――始まる。
木、木、木。
ここは森。
静かなる樹木達と、深い闇が支配する場所。
その中を、影が走り抜ける。
――始まる。
否、影だけではない。
それを追うように、巨大な何かが居た。
巨人だ。
月明かりが照り、影が少年であるのを明らかにする。
巨人が、少年に追いつく。
巨人が、少年に手を伸ばす。
少年の、絶望の顔。
――始まる。
またも否。
伸ばされた手が止まる。
……掴まれている。
巨人の手が、闇によって拘束される。
闇の中から、二つの赤い光が揺らめく。
それは、眼光。
巨人は、その眼光の主に捕食されていく。
闇の中から、骨の砕ける音、臓物を啜る音が鳴る。
――始まる!
少年は、月に向かって叫ぶ。
ここはどこだと。
いつまで逃げればいいのだと。
月は答えてくれない。
あるのは闇と、静寂のみ。
映画版 次元突破!! 究極の戦士達!!
――ぃ。
―――おい、やぶる―
じいちゃん「起きんかいやぶるぅぅぅぅぅぅぅ!!」
突破「んー……んあ、……じいちゃん?」
じいちゃん「なにを昼間っから寝とんのじゃ、ったく」
ここは、ギリギリ遊園地。
多少古いが、客足そこそこの場所。
そこに暮らす二人の男。 突破とその祖父。
突破「だぁってよぉ、最近はリ・タイアの野郎は仕掛けてこねえし、平和で平和で……」
秀一「平和もいいが、日常は大事にしろよ」
突破「秀一? 来てたのかよ」
涼茂秀一。 涼茂財閥の総帥。
脇に控える女性は、秀一のお手伝い、尽楠つかえ。
秀一「お前と違って、忙しいんでね」
男「おお、秀一君か! 相変わらず忙しそうだな!」
益子「やぶる君も、はい!」
突破「うへぇ……へいへい…」
政府からの回し者、赤井男と伝益子。
そんなメンバーが、地球を救うために戦っている。
突破「はぁぁ~……めんどくせぇ…」
チリトリで、園内のゴミを取ってまわる突破。
突破「今日も大人気、だなぁ…」
遊園地の中央広場。
そこにある巨大な戦闘機、戦車、バイクを、子供たちが取り囲む。
あれこそが、地球を守るスーパーロボット、ゲンカイザーだということは、だいたい知られている。
突破「平和だねぇ……」
しかし、突然地響きが!
突破「……そうでもねぇかよぉおおおおおお!! いくぜぇええ!!」
子供たちを避難させ、突破は戦闘機――カイザートッパーに乗り込む!
舞い上がる三つのマシン!
カイザートッパーが胸になる!
カイザーハッサンが腕になる!
カイザーリンカーが脚になる!
突破「ゲェェェェェェェンカァァァァァイザァァァァァァァァァァァ!!」街に降り立つ、ゲンカイザー!
そして地響きの主を見つける!
突破「な、こいつは……!」
そこにいたのは、まるで狼を模したような巨大ロボット!
突破「見たことねぇ奴だが……うぉぉおおおりゃあああああああ!!」
ゲンカイザーが狼ロボットを殴る! 蹴る!
右ストレートが狼ロボットをかすめる!
突破「避けたっ……ぐぁああああああ!!」
狼ロボットに蹴られ、吹き飛ぶゲンカイザー!
脚を踏ん張り倒れるのを防ぐ!
突破「すばしっこいぜぇえ!!」
その時、狼ロボットに異変が!
まるで構造自体を変容するように、みるみる四足歩行に変わっていく!
そして、まさに狼のごときスピードで迫る!
突破「うぉおおお!!? ……な、なに?」
狼ロボットはゲンカイザーを飛び越え、何かに向かって突進する!
突破「……あ、あれはぁああああ!!」
少年!
ビルの上に少年がいる!
狼ロボットはその少年に向かって突進する!
突破「や、やめろぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」
そのとき!
狼ロボットが何かに引き裂かれた!
突破「な、なんだとぉお!?」
少年を守るようにして、闇が取り囲む!
太陽が照る昼間だというのに、闇が生まれる!
少年「……そんな、馬鹿な!?」
少年は驚いていた。
まったく見たことのない地球、日本。
同じ日本なのに、自分の知る日本ではない。
見知らぬアイドル、ブランド、広告看板が並ぶ街。
だが、これは現実。
目の前で繰り広げられる、巨大ロボット同士の争いも。
そして、狼ロボットを少年はよく知っていた!
