「♪」
少年は上機嫌だった。 というか意外にノリノリだった。
こ、これは、フリフリエプロン似合いすぎだろ。
後ろ姿が実に艶めかしい……って、いかんいかん!
男の背中を見て、俺はなにを言っているんだ!
「お菓子作りなんて久しぶりで…なんだか楽しいです」
「ふふ、喜んで頂けて幸いです。では熱血さん、型の用意を」
「あ、ああ、そうだな……」
話を振られ、曖昧にうなずく。 見とれていた……と認めてしまうのは悔しい。
少年は少年のくせに男なのだぞ。オス科だぞ。♂だぞ。
男が男に見とれるなど、あってたまるものか。
「上手くいくといいな…」
「大丈夫ですよ。少年さんの気持ちがこもってますから。
それに、この日の為に取り寄せた素材の質も上々でした。
中でもめそ……オホン。さぁ、早く焼いてしまいましょう」
「はい!」
最終更新:2010年03月25日 01:08