。使用者は、術式に組み込まれた魔法障壁により保護されるが、稲妻が晴れるまでは身動きが取れない。
稲妻による攻撃ももちろんだが、その熱によるダメージも大きい。実用実験の際には、地上ついてはもちろん、地中や水中においても生物の死滅が確認された。実験跡地は、今もなお雪に埋もれた荒野のままである。
現皇帝に、雷帝の名がついた由来である。
【 所属国家設定 】:
国名:ノルスケン皇国
以下設定文
魔導国家連合の中でも北に位置する、小さな国。
北方の国ということで、土地は豊かとは言えず、国力は強くない。
夏は短く、また冬は長く厳しい。
この長く厳しい冬と、国土の多くを占める山々のおかげで他国に侵略されることが少なく、国の体を保ってきた。
あえて特徴をあげるならば、国内のあちらこちらに温泉が湧くので、硫黄の産出が多少盛んなことと、あとは魔法を日常生活のレベルにおいて多用する国ということぐらいだろうか。
魔法はこの国にとって、なくてはならないものだ。
火を起こすのも、飲み水を確保するのも北国では難しい。それを魔法によって補っている。つまり生命線だ。
だが、悲しいかな、国の万人が魔法を使えるわけではなかった。
魔法の才覚は血統による差が大きい。国民の半分はろくな魔法すら使えない。
生命線となるべき魔法は、ギルドの魔導職人らによってスクロールという形で販売され、利用されてきた。
そして、王足りえる、魔法の才覚の強い、ほんの一部の血族の者たちが、民を統治し政を行っていた。
それだけにとどまる。
他国と比べて、特別強力な魔法が使えるというわけでもない。
だが、このスクロールという形での魔法の普及が他国と違う点であった。
そもそも、このノルスケン皇国の魔術というのは、マナと呼ばれる魔法の源を消費することによって発現する。
マナの量は例外を少しばかり除いて、基本的には血統によって総量が決まる。
マナの量が多ければそれだけ、多く、強い魔術が使える。
そして、マナは一日に使える限界の量はあるものの、睡眠や食事といった休息をとることで回復できる資源であった。
であれば、これを日々の生産活動の資源とし、スクロール作成を生業とする魔導職人の誕生は必然であった。
また、魔法が使えない者でもスクロールを使えるように、呪文の詠唱は必要ないか、短く端的なものがほとんどだ。
逆に言えば、マナの消費が激しい複雑かつ大きな力を発現する魔法というのはあまり研究されてこなかった。
つまり、この国にとっての魔法は、日常生活に必要で、かつ自然現象に近い単純なもの程度の認識が主であった。
三大発明によってもたらされた技術は、万人でも扱えるものであったため、ノルスケン皇国としては諸手を挙げて歓迎すべき出来事であった。
羅針盤は山の多い国土の測量に重宝し、活版印刷については、スクロールの生産性向上につながった。スクロールに刻むべき模様は活版印刷により規格化され、魔導職人らは魔法の発現に必要なマナを込めるだけでよくなったのだ。
火薬についても、硫黄の産出の多いこの国では利用しやすい技術であった。火砲などの万人でも扱える兵器達は魅力的で、かつ山脈の多いこの国では、要衝を守る要ともいえた。
とはいえ、この北の小国をほしがる者はおらず、そもそも魔導国家連合の中では戦争すら風化しかけていた。
しかし、時の王たる雷帝は野心を持っていた。
これほどまでに規格化され、生産性の向上した魔導技術。
そして、三大発明によってもたらされた科学技術。
これらを合わせることによって、三大発明に匹敵する技術の開発を目的とし、技術的優位による富国論を唱えたのだ。
結果として、少ない資源を効率よく利用すべく、さらなる生産性の向上、軍の先鋭化などが図られた。
中でも軍の先鋭化は他国とは一線を引く水準に達した。
スクロールに刻んでいた模様を、金属に施すことによって、弾薬の開発に成功したのだ。
弾薬とは、射出される弾丸とそれを射出するための火薬、これらを金属ケースで覆い、そしてその金属ケースには中の火薬に火をつける小さな魔法印が刻まれている、というものだ。
弾薬の開発により、マスケット銃のようにいちいち鉄筒に火薬を込め、弾丸を込めという作業は必要なくなった。弾丸を弾倉に込め、弾丸の尻についた魔法印を撃鉄で叩くだけで火薬に火が付き、弾丸が射出される。
これによって、連射性の高い銃が多数生産され、これらを兵に持たせることで、兵力を増強した。
合わせて、新たな軍事理論が立ち上がり、血統により選別された職業軍人の概念、軍における隊の小規模化と分散運用など、戦術、戦略論は劇的に変わった。
雷帝の名の下に成し遂げられた数々の偉業。その根底には、一人の異才の存在がいた。
名を、エレン = イェンネフェルト。
異国では「聖人」の意味を成す「エレン」の名を冠したかの者は、まさに聖人のごとき探求心の元、悪魔のような所業を成そうとしていた。
※ノルスケン皇国における戦闘について。
基本事項として、魔術に依存することはあまりない。正確に言えば、個人の魔術的才能に依存することはあまりない。先進的な銃の開発、マナのパッケージ化によって、戦闘時における個人のマナの量に依存しなくなったためである。逆に、戦闘に際しどれだけ準備に時間をかけられるかというところが重要になった。魔術や弾薬をパッケージ化したとはいえ、生産量や輸送する手間を考えれば、何もかもを無尽蔵に使えるわけではない。一歩兵の携行品としても量は限られるうえ、各地の拠点に備蓄するするにしてもその管理の重要性が出てくるからだ。
