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人気の無い深夜の通路。
そこを何やら抱えた熱血が不機嫌そうに歩いてゆく。普段とは違い、その足取りは重い。
「ったくよー、少しぐらい洗濯物溜めたぐらいでガタガタ言うなってんだよなぁー。
いい加減クールの野郎との同室は限界だぜ・・・」
そう溜め息混じりに愚痴りながら目的地であるランドリールームに到着する。
……深夜にも関わらず既に明かりが付いていた。どうやら不精者は自分だけでは無いようだ。
「よぉっ、誰だぁ?こんな時間に洗濯たぁ?」
「あぁ、熱血じゃない。ここで会うのは珍しいわね?」
……誰であろうか。見覚えの無い長髪の美人がそこに居た。
しかも格好がかなりラフだ。薄い無地のTシャツにデニムのホットパンツ。
一目でブラをしてない事を看破できたのは流石のハングリーウルフか。
いや待て、あのπは見た事がある。・・・そう、あれはインテリのそれだ。・・・インテリだと?
「よ、よぉ・・・ほんと、珍しいよな・・・お、女は洗濯とか溜めないと思ってたぜ・・・」
『何故どもる!というか落ち着け俺のサワード(誇張)!』
「んー・・・、最近出撃も多かったじゃない?ついついね・・・」
そうバツが悪そうに言って、インテリは読んでいた雑誌に目を戻す。
そ、そうか・・・などと相槌を打ちつつ熱血も持ってきた衣類を乱暴に洗濯機に投げ入れ、椅子に腰架ける。
あまり見ては変に思われると思いつつも普段と雰囲気の違うインテリに熱血は目が離せなかった。
下ろした栗色の髪、整った額から鼻へのライン、肉付きのいい唇、そしてその下の・・・
『眼鏡を外すと美人とか・・・漫画だけかと思ってたぜ・・・だから静まれ俺のコング(誇張)』
時間のせいであろうか。思考がよからぬ方向へ向かうのを、熱血は自覚しながらも止められなかった。
……じわじわと、だが確実に淀んだオーラがランドリールームを包んでいく。
しかし当のインテリは雑誌に集中しているのかまるで気にした様子は無い。
そして飢えた狼がいよいよ牙を剥きかけた刹那、ぴーー!と騒がしい電子音が鳴り響いた
「あ、終わったみたい」
「・・・そ、そうみたいだな・・・(昔のジャ○プかよおいィ!?)」
インテリは席を立つと慣れた手付きで乾いた衣類を取り出していく。
その様子をぼーっと見ていた熱血だが、それらの中に明らかな男物のYシャツがあったのを見逃さなかった。
『あれって確かナルシーの・・・え、なに?こいつらってそういう・・・え、マジ?』
機内に何も残していないのを確認するとインテリは
「じゃあ、先に失礼するね。清潔にしてないと、女のコに嫌われちゃうよ~?」
などと言って去って行った。大きなお世話である。
しかしなんだろう。ひとまず未遂で良かった。でも凄く一人相撲?
とりあえず部屋に戻ったら、まずは元凶であるクールの奴を蹴り出して、
秘蔵のディスク・玖珂壱美で夜を明かすんだ・・・そうだ、そうするんだ・・・
そう決心した漢の足取りは、来た時よりも重かった


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最終更新:2009年12月13日 17:53
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