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――――とある一室。
そこには一つの円卓と十三の椅子が置いてあり、その椅子には
ぴったり十三人の人間が座っていた。

??「……一体どうしたって言うの?」
?????「知らないわ。私だって呼び出されただけ。あんたは?」
?????「さあ……」
?????「ったく、相変わらず可愛げないわね」
??????「へっ、そりゃてめえだろ?」
?????「どういう意味よ!?」
??????「言ったまんまさ、ヒック」
????「また飲んだのか……臭いぞ?」

不毛な会話が続く中、一人の男が入ってきた。
その男は階段の上に設けられた一際立派な椅子に腰掛けた。

???「集まっているな」
??「はっ、十三人全て揃っております」
???「よし。では伝えよう。明日1830、地球へ侵攻する」
?????「何!?本気ですか!?」
???「うむ。その為に開発班に『あれ』を開発させたのだろう。今こそあの力をもって……」

男が言いかけたところで、一人の兵士が部屋に乱入してきた。

兵士「ほ、報告します!開発班の兵士が一人、『あれ』を奪って輸送船で脱走しました!」
???「何だと!?」
???(……上手くやってくれましたね、パンドラ。貴女に一切の希望を託します……)
???「くっ、裏切りか……へパイトス!」
へパイトス「はっ、ゼウス様」
ゼウス「ヴァルカンを使え。何としても『あれ』を奪い返せ!」
へパイトス「オーラ・オリンポス!」

地上、千葉県、私立浦北高校。
下校時刻に差し掛かり、多数の生徒が校庭を横断していく。

辰美「やーっと授業終わったな。ホンマ疲れるで」
虎宇治「全く。五時間目の岡の国語がきついったらきついったら」

ポニーテールの少女の言葉に対し茶髪の少年がため息混じりに呟く。

武「あいつの話つまんねえからなぁ……なあ翔哉?」
翔哉「どうした?」

少し大柄な男に話しかけられ、青髪の少年が不機嫌そうに振り向く。
いや、彼はいつもこんな顔か。

武「数学の宿題だけどさ、後で見せてくんねえか?」
辰美「あ、ウチもー」
虎宇治「出来れば、僕も……」
翔哉「ったく……分かった。後で家に来い」
辰美「はーい♪……あれ?何やろ?」

翔哉「どうした、辰美?」
辰美「ホラ、あれ。飛行機か?」
虎宇治「いや、飛行機には違いないけど……でかいコンテナを抱えてる……輸送船かな?」
武「おい、あれ……煙出てねえか?」
翔哉「…確かに。高度も下がってきているな」
辰美「いやそれより……アレこっちに向かってきてへん!?」
翔哉「ああ。角度から見ても恐らくここに墜落するな」
虎宇治「えぇえええええ!?」

翔哉の解説と虎宇治の叫びを合図に周囲の生徒が絶叫しつつ逃げ惑う。

翔哉「俺たちも逃げるぞ」
辰美「いや、こっからじゃ校門まで間にあわへんやん!」
翔哉「その辺の草陰でいい。さっさと隠れろ!」

翔哉達が茂みに逃げ込んだ十数秒後、爆音と共に輸送船が墜落してきた。

辰美「……い、生きてる…?ほなとっとと逃げよ!な!?」
翔哉「待て。輸送船だったら操縦者がいるはず。操縦者の救助が先だ。辰美、応急処置の仕方分かるな?虎宇治とそっち頼む」
辰美「え、翔哉と武は?」
翔哉「積荷が可燃物や爆発物だったら運び出さなきゃいかんだろう。俺達はそっちだ」
辰美「了解!行くで虎宇治!」
虎宇治「おう!」

こうして四人は二手に分かれた。
この輸送船は非常に大きく、四十メートルはあると思われた。

翔哉「『コンテナへ入るには解除コードが必要です』……チッ、んなもん知らねえよ」
武「だったら、どいてろぉっ!!」
翔哉「うおっ!?」

武が突然扉にタックルをかまし、その衝撃で扉が吹き飛んだ。

翔哉「お前な……もっと他に方法が……!?」
武「…………!?」

二人は、コンテナの中の積荷に唖然としていた。

辰美「あ、虎宇治!操縦者おったで!」

辰美は、コクピットの中に蠢く影を見つけた。

女性「う、うう……ゼーレ反応あり……ここで間違いないわね……」
虎宇治「おい、しっかりしろよ!」
女性「あなた達……頼みがあるの」
辰美「え?」
女性「このコンテナの中身を……受け取って欲しいの」
辰美「ええ!?」
虎宇治「ちょ、ちょっと待てよ!なんだよコンテナの中身って!?」
女性「……コード、『F・G・K』承認……」
辰美「えふじーけー?」
パンドラ「私の名前はパンドラ。コードネームみたいなものだけどね。助けに来てくれてありがとう。
  でもね……もう限界みたい……ね……」

パンドラと名乗った女性はそれっきり冷たくなって動かなくなった。


翔哉「お、辰美。どうだった、操縦者は?」
辰美「…………」

辰美は黙って首を横に振る。

翔哉「そうか……」
虎宇治「操縦者の人、積荷を僕達に託すって……なあ翔哉。積荷って何だったんだ?」
翔哉「……戦闘機だ」
辰美「!?」
武「ああ。動物型の戦闘機が四機置いてあった」
虎宇治「それを託す……?どういうことだ?……!?」
辰美「何や、アレ!?」

