SF百科図鑑
イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』河出文庫
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匿名ユーザー
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August 02, 2005
イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』河出文庫
いまひとつ、わけが分らなかった。理解の及ばないなりに、感じたことを記す。
ストーリーらしいストーリーは全くなく、ただマルコ・ポーロが様々な架空の都市の話をフビライに語り聞かせるという構成の中に、非常に短い様々な想像上の都市の物語が挟まれるというものである。
都市の中には、全くの面白半分の奇想としか思えないものから、現代の人類の都市文明を皮肉っていると思えるものまで、様々である。エキゾチックなようで超現実的なようで、どこかユーモラスな都市ばかりである。もっともその内容は散文詩的で、面白いというよりも「美しい」といったほうがふさわしい。
また、作者の意図は、架空都市の情景の散文詩的描写をただ羅列し楽しませるという一次的なレベルを超えて、人が何かを経験しそれを語るということ、他人の語りに耳を傾けて、自らも想像することといった、人間の認識の基本構造を分析することにも向けられていることが、ポーロとフビライの会話にあらわれている(その論旨は、たまたま『表象の帝国』という本でさわりだけ読んだ、ロラン・バルトのエクリチュール理論あたりと似ている気がする)。
この議論は、そのまま作者と読者の関係にも当てはまるから、本作は、一種の批評的なメタフィクションにもなっている。「語る」ということについての追究は、作者の興味の大きな対象だったらしく、そういえば『冬の夜一人の旅人が』という遺作長編では、のっけからあからさまなメタフィクション構成をとっている。
そもそも、ストーリーで読ませる『小説』ではなく、文芸論・認識論的メタフィクションの中に、散文詩的な都市の描写を宝石のごとく鏤めた作品であるから、1ページ目から高速で通し読みするような読み方が合っているものではない。どちらかというと、ときどき気が向いたときに適当なページを開いて読んでみるといった読み方のほうが向いている気がする。
テーマ性 ★★★★
奇想性 ★★★★
物語性 ─
一般性 ★
平均 2.25
文体 ★★★★★
意外な結末 ─
感情移入力 ★
主観評価 ★★(24/50点)
ストーリーらしいストーリーは全くなく、ただマルコ・ポーロが様々な架空の都市の話をフビライに語り聞かせるという構成の中に、非常に短い様々な想像上の都市の物語が挟まれるというものである。
都市の中には、全くの面白半分の奇想としか思えないものから、現代の人類の都市文明を皮肉っていると思えるものまで、様々である。エキゾチックなようで超現実的なようで、どこかユーモラスな都市ばかりである。もっともその内容は散文詩的で、面白いというよりも「美しい」といったほうがふさわしい。
また、作者の意図は、架空都市の情景の散文詩的描写をただ羅列し楽しませるという一次的なレベルを超えて、人が何かを経験しそれを語るということ、他人の語りに耳を傾けて、自らも想像することといった、人間の認識の基本構造を分析することにも向けられていることが、ポーロとフビライの会話にあらわれている(その論旨は、たまたま『表象の帝国』という本でさわりだけ読んだ、ロラン・バルトのエクリチュール理論あたりと似ている気がする)。
この議論は、そのまま作者と読者の関係にも当てはまるから、本作は、一種の批評的なメタフィクションにもなっている。「語る」ということについての追究は、作者の興味の大きな対象だったらしく、そういえば『冬の夜一人の旅人が』という遺作長編では、のっけからあからさまなメタフィクション構成をとっている。
そもそも、ストーリーで読ませる『小説』ではなく、文芸論・認識論的メタフィクションの中に、散文詩的な都市の描写を宝石のごとく鏤めた作品であるから、1ページ目から高速で通し読みするような読み方が合っているものではない。どちらかというと、ときどき気が向いたときに適当なページを開いて読んでみるといった読み方のほうが向いている気がする。
テーマ性 ★★★★
奇想性 ★★★★
物語性 ─
一般性 ★
平均 2.25
文体 ★★★★★
意外な結末 ─
感情移入力 ★
主観評価 ★★(24/50点)
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