とある新兵の日記

旧ブロア市街地~作戦コードネーム「街路制圧戦」
~~~GRF軍~~~
ガキィィン
激しい衝撃音とともに、地面に真新しいクランクが倒れる。
「すまんが、これは俺の間合いだ。」
地面に倒れてる残骸に吐き捨てる様に言った後、
デュエルソードをしまい、M90Cサブマシンガンを取り出し更なる敵襲に備える。
ついでに残弾を確認してみる。M90Cサブマシンガンが八マガジン、40型が四つ。
周囲にもう敵影がいないのを確認し、仲間に信号を送る。
「プラントDを制圧した」
早速再起動したリペアポットに入り込む。

思えば残弾を確認するなんてずいぶん久しぶりだ。
今までは補給などしなくても余裕で勝利できたから、そんなめんどい事はしないようになった。
しかし、今回の作戦は何か違う。操縦技量、連携などすべてを含めて敵が優秀になっている。
開幕早々F、Eプラントが敵奇襲により攻め落とされ、コアに二つ41型を投げ込まれた。
その上肝心の敵機は味方が防衛に帰還するのと同時にカタパルトで離脱してしまった。
経験が生きたのだろう。本能的にやばいと感じた俺たちは、ベースを守るよう味方に呼びかけ、F、Eプラントを奪還しにかかった。
だが、予想のほどの反撃は無かった。それどころか敵は徐々に押され始めたのだ。やはりうちのボーダーの技量が上だったということだろう。
これを勝機と捕らえた隊長は、全員に一斉突撃命令を出した。
だが俺だけは、さっき防衛戦やら奪還戦やらで疲労してるはずだからと、C、Dプラント間の防衛任務を任された。
文句は無い。それに敵のコア凸を防ぐのも重要な任務だ。
さっき俺が倒した敵機も、味方が前線で押してる隙を突こうとしたやつだろう。
リペアポットから出ると、俺は目の前の崖を上り始めた。ここら辺一帯を監視しようというのなら高台ほど適切な場所は無い。
「EUSTのフンコロガシさんよ、俺たちに勝とうなんざ百年早いんだよ」
敵ベースに向けて意味も無い挑発をしながら、高台の上から周囲を観察する。
その時だった。「奴」を見たのは。

俺と同じフルHG装備。違うのは奴は全身黒塗装の支援機体だということ。よく見るとブラストの右肩のところに妖しい紫蝶のペイントが見える。
しかし驚いた。HGの、しかも支援機体で味方に見つからず、こんな奥地まで潜伏できるとは。
幸いまだ俺には気づいてないようだ。デュエルソードを取り出し、そっと後ろから忍び寄る。大丈夫、空に偵察機は見えない。
「Cast in the name of god. Ye not guilty.」
意味も無い祈り文句を口にしてから、敵めがけてデュエルソードを振り下ろす。
ブンッ
しかし、刃は敵を触れずに、むなしく空飛びしただけだった。
「消えた!?」
急いで周りを再確認する。
ドスッ
不意に後ろから音がした。あわてて一回転する。そこにはあの支援機体が立っていた。
どうやら真上にジャンプして斬撃をかわされたらしい。
「だが、この間合いなら、俺の勝ちだ。」
近距離でソードに勝る武器は無い。地面を蹴り、ブーストをフルオープンして得意の回転切りをかます。
その時
ガコンッ
衝撃音と共に吹っ飛ばされたのは、俺のほうだった。
当時、俺はショックで何も考えられなくなっていた。
何故だ、何故跳ね返された!?回転切りが跳ね返されるなんて見たことも無いぞ…

ズシン

振動音が伝わってくる。あの支援機体だ。銃を構え、ゆっくりこっちへ向かってきている。
急いで機体を起き上がらせ、マシンガンを構え乱射する。
ダダダダッ
懸命に照準を合わせ、射撃する。だが、
当 た ら な い。
一発も、たとえかすりもしない。プラントの柱とかが邪魔などの原因もあるが、とにかく当たらない。
急いでリロードしようとマガジンを取り出す。リロードしてる間にも、奴は一歩一歩こっちに向いて歩いてきている。
リロードを終え、銃を構える。だがその前に、奴の銃が俺に向けて差し伸ばされた。
ガコンッ
前から、その直後に後ろから、衝撃が襲い掛かった。

幸いマシンガンが敵弾を防いでくれたのだろう、機体損傷はさっきより軽かった。
使い物にならなくなったマシンガンを捨てて、剣を取り出す。少し混乱気味になっていたかもしれない。
「く、くるなぁ!こっちにくるなぁ!俺に近寄るなあ!!!」
叫びながら剣をめくらめっぽうに振り回した。
ガコンッ
また一発。足がやられたのだろう、機体が倒れ込んだまま動かなくなる。
「う、うわああああ」
パニックしている俺にはかまわず、一歩一歩、近づいてくる。
「こっちくるなあ!!」
倒れたまま何とかして剣を振るう。だが、奴は静かに銃を剣に向け、引き金を引いた。
ガコンッ
デュエルソードが吹っ飛ばされる。最後の反抗手段が消えてしまった。
「ああ…あああ…」
完全にパニック状態に陥ってしまっていた。しょうがない。狼に狙われた羊の気持ちがわかったような気がする。
カチャッ、カチャッ
気がつくと奴はリロードをしていた。奴が一発弾を込めるごとに、俺の恐怖心は一層高まっていく。
カチャッ、ガシャゴッ
リロードを終えた奴はゆっくり銃を俺に向けてきた。
嗚呼、黒光りする銃口に死神が見える…
そうっと、俺に見えるように、引き金を引き始めやがった。
「や…やめろ…やめてくれ…っ!」
ニタァ
突然、奴のブラストがニヤリと笑った用に見えた。残念ながらそれが錯覚かどうか確認する前に、俺はブラックアウトしていた。
ガコンッ…
~~~~~~
??「敵を撃破しました。」
???「なるほど、やりますね。」
??「これぐらい普通です。では、作戦第四段階に突入です。Charlie、応答してください。」
???「こちらCharlie」
??「作戦、第四段階に突入。Report in.」
???「了解。ただいま光学明細で敵コア前プラントへ潜伏中。気づかれてはいないようだ…」


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最終更新:2010年03月25日 01:06
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