少年と少女

「08より04、起動したよっ。あたしの方は問題なし、そっちはどう?」
『04より08。全駆動系はオフライン、コクピットブロックのみの起動を完了。各部問題なし。
 ……ねえ、何で戦術コードで呼ぶのさ?』
「ブラストの中にいるからなんとなくね。それに、隠密展開中みたいでドキドキしない?」
『確かにどきどきはしてる……いいのかな、こんなことして』
「だって、娯楽室をふたりだけで使うわけにも行かないでしょ?」
『そりゃあそうだけど』
「だいじょぶだってば。みんなには内緒、ってだけで、ちゃんと許可取ったもん。
 電力消費はメンテナンスモードよりもっとずっと少ないし、
 有線でつなぐんならゴミ電波も出ないからいいだろうって、整備班長さんが」
『ああ、あの人もグルなんだ……』
「えへへー。それでーっと、基幹制御系の七番から十番まで、こっちにちょうだい」
『ん、了解。――いいよ、ユーハブコントロール』
「アイ・ハブ。それでは、はじまりはじまりー」
『ってうわ、ハッチ閉めるの!?』
「映画見るんだから暗くなきゃだめだよ。あたりまえでしょー?」
『ホントの映画館なんか行ったことないよ』
「あはは、実はあたしも」
『映画館かあ。次があるなら、ポップコーンとか用意しようか。そのくらいなら何とかなるだろうし。
 ああでも、あんまり散らかりそうなものはだめかな』
「んー、じゃあ、今度は食べ物の合いそうなのにしないとだね」
『これはそういう映画じゃない、ってこと? 感動ものとか恋愛ものとか?』
「恋愛もの……になるのかな。……もしかしてだけどさ、キライ、だった?」
『ううん、そんなことないよ。映画ってあんまり見たことないし、楽しい』
「そう? よかった!」
『……えーっと、その、さ。もっと余裕ができたら、でいいから。その。
 ……行こうよ、ホントの映画館』
「ん、そだね……そうだね、一緒に映画っ!」
『――この状態じゃ手もつなげないしなあ』
「――隣にいないと手もつなげないもんね」
『あ、え、何っ!?』
「えっごめん聞いてなかった、何か言ってたの!?」

以上。コクピットでいらんことするのはロマンだが、ブラストは二人乗り無理だしなってことで
映画館は滅んでそうだ。「ノスタルジックな再現型テーマパーク」みたいな形ならありだろうか


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最終更新:2010年01月31日 12:55
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