哀愁の守護者 第1回「人間嫌い」
『グランダーPXがまたもやプロフェッサームッキングの敵ロボットを破壊しました!パイロットの鎧 龍凱(よろい りゅうがい)君にインタビューします!』
『よぉ!テレビの前のみんな見てるか?この俺とグランダーPXがあるかぎり!世界の平和はムッキング野郎にゃ渡しやねぇぜ!これからも応援よろしくな!来週もこの時間にチャンネルスイッチオン!』
「わーい!またぼくらのヒーロー、グランダーがムッキングのわるいやつをやっつけたぞ!」
「つよいやー!さすがぼくらのヒーローだぁ!あのおおきくてつよいところがかっこいいや!」
かつて。外国の科学者ムッキングは自らをサイボーグ化しロボットを生産。世界征服を狙っていた。それを止めるため日本の研究所がこんなこともあろうかと造り上げたスーパーロボット、グランダーPXが世界を守るため活躍していた。
パイロットは父の敵を討つため自らグランダーの操縦者に志願した高校生、鎧 龍凱。グランダーと共にムッキングの野望を止めるため日夜戦い続けていた。
激闘の末、ピンチに駆けつけた他のスーパーロボット達と共にプロフェッサームッキングと地下に潜んでいた地底怪人族、宇宙からの侵略者ガイガリアを打ち破った鎧 龍凱は伝説の英雄としてマスコミに写り続けた。
しかし次第に龍凱に対する注目も消えていき時の人となりグランダーPXも政府により封印。伝説は風化していった。
それから30年後・・・
『地球連合軍の第8人型機動兵器部隊がまたもやアフグァンのテロ組織を沈黙させました。インタビューしてみます。』
『語ることはない。』
「キャー!クールでかっこいい!」
「あのロボットの細くて顔がキリッってしてるところがたまんねぇよな。」
「グランダーとかの骨董品より数倍かっこいいぜ。」
「グランダーって何?そんなのいたっけ?」
「グランダーはな30年前あたりにな世界を救った伝説の・・・」
「オタク黙れ。」
現代。世界各地でテロ組織が現れる中、それを鎮圧させるために世界中のエリートを集めた第8人型機動兵器部隊が活躍していた。
エリートのためパイロットも編成されている人型兵器も一級品。彼らは世界中で英雄とたたえられ注目されていた。
龍凱がどうなったか?時代が時代である。彼はついていなかったのだ。戦闘に追われてまともに勉強をしていなかった龍凱。そんな彼がリストラされた今新たな就職先が見つかるわけもない。
今じゃ彼は良家に婿入りしたものの追い出され離婚調停中となった中年男性。山田 龍凱(やまだ りゅうがい)である。この時代変な名前と罵られ、ストレスで頭もさびしくメタボに悩む日々。かつてのヒーローはもういなかった。
「はぁ・・・これからどうすればいんだ・・・。もう潮時かな・・・。」
南極。
ゴォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・
「うぅぅぅぅぅ・・・寒い・・・。だが・・・我々は・・・再起を待ち続けた・・・。」
「少しずつ・・・少しずつ・・・戦力を回復させこの時を待ち続けた・・・。」
「我々は・・・今よみがえる・・・!ムッキング地底怪人ガイガリア連合軍・・・復活のとき!」
連合軍基地。
「何だあれは?」
「奇妙な人型兵器だな?警告を出すか。」
ビィィィィィィィィィィ・・・ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
「ぐわあああああああああああああああああああ!」
「ちぃ!人型機動部隊・・・発進せよ!」
「了解!そこの兵器!攻撃をやめ速やかに降伏しろ!われわれのほうが数は上だ。かないっこない!」
『・・・め・・・。』
「な、何!?」
『しずめといっている!人間ごときが!』
