カラスが鳴き、鼻水たらした子どもがかあちゃんに怒られまいと急ぎ足で帰り、豆腐屋の笛が町に鳴り響く。いいねぇ。
ん?何だ?何かが足りない。そうだオレンジ色が足りない。空を見てみよう。ホラ真っ黒。
戦闘士 シャンアイアン 第1記録「陰謀のざわめき」
チャリンチャリンチャリン・・・鈴のついたドアが開くと小汚い着物を着た男が入ってくる。
「おお和吉さん今日もご苦労さん。」
和吉「あんがとよ。冷たいの一杯。」
「あいよ。」
疲れた表情をしうつむく和吉という男。ドアの窓の外には巨大なロボットの足みたいなのが見える。
ププププー・・・笛が鳴る。見世物屋のテントの方だ。大勢の人が群れをなしている。
「みなさん。今日はお待ちかねの超能力少女のマジックショーだよん!」
中では9歳ぐらいの幼い少女がトランプやスプーン曲げという定番マジックなどを披露していた。何かをするたびに狂った歓声が響く。
和吉「じゃなマスターまた来んよ。」
「へい。おやすみな。」
和吉はそう言うと近くのロボットの足を一蹴りし蟹股でどっかに歩いていった。
見世物屋のテント。閉店なのか既に客はいない。
「ほぉら賃金だ。明日もしっかりやれよな。」
少女「は、はい・・・。」
「小汚いな。さっさと帰りな。掃除が大変なんだよ。」
少女は店主の侮辱を受けながらうつむきテントを出ようとしたその時・・・!
少女「あ、あのう何ですか!?」
「いいから来い。」
少女「いやぁ!」
「くっ!抵抗するな!」
「何だ何だ?人身売買でもする気か?人の商売道具盗むとはふてぇ奴って銃!?」
バァン!ドサ・・・
少女「あぁ・・・!」
「ふん邪魔だてするからだ。おい!いいから来るんだ!」
和吉「ちょぉっと待ち!そこのあんさんそんなおチビたんにちょっかい出すっちゃぁいっぱしの大人としてどうよ。」
「な、何だ貴様は!貴様も撃ち殺されたいか!」
和吉「やってみぃや不良野郎が。」
バァン・・・!
「何いない!」
和吉「いただき!ストレェェェット!」
バキィ!
少女「あ、ありがとうございます!」
和吉「気にすんなって。おめぇ何かきったねぇ格好してやがんな。俺が言えないが。」
少女「・・・。」
和吉「あ、わりぃわりぃ。おチビ相手でも女性に他するエチケットは忘れちゃいかん。どうだ俺んち泊まらないか?これでも風呂はある。」
少女「え・・・いや悪いです・・・。」
和吉「気になされるなって。んーでも俺みたいな小汚ねぇ男んちに幼女一人じゃあらぬ疑いをかけられかねないな・・・よし。」
和吉「わるいな姫子さん。」
姫子「いえ。いつもお世話になっているのでこれくらい。」
少女「あ、あのう。」
姫子「あなたね。名前は?」
貞美「桂・・・貞美です。あのご迷惑お掛けしますがよろしくお願いします!」
姫子「いいのいいの妹みたいのが欲しかったし。うれしいわ。」
和吉「んじゃ俺は帰るぜ。じゃな。」
姫子「和吉さん。明日は遅刻しないように!」
和吉「ひぃ!了解了解。」
「ボスぅ!」
バキィ!先ほどの兵士が豪腕で殴られると数10メートル吹き飛び動かなくなった。
ボス「フンてめぇがぁ!雑魚には任せておけねぇ。こうなりゃ実力行使じゃい。」
姫子の住む家。そこそこ豪華な佇まいである。貞美は風呂に入り着物着付けもした。先ほどと見違えるほど可憐な姿である。
貞美「あのう・・・着物まで貸していただいて・・・。」
姫子「いいのいいの。よく似合ってるわよ。ん?」
ガァン・・・ガァン・・・突然巨大な足音が姫子の家の外から響きだす。地震にしては揺れのペースが遅いし音が大きすぎる。
姫子「え、何かしら?あ、あれは・・・!」
『鈴木、狙いを絞って打ったー!あピッチャーフライで終わりました。次・・・』
和吉「ちぇなかなか決まらないの。今年もだめだな。んお?」
『でしたが・・・ジジ・・・ジジジ・・・』テレビに突如ノイズが走り出した。
和吉「なんでぇくそぅ!なけなしの金で買ったってのにもう傷もんかよ!ついてねぇや・・・。ん?」
ドォン・・・!ドォン・・・!ドォン・・・!ドォン・・・!
