ハツコイマシン第一話「僕らの初恋の相手はこんなにもガッチガチだったでしょうか…?」
「チェエストォー!!」
真っ赤な拳が巨大な蝙蝠を砕く!
「ほらほら、どこ見てるのよ!」
青い斬撃が巨大な猿の大群を切り刻む!
「…邪魔すんな…!」
緑のビームが巨大ななんやかんやをまとめてかき消す!
やがて赤い巨大ロボットが地上に降りてきました。
「今のでラストか?」
それに青い巨大ロボットも続きます。こちらは赤いのより一回り小さいです。
「そーみたいね」
一番大きな緑のロボットがお茶目に肩をすくめてみせます。
「拍子抜けだね。最近、攻撃ゆるくない?」
彼らこそ、日本が誇るスーパーロボットのパイロット達なのです。
「レッドギルガメス」の山瀬カズキ。
「ブルーセイレーネ」の浜崎ミユキ。
「グリーンサイクロプス」の大村シンジ。
驚くことにみんな十代です。日本のティーンエイジャーマジやべえ。
彼らの任務は宇宙人の攻撃から「日本を」守ること。
まだまだ各国柵が残る昨今、みんな仲良く、とはなかなかいかないものです。
「お前らまたやらかしたのかぁ!」
基地で三人に怒鳴り散らしているこのチョビヒゲは、日本防衛隊の小島リュウヤ隊長です。
「えー、だってー」
カズキが文句たれます。
「敵は倒したし、いいじゃないですかー」
ミユキも膨れっ面で反抗します。
「その度にマシンを壊されてみろ!こっちはもう限界なんだよ!」
「所詮マシンです。直せばそれでいいでしょう」
シンジが冷たく言い放ちます。
「じゃ、そーゆーわけで失礼しまーす」
カズキとミユキとシンジは悪びれる様子も無く司令室から出て行きました。
「アイツら……で、システム進行度は?」
リュウヤ隊長はパソコンに向かっている女性隊員に話しかけました。
「ほぼ完璧です。今夜にはもう設置できますよ。各データは……
山瀬くんは引っ越した幼馴染、浜崎ちゃんは父親の再婚相手が連れてきた義弟、
大村くんは幼稚園の先生ですね」
女性隊員は牛乳ビンの底みたいな眼鏡をくいっと上げ、聞かれてないことまで答えました。
「……そ、そうか。なら、今夜早速とりかかってくれ」
「了解です」
翌日、いきなり敵襲の警報が鳴り響き、ほとんどの隊員がそれで叩き起こされました。
無論カズキ達もその一員です。
「おっしゃあ!人の安眠邪魔した罰を…」
『君が山瀬カズキだね?私はアイ。これからよろしくね』
ふいに、聞きなれない声が聞こえてきました。
「……?なあ、ミユキ。何か言ったか?」
カズキはミユキに尋ねます。
「何言ってんの、それはこっちのセリフよ。……シンジは?」
「こっちも同様だ。二人とも、モニターを見てみろ」
「モニター?」
「……誰、これ」
三人の目の前には、見慣れない三人の人間がホログラフで映っていました。
『三人とも、聞こえるか』
リュウヤ隊長が通信で話しかけます。
『それはナビゲート用の擬似人格だ。カズキのがアイ、ミユキのがユウタ、
シンジのがサナエだ』
「それはいいけど、いつの間に?」
『昨夜さっさと取り付けた。まあともかく、これからはその擬似人格と仲良くな』
不審がるシンジにあっさりと返し、リュウヤ隊長は三機を発進させました。
「ったく、面倒くせえなぁ…」
『前方に三体のシルエット確認!』
カズキのぼやきを、アイの警告がかき消します。
「あーはいはい。じゃ、いくぜえ!」
レッドギルガメスは敵に向かって突進します。その勢いで一体撃破しました。しかし
『キャアッ!…いったぁ~』
「あ?どうかしたかよ?」
「じゃ、サポート任せていいのよね、ユウタ?」
『はい、任せてください!』
「それ聞いて安心。それえ!」
敵の懐に飛び込んだブルーセイレーネはグルグル大回転して敵を切り刻みます。
『う、うぅっぷ…気持ちわる…』
「はぁ?」
「じゃあ、ロックオンは任せる」
『ええ、おもいっきりやってね』
サナエのサポートで、シンジは近づく敵をバンバン撃ち落します。
「よし、次…」
『はぁ…はぁ…ごめんなさい、ちょっと疲れたわ』
「…なんだと?」
戦闘から帰ってきた三人はリュウヤ隊長に詰め寄ります。
「隊長!何だよあのAIは!痛がったぞ!?」
「こっちのは目回してたわよ!」
「AIが何故疲れるんですか!いちいち戦い辛いですよ!」
しかし、リュウヤ隊長は平然と答えます。
「ああ、それが目的だからな」
三人は目が点になりました。
「は?」
「そういう風に『痛い』とか言われると、機体傷つけるのを憚られるだろ?
そのための『ハツコイシステム』なんだから」
「ハツコイ……」
「システム……?」
「隊長、それはどういう……」
三人の詰問を避けるように、リュウヤ隊長は大きく伸びをしました。
「質問はそこまで。私は仮眠をとる。お前達も寝られる時に寝ておけ」
そして、そのまま部屋に帰ってしまいました。
「……」
「……」
「……」
あっけにとられる三人でしたが、一応仮眠を取るために部屋へ戻りました。
最終更新:2010年02月11日 21:38