四人の視線の先には、二体の巨大な人の姿をしたものが浮いていた。

へパイトス「ふむ、墜落か……積荷は大丈夫だろうな?」
兵士「はっ、コンテナ及び動力炉は外して撃ちました故」
へパイトス「よし、回収するぞ」
兵士「了解」

辰美「な、なんや!?下りて来たで!?」
翔哉「なるほど、目的はこのコンテナか」
虎宇治「あれ、武装してるよ……これに近づいた僕らって、かなりやばいんじゃ……」
武「なるほど、積荷を託すっていうのは……」
翔哉「これで戦えってことだろうな」
辰美「ええ!?」
虎宇治「無理だよ!操縦方法も知らないのに!」
翔哉「コクピットにマニュアルでも置いてあるだろう。それにお前は無抵抗で死にたいのか?」
虎宇治「死ぬなら一緒じゃないか!」
翔哉「ここでオドオドしてたら100%死ぬ。だがあれに乗れば数パーセントは生存率があがるだろう」
虎宇治「……分かったよ」

四人はコンテナの中の戦闘機に潜り込んだ。

辰美「あ、あった。これがマニュアルやな」
武「パイロットスーツもあるが、どうする?」
翔哉「着ている余裕はない」
虎宇治「ハッチオープン……出られるよ!」
翔哉「よし、奴らに一泡吹かせてやるぞ」

兵士「! ヘパイトス様、あれを!」
ヘパイトス「神獣機…!?何故動いている!?ええい、あれには自己修復装置がついている!
     多少の攻撃は構わん!何としても捕獲しろ!」
兵士「はっ!」

兵士の機体が機銃を構え翔哉の鳥型戦闘機に向かって乱射する。
しかし、翔哉はその弾丸の雨を上手く掻い潜る。

翔哉「なんだ、意外と簡単なシステムだな。椅子がないのが気になるが……」
兵士「速い!?パイロットは何者だ!?」
翔哉「武装は……こいつか。お前はミサイルでも喰らってろ!」

翔哉の戦闘機がミサイルを放ち、兵士の機体に直撃した。
そこに辰美の竜型戦闘機が続けてミサイルを撃ち込む。

兵士「うわあ!?」
辰美「どないや!女子高生でもこんぐらいやれるんやで!」
虎宇治「辰美、退いて!」


駄目押しに虎宇治の虎型戦闘機が爪で斬りつける。その爪で兵士の機体の右腕が切断された。

武「止めだ!バルカンボンバー!!」
兵士「う、うわあああ!!」

よろめく機体に武の亀型戦闘機がキャノン砲を撃ち込んだ。そして兵士の機体は爆炎の中に消えていった。

ヘパイトス「こいつら、何なんだ!?」
辰美「さあてと、残るは一機やな」
虎宇治「でもあいつは多分一筋縄ではいかないよ。さっきの様子を見ててもあっちが小隊長らしいし…」
翔哉「さて、どうするか……ん?」

翔哉はコクピットのモニターに目をやった。そこには「YOU CAN COMBINE」の文字が浮かんでいた。

翔哉「ユー、キャン、コンバイン……成る程な。辰美、虎宇治、武。聞こえるな?今から合体するぞ」
辰美「え…!?」
虎宇治「合…!?」
武「体…!?」
翔哉「ああ、俺のモニターに『結合可能』の文字が出てる。今からデータを送る。その通りにフォーメーションを組め」
辰美「お、おお!」
虎宇治「やったろうじゃん!」
武「行くぜぇ!」

翔哉の戦闘機が空に高く舞い上がり、急降下してきた。次の瞬間武の戦闘機を掴み再び高く舞い上がった。
やがて一つの巨大な人型が現れ、その目を光らせた。

ヘパイトス「! しまった!合体か!」
翔哉「む?またモニターに文字……?『YON-SHIN-OH』……ヨンシンオー…か?よし、こいつの名は今からヨンシンオーだ!」
ヘパイトス「ちっ、まあ一体になっただけ運びやすい!」

ヘパイトスの機体『ヴァルカン』が拳を握り締め殴りかかってきた。当のヨンシンオーは、手を握ったり開いたりしている。

翔哉「成る程、俺が動けばこいつも動く、という訳か。分かりやすくていい」

そう呟くと翔哉は拳を握り締めヴァルカンにカウンターを喰らわした。その威力にヴァルカンの巨体が吹き飛ぶ。

ヘパイトス「がっ!?まさか、もう操縦方法をマスターしやがったのか!」

そのまま翔哉はヘパイトスの体に拳をぶち込み続ける。やがてヘパイトスの体から黒煙が噴き出した。

ヘパイトス「ちっ、もう限界か!脱出する!」

ヘパイトスは轟音を上げながら爆発した。

辰美「やったな、翔哉!明日は土曜日やし、ゆっくり休も!」
虎宇治「……もうちょっと周囲に気を使って攻撃したほうがよかったかな……?」
武「同感だな。何も考えずに爆発させちまったからな」
翔哉「まあ、いずれにせよさっさと帰ろう」
???『ちょーっと待ってねー、そこの少年少女』
虎宇治「何だ?」
火野『あたしは知ってるよねー、地球連合軍極東支部関東エリア最高指揮官火野陽菜。君らにちょっと話を聞きたくてねー』
辰美「どないする、翔哉?振り切って逃げよか?」
翔哉「地球連合を敵にまわす気か、お前は。従うしかないだろう」
火野『お早いご理解感謝するわねー。じゃ、こっちの指示に従ってねー』
その軽い声に誘われ、ヨンシンオーは歩き出した――――。

第一話「今からヨンシンオーだ」完



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最終更新:2009年12月06日 12:49