ごく一部の血族には、戦況を変えうる魔術を使える者も居るが、それも自身のマナの量を考えると一日に撃てる回数は自ずと限られている。よって、皇国は定量かつ万人が扱える銃などの、個人のマナの量に依存しない兵器の開発に傾注した。
(以降は考察であり、掲載したり、放送時に読む必要なし)
☆以下魔法と三大発明がなぜ相容れる形で実現したかの考察
史実におけるルネサンス期への魔法解釈について
→そもそも、魔女、魔法使いという概念が生まれたのがルネサンス期である。
→そして、キリスト教社会における異端者を魔女と称し、裁判で裁いた。
→いわゆる魔女狩りの発生である。
→これらの発展は活版印刷による、キリスト教典のマニュアル化が進んだため。
→また人文主義の発生により、宗教による思想統一と法整備が進められた。
→結果として、魔法(地域信仰など)を異端とし、キリスト教への改宗を進め、
共通意識の醸成を促した。
ルネサンス期に魔法実在し、「異質なもの」ではなく「普遍的なもの」であったならば
魔法の定義
→どの程度普及しているかによるが、異端審問の対象とならない程度の普及率。
→となれば、日常生活に取り入れられている必要がある。
→かつ、三大発明が発明される程度には不便なもの。
→魔法は潜在的な能力として、程度の差はあれ、認知されるのが適切か。
→魔力はストック可能なものとし、回復するリソースでもある。
→発現可能な魔法の大きさは個人の才能による部分が大きい。
→才能があるものは、戦場をひっくり返すことのできる戦術兵器に。
→才能がないものは、史実と同様歩兵として定数で扱う軍団として利用。
→才能は血(遺伝子)によるものが大きい。
→であれば、ルネサンス期に起きた人文主義の研究は起きづらいか。
→従来の封建制が維持されやすい可能性あり。
→才覚はなく、日々の生活に使うレベル魔法が使えるものは、商人や職人に。
→まったくないものについては、一次生産などの肉体労働に。
→力あるものは血族同士での結びつきが強くなるため、封建制、君主制を促進。
→結果として、魔法使いの強さによって、階級制度が生まれる。
→上流魔術師は人口の10%程度、商人や職人は40%、素養のないものは50%など。
→王族や貴族同士での混血が進み、階級制度は確固たるものへ。
魔法と相いれる形での火薬の発明について
→魔術が先天的な才能による技術であるならば、一般人が力を得るために発明。
→魔術ほど万能ではないが、一般人にもそれ相応の力を与えられる。
→つまり軍隊の組織化と先鋭化が肝である。
→歩兵、騎馬というくくりに、魔法が適用されるので戦術は大きく覆るだろう。
→歩兵の単位も、大群を横隊で集中運用するよりも、ある程度小分けにする?
→というのも、魔法による機動性のある「砲」があるから。
→となれば、軍隊はルネサンス期よりもさらに近代的な運用となるだろう。
→マスケット銃レベルを利用し、近代でいう小隊、中隊、大隊が軍の基本単位。
→魔術師といえど、戦況を一変し得る人物は少数だと思われる。
→結果として、大魔術師は大砲(自走砲)のような運用に落ち着く恐れがある。
→火薬の生産技術のボトルネックに合わせ、弾丸を魔術で応用するなど、魔術の
普遍的利用は見込めるかも。
→職人により、魔術を封じ込めた弾丸を用意、それを火薬で打ち出す。
→こういう形になれば、歩兵は小隊規模でも力を持つようになる。
→かつ、人口の半分である農民たちを徴用することも可能。
→無論、大魔術師レベルの人間が、これを利用すれば、ストックを利用した
マナというリソースの温存もできるだろう。
→封建制が続くため、一部の上流階級が軍を率いる点は史実と同様か。
魔法と相いれる形での活版印刷の発明について
→魔法の普遍的利用のために、マニュアル化がすすめられたと思われる。
→結果として、職人、商人間で生産ノウハウが共有され、大量生産が可能。
→日常生活で使うスクロールの開発や、兵器開発への発展となるか。
→知識の共有という点では、やはり活字の利用は避けられない。
→活版印刷は史実とほぼ変わらない利用方法に落ち着くだろう。
→ただし、宗教色は違うと思われる。
→民を統治するために必要なのは共通意識である。
→史実では宗教弾圧という形で、共通意識を作り出した。
→魔法がある世界においては、力は才能による部分が大きい。
→よって、言論によるものではなく純粋な力による統治がメインになるか。
→事実、魔導決戦という体で、力の大きさを比べ、権力の大きさを決めている。
魔法と相いれる形での羅針盤の発明について
→羅針盤が利用されるということは、長距離の移動が行われていたことの証拠。
→その長距離の移動は魔術では実現が難しかったことも。
→結果として、帆船による航海が物流の大きな流れに組み込まれている。
→魔術の利用については、限定的な利用にとどまるだろう。
→理由は回復するとはいえ、日に利用できるリソースが限られているから。
→であるから、航海術師や天文学者に似た形で魔術師は存在すると思われる。
→飛行についても、限定的なものであると思われる。
→物流に使うには難しいレベル。
→一般大衆が大半を占める魔法文明ではやはり車輪、船の利用は不可欠。
→よって、羅針盤も史実と似た形で発明、利用されることとなるだろう。
補足