1話「巨人爆誕!」
ここは町工場、うちは親子三代で切り盛りしている。
何を造っているのかって?
それは―――
「こぉうらぁーー!!」
ガン!
「いってぇー!」
「サボってんじゃねぇ涼介!」
俺の名前は十束 涼介、こっちのスパナで俺を殴った頑固者は俺のオヤジ。
得意科目は図画工作、ガキの頃から機械をいじくっていたから当然と言えば当然。
涼介
「オヤジ、最後の仕上げだからってそんなに張り切んなくても―――」
ガン!
涼介
「いってぇー!」
工造
「最後の仕上げだから根詰めるんだろうが、馬鹿やろう!!」
そう、今日は特別な日だ。
オヤジにとって、おじいちゃんにとって、勿論俺にとっても・・・
五十年かけてようやくここまできた、その五十年かけて造った物は―――
涼介
「ロボット!!」
工造
「いっ、いきなりどうしやがったんだ?」
涼介
「気にしないで」
工造
「そうか?」
涼介
「あっ!おじいちゃん起こしてくる」
工造
「おう、行ってこい!」
ここは家の二階、事務所もかねてるから家とゆうより殆ど工場だ。
生活スペースが少ない上に野郎ばかりの所帯なもんだから生活感0だ。
母ちゃんが出て行くまではちったぁマシな生活だったんだけど甲斐性のないオヤジのせいで・・・
それはさておきおじいちゃんを起こさなきゃ。
涼介
「おじいちゃん、起動テストするよ!」
鋳鉄
「お~もうそんな時間じゃったか、えーと田中さんでしたか?」
涼介
「おじいちゃん、俺だよ涼介だよ!」
鋳鉄
「涼介か、ジョークじゃよ」
涼介
「おじいちゃんが言うと冗談に聞こえないよ」
この人は俺が超ソンケーする人だ、俺がガキの頃から色々教えてくれて今じゃすっかり一人前だ。
オヤジは俺をまだまだだって半人前扱いするけどこの人は俺を認めてくれる。
いつかオヤジよりすごいメカニックマンになってギャフンと言わせてやる!
工造
「じいさん、やっとここまできたな」
鋳鉄
「長かったな工造よ」
工造
「ここまで来るのに色々あった、思えば母ちゃんが家を出て行って―――」
涼介
「オヤジ!シミジミするのは後にしてくれ、早く起動テストしようぜ」
工造
「そっそうだな、よし!やれ涼介!!」
涼介
「起動!」
鋳鉄
(ようやく、ようやくワシのやってきたことが報われる。香与・・・)
ドゥインドゥインドゥイン
涼介
「いけー!」
ドゥインドゥインドゥインドゥーン・・・
涼介
「あれ?」
工造
「停電・・・?」
涼介
「オヤジ、勘弁してくれよ!また電気代滞納してんのかよ!?」
工造
「いや来週まで待ってくれと言っておいた筈だ、問題はパワーが足りないんだ」
涼介
「でも電力供給量は今のが限界だせ?」
工造
「どうしたもんか・・・」
鋳鉄
「やり直すしかあるまい、失敗は成功の母じゃ」
工造
「すまねえなじいさん、あんたの夢が・・・」
鋳鉄
「付き合わせたのはワシじゃ、気負うことはない工造よ」
鋳鉄
(しかし変じゃな、電力面に置いては条件を満たしているはず。もしや・・・)
こうなったら意地でも成功させてやる!
こうして復旧作業兼改良作業が始まった。
太平洋
???
「グルルル、ギシャーオ!!」
涼介
「ふぅ、できた」
工造
「あぁ、電力供給量も増やしたし。エンジン周りの改良も施した、さあ起動テストだ!」
涼介
「おう!」
工造
「よし、やれ涼介!」
涼介
「今度こそ頼む!!」
ドゥインドゥインドゥイン
工造
「頼む!」
涼介
「行けー!!」
ドゥインドゥインドゥインドゥイーーン!
その瞬間閃光が工場を包み込む。
工造
「失敗か・・・」
鋳鉄
「いや成功じゃ!」
そして徐々に視界が回復して。
涼介
「やった、やったよ!」
工造
「完成だ、完成したー!うぉー!俺は今感動しているぞー!」
鋳鉄
「巨人が今誕生した」
アキラ
「ちょっと今の物凄い音はなに?またなにかやらかしたの?」
こいつの名前は青海 アキラ、口うるさい俺の幼なじみ。
涼介
「アキラ!見てくれよ、完成したんだこのロボットが!」
アキラ
「あ~へんてこな奴」
涼介
「へんてこって言うな、こいつの名前はなスーパートツカ号って言うんだ」
工造
「こら涼介、勝手に名前をつけるな」
アキラ
「しかもダッサイ、あんたセンスないわね」
鋳鉄
「すまんのう涼介、こいつの名前はもう決まっとるんじゃ。名前は―――」
ドカーーーン!!
その時外で轟音が鳴り響いた!
