~スカービ渓谷 コア前にて~
ナルシー「さあ、砲撃を開始しますよ!」
お嬢「……私(わたくし)、渓谷はあまり好みではありませんの」
ナルシー「おやおや、シュライク社製の機体が猛威を振るう地形は、お気に召しませんか?」
お嬢「アセンブルの相性に文句を言う心算(つもり)はありませんわ。問題はこの風」
ナルシー「ああ、成程。確かに、こうも砂混じりの風が吹き荒れては、髪が痛んでしまいますね。私も毎日の髪のお手入れには苦労をしていますよ」
お嬢「全く、ブラストの間接部に砂も溜まるし、塗装も剥がれるしで、碌な事がありませんわ」
ナルシー「それはあなたが全身白尽くめのペイントになんてするからでしょう? 大人しく迷彩柄にすれば多少塗装が剥がれても気にならないというものですよ」
お嬢「フルHG機体をピンク色に塗装してらっしゃる貴方に言われたくはないですわ――敵機発見!」
ナルシー「撃破!撃破!ふふふ…」
お嬢「はい!修理完了よ!」
ナルシー「……それは感性の違いというものですよ。私はあなたとは違って剥がれた塗装にもある種の芸術性を認めているのですから。
塗装が剥がれる事によってフレッシュピンクの合間に見えるロールアウトカラー。それは塗装によって作り出される迷彩模様とはまた似て非なる美を生み出すのです」
お嬢様「あなたのセンスは、時々解りかねますわ」
ナルシー「さて、砲撃を行いますよ!」
お嬢「それに覚えてらして? 貴方が休暇に新ブロアに出かけてくると言うから適当に部屋着を見繕ってきて欲しいってお願いした時の事ですわ。
普通にブラウスか何かで結構でしたのにどうしてアーミーシャツなんか買ってらっしゃるのかしら? 私あの時ばかりは閉口しましたわ」
ナルシー「あなたが普段自分で買いそうな物を買って行っては興に欠けるではありませんか。それに、あれはあれで似合ってらっしゃいましたよ」
お嬢様「……っ、話を逸らさないで下さいません事っ?」
ナルシー「おやおや、お世辞などではありませんよ。私の目に狂いはありませんでした。第一、あなたも律儀に着てみて下さったのですら、満更でもなかったのでは?」
お嬢様「そんな事――いい腕ですこと!」
ナルシー「素晴らしい働きです!」
お嬢様「敵ブラスト発――注意が足りませんわ!」
ナルシー「さあ、砲撃を開始しますよ!」
最終更新:2009年12月16日 00:34