まじめちゃんの4月1日

【06:50】
無機質な目覚ましの音で起床。低血圧なので朝はキライ。
今日は、エイプリールフールズデー。絶対に騙されたりしないぞ!と固く心に誓う。

【07:10】
顔を洗おうと共同の洗面場に行くと少女ちゃんがいた。
「新発売の歯磨き粉を買ったから、まじめお姉ちゃんにも分けてあげるね♪」と言うので、歯ブラシに付けてもらった。
口に含んでみると練乳だった。
ニコニコしてる少女ちゃんを見てると、怒るに怒れない。

【08:10】
朝食後、ベテラン隊長から「本日付で部隊内の規則が変わた。訓練時にはこれを付けるように」と名札を渡された。
「1ねん3くみ まじめちゃん」と大きくプリントされている。
時間が無かったので安全ピンで名札を胸に着けグランドに集合したけど、他の人は誰も着けていない。ダメね。こういうことこそ、しっかりしないと。
ベテラン隊長は「一人でも…一人でも引っかかってくれたのなら、夜なべした甲斐があるってもんだ…。」と意味不明の言葉をつぶやいていた。

【09:40】
少年くんが血相を変えて「トレーニングルームで熱血さんが怪我したんだ!」と教えてくれた。
慌ててトレーニングルームに向かうと、何事もなかったかのように熱血が筋トレをしている。
私がこんなに心配したってのに、無表情に筋トレを続ける熱血…。
それを見ていたら、なんだか腹が立ってきた。
熱血の足を踏ん付けてやったら、痛がって飛び跳ねた拍子にトレーニング器具を巻き込んで壮大に転倒。
扉の外から「注 意 が 足 り な い ん じ ゃ な い ?」というつぶやきが聞こえた気がする。


31 名前:まじめちゃんの4月1日 2/3 投稿日:2010/04/01(木) 23:24:59 ID:A3R8+SvR0
【13:30】
ナルシーさんから「4月7日より、勝利時のデモンストレーション行動が変更になりますから」と安来節のビデオを渡された。
安来節って、敵軍への威嚇行動に繋がるのかしら?
宿舎の裏庭で、先ずは生身でトレーニングをしていたら、部隊の皆が建物の陰からニヤニヤしながら覗いている。
…まさか、ナルシーさんに騙された?!
悔しかったので近くにあった空き缶をみんなの方に投げたら、熱血の頭に当たった。ナイス。

【15:20】
戦闘訓練の休憩時間は丁度おやつの時間と重なる。
廊下でお菓子の袋を持ってうろうろしていたお嬢から「フランスの王侯貴族御用達のチョコレート」というものをもらった。
しかも、そんな高価なものを3つも!
嬉しくて3ついっぺんに口の中で溶かしていると、何故か口の中全体に激痛が!
お嬢の部屋に飛んで行って確認すると、激辛チョコレートというものだそうだ…。
帰ってすぐに牛乳飲んだけど、まだひりひりする。

【16:30】
メカニックさんと新パーツ交換の相談をするために整備室に移動。
メカニックさんから「今後はパーツ交換一回につき金のエンゼルなら一枚、銀のエンゼルなら五枚が必要になる」と言われた。
正直に言うと、銀のエンゼルは見たことがあっても金のエンゼルは実物を見たことが無い。
箱買いすれば、銀なら何枚手に入るんだろう…などと考えていたら、メカニックさんが「おいおい、冗談だよ…まさか信じてないよな?」と半ば困ったような表情で念押ししてきた。
メカニックさんまで…。4月1日は油断ならない日なのね。

【17:30】
こうも立て続けに騙されると、だんだん情けなくなってくる。
たまたま廊下で出会ったクールさんに、「エイプリルフールズデーって、どうして、あるの?」って聞いてみた。
クールさん曰く「中国は宋の時代、拳法の達人『栄普劉(エイフーリウ)』は試合を有利に運ぶため嘘をついて相手の虚をついた。無敗のまま天寿を全うした4月1日を門下生が祝ったのが、エイプリルフールズデーの始まりだ…」だそうだ。
流石、読書家のクールさん!また賢くなってしまった気がする。
もっと詳しく知りたい時は民明書房の『嘘も方便』を読めばイイらしい。


32 名前:まじめちゃんの4月1日 3/3 投稿日:2010/04/01(木) 23:28:25 ID:A3R8+SvR0
【18:10】
シャワー室の入り口で、インテリから「今日は女性用シャワールームが故障しているので、修理が終わるまで男性用を使用しなさいって連絡があったよ」と教えてもらった。
18:00~20:00が女性用の時間らしい。
殺風景な男性用のシャワールームで服を脱いでいたら、あろうことか熱血が入ってきた!
口をぽかーんと開けたまま、私の下着姿を凝視してるので、叫び声を上げながら力任せに平手打ちをしたら、クリーンヒットしたらしい。
廊下の壁にぶつかってのびてしまった。
曲がり角の向こうから「さすが私!計算通り!」って声が聞こえた。

【19:00】
今までみんなに騙された鬱憤を晴らすため、熱血をからかってやることにした。
食事の後に「ちょっと伝えたい事があるから」って言って宿舎の裏に来てもらうことにした。
何故か落ち着き無く、視線を泳がせながら待ち合わせ場所に現われる熱血。
うふふふふふ、本日初めての私からの嘘!
「わ…わたし、熱血の事がずっと…好きだったの…。」
固まる熱血。
「なーんて、う…」まで言い出した所で、熱血が奇声を上げながら飛び上がる。
「いいいいいいやッホううううううううう!俺…俺…うおおおおおおおおおおおお!」
そのまま全速力で走り去る熱血…。
ま、いいか。ネタばらしは明日の楽しみに取っておこう♪

【20:10】
布団の中で騙された熱血の姿を思い出すと、何故かニヤニヤしてしまう私。
あーあ、今日は良い一日だった。
おやすみなさい!



【おまけ】

35 名前:ゲームセンター名無し 投稿日:2010/04/02(金) 00:35:18 ID:8ea3y8xe0
次の日まじめが起きると、昨晩のうちに熱血が舞い上がって昨晩合ったことを
大喜びで触れ回ってて、聞いた隊員たちもまじめの嘘なんだろうなと察しながらも
それを指摘せずにしれっとそれが既成事実なような空気を作ってまじめが今更
嘘だと言いだせない雰囲気をつくってニヤニヤしてるところまで想像した


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最終更新:2010年04月04日 16:08
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