目を閉じればいつかの海
湘南のカフェレストランの店長・藤木聖司には、十九歳の時一方的に、恋人へ別れを告げた過去があった。 それはエリートへの道を約束されている相手・嘉悦政秀の将来を思った、 あえて露悪的な別れだったが、その十年後嘉悦が偶然藤木の店を訪れたことで、ふたりは奇しくも再会してしまう。 だが「お前を忘れられなかった」と告げる嘉液の左薬指に、プラチナのリングを見つけてしまった藤木は…? ―抗いながらも、溺れていくしかできない―