~BAR border line~
ここは傭兵達の憩いの場
[ BAR border line ]
店の名前は父が考えた。
何でも戦場の兵士、特に「傭兵」を表してるのだとか・・・
だったら傭兵でいいじゃないと、子供の頃に疑問をぶつけた事がある。
そしたら父が少し笑い、
「傭兵は常に物事の間に立たされる」
と、答えてくれたのを今でも覚えてる。そんな父は今は居ない・・・
母も父がこの店を始めた年に事故で亡くなった
今は妹と二人で店を切り盛りしている
お酒と料理は、母が亡くなってから家事全般を引き受けるようになった私が務め、接客雑用は闊達で人当たりもいい、妹が担当している。
今日は生憎の雨で、入ってるお客さんは常連の6人だけときた
この6人も今日は仕事が休みだそうだ、現代科学の粋を結集したBRも雨の中では活動出来ないらしい。
その理由を以前、ナルシストさんに聞いたが、「ニュードが~、駆動系が~」と、機械音痴の私にはサッパリな説明をされたので、「雨の日はBRは動かない、理由 は察しろ」で、自分を納得させた。
そんなナルシストさんは、相棒のベテランさんと窓際の席で片方はコーヒーと読書を、片方はお酒を片手に只々外を見つめ時間を潰してる感じだ。
この二人、実は故郷が一緒でナルシストさんは婚約者が、ベテランさんは小さい娘を残し此処にいる
しかも、ナルシストさんの婚約者は有名な兵器企業の社長令嬢
ナルシストさん曰わく
「私には過ぎたる女性です」
と、婚約者の写真入りロケットを見つめながら言ってたっけ
そうかな~?
ナルシストさんもあれでBR工学のエンジニアで、BR工学博士号を5つも持つ凄い人なんだからお似合いだと思うけどな~
そしてお隣、お酒を片手に外を見つめてるベテランさん
この人はこの店一番の古株、そして数少ない父の友人でもある。
私も何度かお世話になった事があるがこの人、恐ろしい程口数が少ない
小さい娘さんがいるなんての彼からでは無く、ナルシストさんから聞いたぐらい口数が少なく自分の事は余り喋らない
小さい娘さんがいるなら日頃の感謝の意を込めた物、人形か何かでも贈ったのにとナルシストに愚痴を言ったら、彼は意味深な笑顔で、
「彼も喜びますよ」
て、言ってたな・・・・・?
つ づ く
最終更新:2009年12月13日 17:00