工造
「なんだなんだ!?」
アキラ
「ちょっと、またなんかやらかしたの?」
涼介
「違う、これは俺達じゃない。とにかく外に行ってみよう」
俺達は外にでて衝撃的な光景を目の当たりにする、見たこともないバケモノが大暴れしていた。
涼介
「なんだあのバケモノは!?」
およそ5km離れたとこにバケモノはいるが、その姿ははっきり見える。
それほど巨大だってことだ。
アキラ
「おっきー、てんな事言ってる場合か!」
工造
「なんなんだありゃあ・・・」
涼介
「何でもいい戦おう、あのバケモノと」
工造
「ばっ馬鹿、どうやって戦うんだ」
涼介
「なに言ってやがんだオヤジ!戦う手段ならたった今できたところじゃねえか!」
工造
「まさかお前」
涼介
「そのまさかよ!あのロボットであんにゃろうをぶっ倒すんだ!!」
工造
「ダメだダメだ、危険すぎる。なによりあいつを運用するには莫大な金が・・・」
アキラ
「そうよ、おじさんの言うとおり危険よ。あんなのに勝てっこないわ」
涼介
「危険は承知の上だ、何のためにあいつを造ったんだ!?今戦わなかったらあいつはただの博物館にある見せ物と同じだ、観賞用に造ったんじゃねえ!!」
工造
「しかしだな・・・」
鋳鉄
「涼介の言うとおりじゃ」
涼介
「おじいちゃん!」
鋳鉄
「やれるな涼介?」
涼介
「当たり前だぜ!」
俺はコクピットに乗り込み奴と戦う覚悟を決めた、こいつはおじいちゃんの五十年分の思いが込められているんだ。
ただの見せ物なんかじゃないってとこを証明してやる。
工造
『涼介聞こえるか?』
涼介
「ばっちりだぜ」
工造
『いいか、無理はするな。危ないと思ったらすぐ逃げろ』
涼介
「へん、敵に背を向けて逃げるなんて真似できるかよ、じゃ行くぜ!発進!!」
マニュアルを書いたのは俺だ、だからマニュアルはばっちり頭に入ってるぜ。
操作は楽勝と思ったはずだったけど・・・
ドシーン!
工造
「あいつ、いきなり景気よく転びやがって・・・」
アキラ
「あっちゃー・・・」
鋳鉄
「涼介、お前ならできる」
あれー?おっかしーな、てへへ。
よしここから本番!
バケモノの眼前まで距離を詰め俺は言ってやった。
涼介
「やいやいやい、よくも俺の町で大暴れしてくれたな!」
バケモノ
「グルルル、ギシャーオ!」
涼介
「日本語をしゃべりやがれ日本語を!」
バケモノ
「ギシャー!」
ボウ!
涼介
「あちちち!」
バケモノがいきなり炎を吐きやがった。
涼介
「オヤジ!気密性どうなってんの?熱いじゃないの!!」
工造
『あーすまん、装甲費がバカにならんのでな。一部薄くしてある』
涼介
「こらー!手抜きすんな!!」
アキラ
『涼介!気合いよ!!』
涼介
「言ってくれるぜ」
バケモノ
「ギシャー!」
ボウ!
涼介
「うわ、またきた」
すかさずかわす俺、体勢を整えようとした瞬間バケモノの鋭く尖った爪が。
ガキン!
涼介
「うわー!!いっ、意外に軽快だな・・・」
よし、やられてばっかりじゃ面白くねぇ!
反撃だ!!
涼介
「町工場なめんな!」
アッパー!・・・、かわされた。
あの軽快なフットワークを止めるにはあれしかない。
涼介
「えーと、えーと名前は」
鋳鉄
『ユンガーじゃ、ユンガー50じゃ涼介!』
涼介
「ユンガー50・・・」
鋳鉄
『行け!ユンガー50!!』
涼介
「よーし!行くぞユンガー50!!」
俺は構え、そしてパンチを放つ!
涼介
「ユンガーァァァ・トルネードォォォ・パァァーーーンチ!!」
ブン!
アキラ
「なにも起きないじゃない!」
工造
「甘いなアキラちゃん、U・T・Pはここからが本番!」
ドッドッドンドンドン!
アキラ
「ダッサー、腕つきだして走ってる」
工造
「まぁ、よく見ていろ」
アキラ
「え?風が・・・」
工造
「説明しよう、あーして走ることによって腕のファンが風を集め、強い風圧が生じるのだ。突き詰めて言えば風車の原理、そうして集めた風が電力を生み出し破壊力のあるパンチをも生み出すのだ。電力も節約できるし強いパンチもできて正に一石二鳥なのだ!」
アキラ
「でもあんな事したってちょっとしか風を集めれないんじゃ」
工造
「あまーい!それは人間の尺度で見た考えだよアキラちゃん。あの巨体、収束できる風の量は桁外れ。しかも走ることによって相乗効果が働き、より効率的に風を集められると言うわけだ」
アキラ
「へ、へー」
工造
「見よ!」
ブゥワー!
アキラ
「すごい風・・・、台風みたい」
バケモノ
「ギシャー!」
ボウ!
また炎か、だが今のユンガーには関係無え!
炎なんかこの風で吹き消してやるぜ!
バケモノ
「ギシャーオ!」
よし炎を吹き飛ばしてやったぜ!
涼介
「覚悟しやがれー!」
ドカァ!
涼介
「吹っ飛べー!!」
ユンガーの放ったパンチはバケモノを空中にぶっ飛ばしバケモノは爆散!
こうしてユンガー50の初めての戦いは勝利で終わったのだった。これから始まる壮絶な戦いを知らずに・・・
続く
最終更新:2010年01月15日 22:11