「な、うわあああああああああああああああああああああああああああ!!」
「なぞの機動兵器隊だ。我々第8機動兵器隊が止めてみせる。」
「俺たちの実力!見せてやる!」
『無駄無駄無駄無駄無駄!電磁力妨害電波・・・遮断光線発射!』
「な、動かない!」
「かくなる上は特攻あるのみ・・・」
『うるせぇよ。』
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
政府。
「あれはデータによると30年前の・・・。」
「プロフェッサームッキング他による・・・襲撃・・・!」
『あの第8機動兵器部隊もやられてしまった今、我々はどうなるのでしょうか。』
「くぅ・・・国民の不安は増すばかりだ・・・。」
「30年前・・・あのプロフェッサームッキングと互角に戦えた存在・・・。」
「スーパー・・・ロボット軍団・・・!グライダーPXと鎧・・・龍凱!」
【この人を見つけた人は賞金5兆円差し上げます。 鎧 龍凱(よろい りゅうがい)】
「これは!?探せ!探せ!5兆円!」
「こいつ見つけ出して一儲けしてやる!」
「あのぉ・・・この人知りませんか?」
「(これは!)・・・いや知りません。」
「そうですか。では。」
「俺のことを探している・・・?いったい何故今更・・・。ホームレスの俺のことを・・・。」
『30年前に日本を襲った恐怖の組織が何故今再び現れたのでしょうか!日本はいったいどうなるのでしょうか!』
「この映像に写っている奴ら・・・。俺が倒したはずのムッキング野郎の邪悪ロボット軍団・・・!よみがえったというのか!」
「どけよおっさん!5兆円!5兆円!」
「ぐ・・・いててて・・・乱暴な。しかし今の俺じゃ・・・グランダーがいても・・・。」
「龍凱君・・・探したぞ。」
「あなた!」
「え?あ。お養父さん・・・。それに・・・松子。」
「探したぞ龍凱君。いったい今までどこにいたのかね?いやそんなことはどうでもいい。手短に話をしよう。」
(何だこの雰囲気は・・・?彼らは俺を散々罵り追放したはずなのに・・・見せ掛けの親愛か・・・?)
「君の旧姓は・・・鎧。」
「そうくると・・・思っていましたよ。そうなんだろ、松子。」
「今お父さんの会社は財政難で苦しんでるの!どうしてもお金がいるのよ!お願い!警察に出頭して!ほら、良子の養育費も・・・」
「お父しゃん・・・」
「離せよ。」
「ひっ!う、うええええええええええええん!」
「な、あなたこの子の父親なのよ!なんてことを!」
「何振りかまっていられるか。俺はごめんだ。あんたらにこれ以上利用されるなら。もう・・・家族でもない!」
「失望したよ・・・。龍凱君。」
カシャ・・・
「銃・・・。どうしても俺を連れて行く気ですか。」
「私も何振りかまってはいられないのだよ。」
「私はね。もううんざりなんです。人間が・・・嫌いなんです。何もかもどうでもいいんだよ!」
バン!
「そんなの当たるか!」
バキィ!
「ゴフ!」
「キャアアアアアア!警察を!」
「チッ!」
「うええええええええええええええん!ひええええええええええん!お父しゃああああああああん!」
「聞いたか!あいつが鎧 龍凱だってよ!5兆円があそこにいるんだあああああ!」
「写真とだいぶ違うが・・・待てええええええええええええ5兆円!!」
「ちくしょう!どうしてバレたんだ!だが・・・冗談じゃない!」
「プロフェッサー。連合軍の基地は日本を除きすべて機能不能にいたしました。」
「うむ。次は・・・次は・・・わしらの・・・ふるさと・・・日本!」
「待ちやがれえええええええええええ!止まらねぇと殺すぞ!」
「どけ!5兆円は俺のもんだ!」
「こいつら・・・群れて!群れて!群れて!こんな糞みてぇな奴ら 守 っ て や る も の か ! 」
次回へ
最終更新:2010年01月15日 20:23