和吉「うあ何だ何だ何だ何だぁ・・・!勘弁してくれぇ俺地震苦手なんだよ・・・ってこりゃぁ。」
外の轟音は当然住人にも聞き渡っていた。地震の耐性が低い水戸住民は慌てふためいていた。
「落ち着け!地震じゃないかもしれないぞ。」
「じゃぁ何なんだよぉ!言ってみぃ!」
「それは・・・分からん。」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!って何だあれ!あそこだ見ろ!」
「ありゃぁ・・・でいだらぼっち・・・?」
彼らの見る先にはまるで水戸の某公園にあるダイダラボウという巨大な像に酷似したこの世の物とは思えないゴリラみたいな機械がいた。
ボス『フンここの家だな。えぇっとそこの家の住人につぐ!その家に桂 貞美という幼女が保護されているはずだ!まぁ何だ・・・引き渡せぇい!』
姫子「え・・・な・・・何なの・・・だいだらぼうじゃあるまいし・・・」
貞美「あ・・・。」
ボス『おい!何か返事しろぉい!ちぃ!家壊すぞぉぉぉ!いいのかぁぁぁ!?』
姫子「い、いいいいい、嫌ですっ!!」
ボス『お、おお何とかわいらしいご婦人って・・・何だとぉぉぉ!家壊すぞぉぉぉぉぉ!そこの幼女渡せばいいんじゃぁぁぁぁ!』
そのころ先ほどのバーの前。巨大ロボットのコックピットの中。
和吉「だぁうるせぇの!ありゃ音量MAXだぜ。ちくしょう戦闘モードのパスがわからねぇぇ!あぁもういい作業用モードでやってやらぁ!」
ボス『ご婦じぃぃぃぃぃぃん!乱暴したくないからゆうこと聞いてぇぇぇぇぇ!じゃないとまず屋根外すぞぉぉぉ!』
姫子「嫌ですっ!!」
ボス『じゃぁ!えぇっと何だ・・・あれだあれ・・・あれを・・・』
和吉「外させんぞぉぉぉ!」
ボス『何!』
ゴリラロボットに乗るボスが上を見るとそこには銀色の細身のロボットが空中から降り立っていた!そしてファイティングポーズを取る!
和吉「近所迷惑とご婦人のご迷惑には水戸土木産業社手伝いの万場 和吉と!スーパーロボ、シャンアイアンにお任せぇ!」
姫子「あれは和吉さんの大型機械じゃないの!どうする気かしら。」
和吉「ほらぁ!パンチだ!」
シャンアイアンの右腕が一直線にゴリラロボットの胴体に向かい炸裂する!華奢な腕でありながらゴリラロボへのダメージは協力だ!
ボス『うぉぉぉぉぉ・・・やるぅ!だがパワーではおいらの奴の方が上だぁぁぁぁぁ!』
グォォォォォォォォ!ゴリラロボットの豪腕がシャンアイアンに向かう!
和吉「あぁぁぁらよっと!んでキックぅ!」
シゥゥゥゥ・・・ガッキィィィィン!軽々と豪腕を飛び越えゴリラロボットの頭部に向かいキックを炸裂させる!
ボス『うぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
和吉「怯んだな!よしとどめだ!腕伸びろぉぉぉぉ・・・スプリングぅぅぅパァンチ!」
シャンアイアンの腕が伸びバネが現れたと思うと一気にバネが弾かれ腕が超高速で伸びる伸びる伸びる!ゴリラロボに・・・・炸裂!
ボス『ぎやぁぁぁぁぁ!こりゃたまらん!逃げるぅ!』
和吉「へっへっへっへ!おとといきやがれゴリラ野郎!」
貞美「・・・。」
和吉「姫子さんったらのびてやがらぁ。いっぱしに叫ぶからだぜ。貞美だっけか。おまえももう寝な。」
貞美「あの・・・私前から誰かに追われてる気がして・・・。あのロボットも。」
和吉「・・・まぁ今日のことは忘れろ。また来たら俺が追っ払ってやっから。じゃな。」
和吉「・・・あいつまだまだ最近成り上がったばっかなのか手ごたえがなかった。本物だったら水戸なんて滅んでやがる。」
和吉は思いつめた表情でシャンアイアンをにらみつける。
和吉「戦闘士だぁ・・・そんなもん二度となりたかねぇが・・・いつかは戻るときがきそうだぜ。それにしても戦闘モード解除パスわかんねぇぇぇぇぇ!!」
戦闘士 シャンアイアン 第1記録 完
最終更新:2010年01月15日 20:33