街が危ない。
自分は知らないじゃ済まされない!
戦わなくちゃ、いけない!
狼ロボットが飛びかかる。
そして、少年はその名を叫ぶ!
その名は………
少年「――バンパイオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
古来より魔が蔓延ると伝えられし闇夜。
異星より来たりし侵略者が大地を蹂躙する。
絶望の叫びが世界を染めるとき、
月光を背に漆黒の空より降り立つ機神。
主の赤き血を自らの糧と変え、
瞳に禍々しき光を湛え、
振るうその爪は迫る災いを薙ぎ払う。
その名は吸血機、その名はバンパイオー――
突破「バンパイオー……だってぇええええ!?」
闇から現れたのは、まさに巨大ロボット!
深い闇の漆黒、血のような深紅!
手に構える刃!
少年がバンパイオーに乗り込む!
少年「やるしかないんだ……! 下がってください!!」
バンパイオーが狼ロボットに飛びかかる!
さっきの一刀で悶えるそれを、手にもつ剣で貫く!
少年「……吸血…浄化ぁぁぁああ!!」
狼ロボットがみるみるしぼんでゆく!
剣を引き抜いたとき、狼は灰になっった。
突破「あ、あんたは……」
少年「説明している暇はありません! ワーウルフェンが来たなら、あの人も……」
突破「ワーウルフェン!? ……バンパイオー、離れろぉぉぉ!!」
バンパイオーがとっさにその場を離れる!
ビームが先ほどまで居た場所を吹き飛ばした!
少年「くぅうっ……やっぱり来てたか、クリムゾルナぁぁ!!」
バンパイオーが見上げる先に浮かぶのは、銀の翼をはやした細身の、まるでボンテージスタイルのようなロボット。
突破「うぉお……こりゃまたギリギリだ」
少年「綾子さん!! ここが僕らのいた世界と違うってわかるでしょう!? なら戦いをやめてください!!」
ボンテージのロボットから、妖艶な声が出る。
綾子「……私の使命は、あくまでバンパイオーの回収と封印……。 世界が違おうと、関係ないわ」
少年「もうやめてください!! あなたはそんな人じゃ……」
綾子「問答無用ッ!! 月岡進次郎!!」
クリムゾルナが飛翔する!
しかし!
綾子「ぐっ……なにぃぃい!?」
クリムゾルナを遮る巨大ロボット!
秀一「……状況が把握できんのだが、やぶる」
突破「おせぇえええ!! 俺だってついていけてねぇよ!!」
――ヨユウダー!
シャクトゥソードがクリムゾルナの拳を止める!
秀一「まぁ、こっちの趣味の悪いほうが敵かな?」
綾子「おのれぇぇえ!!」
クリムゾルナの攻撃を、シャクトゥソードの柄でさばく秀一!
秀一「……フッ…余裕だな」
突破「余裕かますな秀一!! なんか変だぞ?」
四体の巨大ロボットを取り囲むように空間が湾曲していく!
そして、まるで次元を裂くようにして、無数の巨大ロボットが現れた!
月岡「フランケイナーに……クレリッカ!?」
突破「ゼンカイダー!? それにウツノイドばっかじゃねえか!!」
綾子「これは……一体!?」
秀一「そっちのレディの仕業じゃないのなら、また別の何かの仕業ということだな……!」
月岡「……どうします?」
突破「簡単だぁぁあああ!! 全員倒す!!」
一斉に散る四体の巨大ロボット!
秀一「フッ、甘い……!」
華麗な剣技で圧倒するヨユウダー!
秀一「シャクトゥゥゥゥゥゥゥソォォォォォォォォォォド!! メテオォォォォォォォォォォル!!」
綾子「雑魚め……」
クリムゾルナを取り囲む巨大ロボットの群れ!
綾子「……ふん、ルナティックゥゥゥゥ……バンクッ!! ウィットォォォォォォォォォォ!!」
光が輝き、強力なエネルギーで街が吹き飛ぶ!
それはまさに、月光の光!
綾子「……ふ……うふふ……はははははははははははははははははははは!」
月岡「……“地獄の灯火”よぉぉお!!」
バンパイオーが手をかざす!
闇が生まれ、その闇の中から、地獄の炎が溢れ出す!
月岡「我が血を媒介に……生まれよぉぉぉおおおおおおお!! ファントムァァァァァァァァァァァ!!!」
月岡の背中に、触手や牙が突き刺さる!
バンパイオーが血を吸い、エネルギーを増幅する!
