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Keith Roberts "Kiteworld"

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November 11, 2005

Keith Roberts "Kiteworld"

オムニバス長編。冒頭の「カイトマスター」が英国協会賞受賞で既読。
どことも知れぬ星の上が舞台。舞台となる国では、宗教的な国家の下に蒸気で動く凧式戦闘機の軍団が組織されている。この<凧部隊>の隊員を始め様々な人々の人間模様を多視点的に描きながら、この世界の日常生活、人々の葛藤や愛憎劇、そして異国との戦いと国家の崩壊までを描いている。
『パヴァーヌ』などで知られているとおりこの作者は波瀾万丈の物語を描かない。透明感があって、非現実でありながら奇妙なリアリティのある落ち着いた世界描写と人物描写を特徴とする。往々にしてプロットらしいプロットがなく、むしろ視覚的な情景描写が主眼であったりもする。本書など、まさにその典型例だろう。不思議な凧型戦闘機が空を舞う世界描写は不思議な詩情があるし、その世界に生きる人々はしっかりと肉付けされ実在感がある。
その反面、ストーリーは抑揚が乏しく、面白くない。本書でも最終話で現体制が崩壊し、<ドラゴンフライ>という新種テクノロジーに乗って登場人物が異国へ向かう場面を除いては、話に大きな動きがほとんどなく、一定の複数キャラクターが入れ替わり立ち替わり、時々凧に乗ったりしながらも、小さな人間ドラマを繰り返しているというだけの内容である。『パヴァーヌ』もそういえばこんな感じだった気がする。
このとおり、いかにもイギリスらしい地味な作風の代表格であるので、好みは分かれるだろう。正直に言うが、おれはあまり好きではない。

テーマ性  ★★
奇想性   ★★★★
物語性   ★★
一般性   ★★
平均    2.5
文体    ★★★
意外な結末 ★★
感情移入  ★★
主観評価  ★★1/2(26/50)

収録作品
「凧の主人」
「凧の士官」
「凧の女主人」
「凧の隊長」
「凧の奴隷」
「凧の浮浪児」
「凧の水兵」
「凧の殺し屋」
silvering at 00:33 │Comments(0)読書
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