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「あれ、お前ってもしかして、新入り?」
「あ、はい。僕はカールって言います、今後ともよろしくお願いします。」
「あー、それそれ!」
「?」
「その、何つーか他人行儀って奴がオレは嫌いなんだ。もっとこう、フレンドリーに行こうぜ?」
「は、はぁ…」
「オレはウルフ!で、こっちが弟のテイル。」
「…よろしく。」
「オレのことはウルフって呼び捨ててくれていいからな。コイツも、テイルでいい。
間違ってもウルフさんとか全身痒くなりそうな呼び方はやめてくれよな、性に合わねえ。」
「…わかった、よろしく、ウルフ。テイルも、よろしく。」
「……。」
「…えっと、…握手?」
「ああ、コイツは元々口下手でさ…。でも、お前の事は気に入ったみたいだぜ。コイツは、気にいらない奴にはそもそも近寄らないんだ。」

「いやー、でも意外だったぜ。」
「え、どうして?」
「お前みたいなタイプって、絶対初対面でどもったり敬語使うなっつってんのに無意識に使っちまったりするんだよな。」
「僕だって緊張すればどもるよ…。でも、君たちといると、不思議と安心できるって言うか…」
「…それって俺たちは緊張しないくらい威厳がねえって言ってるようなもんだぞ…。」
「ご、ごめん…。」
「でも、まぁ先輩風吹かせてるとか嫌な奴とか思われるよりはマシか。
さて、じゃあ宿舎まで案内するから、来いよ!終わったら、色々施設とか案内するから!」

ウルフは、僕と同い年の少年ボーダーだ。彼の特徴は、その燃え盛るかのような真っ赤な髪。見ているだけで勇気を貰えるような、そんな色。
ろくに手入れをしていないからかあっちこっちに飛び跳ね放題だが、それも赤に呼応して炎を連想させる。決して不潔感などとは程遠い髪だ。
テイルは…滅多に喋らない。ただ、宝石のような艶やかさを持った真っ黒な髪は見ているだけで吸い込まれそうになる。
顔立ちも女性的だし、長い髪も合わさって遠目で見たら多分女の子にしか見えない。僕も、弟と紹介されるまではずっと妹だと思ってたもの。

こうして、僕のボーダー生活は始まった。


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最終更新:2009年12月13日 17:13
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