雛祭りの惨劇

「インテリお姉ちゃん、ヒナマツリって何?」
「あぁ、雛祭りの事ね。
 私達の故郷の古い風習でね。
 3月3日にお雛様を飾って、子供の無事な成長と幸せを祈る、女の子のお祭りなのよ。」
「オヒナサマ?」
「お内裏様とお雛様、三人官女に五人囃子、いっぱいお人形を飾るの。
 豪華なのだと8段飾りとかあって、とても綺麗なのよ。
 私も本物は見た事無いんだけどね。」
「そうなんだ、一度見てみたいな。」

「そんな訳で、少女ちゃんの為に雛祭りをしたいと思うの。」
「『そんな訳で』って言われてもな。
 雛人形なんて何処から調達してくるんだよ?」
「オペ子さんに頼んでも難しいでしょうね。」
「物資調達のプロとはいえ、部隊運営に直接関わらない物は無理だろう。」
「ボク達で、そのヒナニンギョウを作るのはどうでしょう?」
「妙案ですが、もう時間的余裕が在りませんわ。」
「…大体、そのヒナニンギョウとやらが判らん。」
「本物は無理でも、それらしい物をでっち上げれば良いのでは?」
「おぉ、軍師、何か策が御有りか?」
「雛人形っぽい物を作れば宜しいのでしょう?
 でしたら、我々にはうってつけの物が在るではありませんか。
 基地全体の協力が必要ですが、少女さんの為であれば、皆喜んで協力してくれるでしょう。」
「?????」×7


「完成です、名付けてブロッサム隊特製雛人形<<ブラスト・ランナー>>3段飾り!」
「…無茶しやがって。」
「下段の五人囃子には、ベテラン氏の1番機、私の2番機、クール君の3番機、少年君の5番機、予備機の10号機を。
 楽器の変わりに武器を構えてるのはご愛嬌と言う事で。
 中段の三人官女には、まじめさんの6番機、お嬢さんの7番機、インテリさんの8番機を。
 そして上段には、雪洞代わりのセントリーガンを両端に。
 お内裏様に熱血君の4番機を、お雛様には少女さんの9番機をそれぞれ配置しました。
 尚、雛壇の作成と飾りつけは整備班にご協力願いました。」
「何というか、壮観な眺めだな。」
「ボク、夢に見そうですよぉ。」
「…或る意味シュールな絵面だな。」
「何か物々しい雛人形ね。」
「でも、少女さんに喜んで頂けるのならよろしいのではなくて?」
「『今はこれが精一杯』、ね。」
「…何で俺のがお内裏様なんだ?」
「因みに、それなりの予算を突っ込みましたので、オペ子さんはご機嫌斜めでしたね。
 次の戦闘で勝てなければ、少女さん以外は減俸だそうですよ。」
「な、何だって?!」×7
「ささ、熱血君、少女さんを呼んで来て下さい。
 ちらし寿司や甘酒も用意しましたので、ささやかですが雛祭りを致しましょう。」
「いつの間に…。」


「わぁ、これがオヒナサマなの?」
「本物は用意出来なかったからな、これで許してくれ。」
「ううん、素敵。
 ありがとう、お兄ちゃん。」
「礼なら整備班の連中とオペ子に言ってくれ。
 あいつ等の為にも、次の戦闘は絶対勝たないとな。」
「うん!」

「(お兄ちゃん、他の人とばかりお話して…。
  つまんないな…。
  わたしの事、どうでもいいのかな…。
  うぅん、そんな事、ないよね…?
  こんな事考えるなんて、わたし、嫌な子だ…。)
 (あ、これ、アマザケ…だっけ?
  変わった香りだけど、…ん、甘くて美味しい…。
  もう1杯もらっちゃおう…。)」

「ちょっと熱血さん、少女さんが大変ですわよ!?」
「少女がどうしたって?」
「良いから、早くこちらに!」

「インテリお姉ちゃん、どうしてこんなに大きいの?(むにむに)」
「ちょ、ちょっと、少女ちゃん?」
「柔らかくて暖かい………いいなぁ(むにむにくにくに)。」
「あぁん、直に揉まないで、やぁん、摘んじゃダメぇ。
 あ、やだ、んんっ、…私、そんな趣味無いのにぃ!」
「…何してんだ、お前等。」
「あ、お兄ちゃんだぁ。
 お兄ちゃ~ん♪(べったり)」
「あ、こら、少女。」
「ん~~~~~♪♪(すりすり)」
「た、助かったわ、兄貴。
 あぁ、まじめ、生きてる?」
「………もうダメ、私、お嫁に行けないわ。」
「大変ですわ、まじめさんの瞳からハイライトが消えてしまいましたわ?!」
「これが、レイプ目って奴なのね…。」
「これは何の騒ぎだ?!」
「おや、甘酒の容器が空になってますね。」
「…『酒は身を滅ぼす』、か。」
「少女さん、酔っ払ってるんですか?」
「あんな少女さん、初めて見ますわね。」
「おぉい、遠巻きに見てないで助けてくれよ。」
「すまん、無理だ。」
「それは無理な注文です。」
「…それは出来ない。」
「できません、ごめんなさい。」
「それは出来ないよ…。」
「無理ですわ、御免なさい。」
「ちょっと無理かも。」
「この薄情者共ぉぉ!!」

「お兄ちゃん、わたしと一緒に居るの、…イヤなの?(涙目)」
「いや、そんなんじゃ無ぇよ。
 只、ちょっと近いと言うかくっ付き過ぎというか、な?」
「良かったぁ(ぎゅっ)。
 えへへ、お兄ちゃん、だい…す……き……(すぅーすぅー)。」
「少女?
 …寝ちまったのか。
 ふぅ、何だったんだ、一体。」
「少女がこんな風になるとはな。」
「ボク、少女さんが誰かに甘えてるの、初めて見ました。」
「そうなのか?
 俺には時々甘えてくるけどな、今日のは度を過ぎてたが。」
「(これでも少女ちゃんの想いに気が付かないのね…。)」
「(熱血さん、どういう神経していらっしゃるのかしら?)」
「(ツンデレじゃないし、この場合、何デレになるのかな?)」

「…考えたんだが。
 あのヒナニンギョウ、実機を使う意味有ったのか?
 いつぞやのプラモデルでも良かった様な気がするんだが。」
「クール君、こういう諺をご存知ですか?
 『大きい事は良いことだ』!
 (本当に退屈しませんねぇ、この隊は。)」


【おまけ】

「さて、<<ブラスト>>雛を片付けるか。」
「え、もう、片付けちゃうの?」
「あぁ、早く片付けないと、その家の娘は嫁に行くのが遅くなるんだ。
 少女が行き遅れたら大変だからな。」
「いいよ、行き遅れても。
 …その時はお兄ちゃんに、せ、責任取ってもらうから(真っ赤)。」
「ん?何か言ったか?」
「うぅん、何もっ!」
「…何怒ってるんだ?」


+ タグ編集
  • タグ:
  • 熱血
  • クール
  • ベテラン
  • 少年
  • ナルシー
  • まじめ
  • お嬢
  • 少女
  • インテリ
  • 雛祭り
  • ブロッサム隊
最終更新:2010年04月25日 22:43
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。