月岡「……ッッ!!! うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
闇の中から、閃光が生まれる!
大地を焼き去る!
月岡「……っ……はぁ……はぁ……」
突破「おぉぉぉぉぉぉおぁあああああ!!」
ゼンカイダーの集中砲火に遮られ、身動きが取れないゲンカイザー!
突破「ど、どうすりゃああ…うぁあ!!」
そのとき、一機のゼンカイダーが炎に包まれ四散する!
???「お前の限界はその程度か、突破!!」
突破「その声は……てめぇぇええええええ!!」
高層ビルの屋上から見下ろすのは、リンカイオー!!
エクシード「貴様にここで死んでもらっては困る……それだけだ」
並び立つリンカイオーとゲンカイザー!
突破「……しゃあねか……うぉおおおおおおぉぉぉおおおおおおお!!!」
エクシード「ぬぅぅううううううううううううううううううううううう!!!」
――GENKAITOPPA!
――RINKAICHOUKA!
突破「プラズマァァアアアアアアアアエエフェクトォォォォォォォォォ!!」
エクシード「クリムゾン……ェエフェクトォォォォォォォォォ!!」
弾け飛ぶプラズマ!
燃え盛る灼熱の炎!
突破「ボォォォォォォォルテックッ!! げぇぇぇぇぇぇえんかぁぁあああああああいけぇぇぇぇぇええええええええん!!!」
エクシード「臨界拳………! うぉおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおおおおおお!!!」
ゼンカイダーをすべて貫く、二つの閃光!
突破「――限界!」
エクシード「――臨界!」
突破・エクシード「突破ッ!」
五体のロボットによって、無数にいたロボットはすべて破壊された!
秀一「……エネルギー反応、でかいぞ!!」
エクシード「……凄まじい邪気」
綾子「これは………」
月岡「……空間が、ゆがんでる!?」
突破「きやがるかてめぇぇぇえええええ!!」
現れたのは、まるで邪気そのもの!
それが動くだけで周囲の建物は崩壊していく!
突破「これをやれんのは……」
秀一「……ああ!」
月岡「……あれしかない…!」
「うぉおおおおおおおおおおおお!!」
ゲンカイザーとヨユウダーが、一つになる!
黄金の輝き!
突破・秀一「ムゲェェェェェェェェェェェェェェェェェンカァァァァァァァァァァァイザァァァァァァァァァァァァァァァア!!!」
月岡「綾子さん……!」
綾子「……仕方ない。月の光よ……吸血機の王の目覚めを、いま安らかにせんッ!!」
クリムゾルナから光がバンパイオーに照射される!
異形な姿が、さらに異形になる!
月岡に突き刺さる触手と牙!
月岡「ううぐぅぅ……うぁああああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
バンパイオーが翼を広げる!
月岡「うぐ……ぅう……つ、月と……太陽ッ! “地獄の輝き”よぉぉぉ!!」
バンパイオーが右手をかざす!
闇の中から生まれるのは、まさに宇宙!
月岡「ネロ……ファントムァァァァァァァァァァァアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
――GENKAICHOUETU!!
突破・秀一「うぁあああああありゃあああああああああああああああああああああああああ!!」
ムゲンカイザーから、壮大なエネルギーがビームとなって発射される!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
――ぃ。
―――おい、やぶる―
じいちゃん「起きんかいやぶるぅぅぅぅぅぅぅ!!」
突破「んー……んあ、……じいちゃん?」
じいちゃん「なにを昼間っから寝とんのじゃ、ったく」
突破「あれ……夢?」
あの壮絶な戦い。
それらは夢?
秀一「さっさと仕事してこい!」
チリトリを渡される。
有無を言わさず管理室を追い出される。
突破「はぁぁ~……めんどくせぇ…」
チリトリをはいていると、俺のまえに二人の男女が現れる。
男「すみません、中央広場ってどう行けばいいんでしょうか?」
俺は道を教えてやる。
男「ありがとうございます、行こう…綾子さん」
女「ええ」
俺は二人を見送る。
中央広場、俺の誇り高き相棒がいる。
突破「今日も大人気、だねぇ……」
俺はため息をつく。
突破「はぁ……平和だねぇ全く」
しかし、突如鳴り響く地響き!
突破「……そうでもないか」
広場に駆け出す。
今日も平和を守るため。
突破「……いくぜ! ゲェェェェェェェンカァァァァァイザァァァァァァァァァァァ!!!」
戦え、突破!
限界突破だ、ゲンカイザー!
おわり
最終更新:2009年11月23日 16:25