どうも、僕はレオ。ライオンの雄、4歳です。
 群れを追われて早2年、この母なる大地でなんとか今日まで生き長らえてきました。
 ヌーの子供に狙いを付け、気付かれないよう近付こうとしたら後ろから大人のヌーが突っ込んで
きて間一髪で当たるところだったこともありました。
 猛牛怖いです。

 ハイエナの集団から獲物を横取りしようとして、雄叫びを上げながら突進するも激闘の末追い払
われたこともありま…ゴメン、嘘つきました。
 本当は目つきの悪い集団にビビッてすごく気の抜けて間延びした声だったと思うし、凶悪に睨み
付ける無数の視線の前に回れ右で退散しただけです。
 掃除屋怖いです。

 たてがみも生え揃わない頃に発情した雌ライオンのお姉さんに誘惑されて、シマウマの仔を捕ま
えて貢ぎ、いざ事に及ぼうと思ったらどこかに隠れていた雄ライオンに半殺しにされました。
 美人局怖いです。
 ライオン不信になります。

 あの頃は若かったのです。
 けど体躯は見違えるほど大きくなりましたし、体重も100kgを超えました。
 たてがみも生え揃いました。もう立派な成獣です。
 独り立ちし成獣になった雄ライオンは既存の群れのボスに戦いを挑み、勝てばその群れを手にす
ることが出来るのです。
 その群れの縄張り、食料、そして雌を手に入れることが出来るのです。
 ハーレムです!ご主人様です!!

 でも、負ければ元通りの独身生活、童帝万歳、喪男の百獣の王です。
 いえ生きて帰れればまだいい方で、最悪死にます。
 それでも子孫を残すためにライオンは闘うのです。
 そして今日、僕は…


 …と、何やら嗅ぎ慣れぬ臭いが近付いてきました。
 身を低くして隠れます。
 あれはニンゲンです。
 大きな《かめら》を持っているから《みつりょうしゃ》ではなく《てれびきょく》か《けんきゅ
うしゃ》でしょう。
 《がいど》らしき雄が黒光りする細長い筒を持っていますが、こちらから近付きすぎなければ撃
たれることはないはずです。

 あ、向こうが気付いたようです。
 遠くから僕に《かめら》を向けてきますが、気は抜かずに堂々としてればいいと教わりました。
 大丈夫、《みつりょうしゃ》じゃないから怖くない怖くない。

 …ふぅ、ニンゲン達は行ってしまいました。
 また別のところから《さつえい》を行うのかも知れませんがいちいち気にしてられません。
 さぁ、気を取り直しましょう。
 どこまで話しましたっけ?

 …そうです!今日、この日僕はいよいよ初めての決闘を挑むのです。
 ここ数日で目星をつけた群れがありました。
 規模や縄張りはそんなに大きくはないけれど結構可愛い雌が揃ってました。
 この群れのボスは結構なお年のようですし、サブリーダーの雄もいないようです。
 勝てます!きっと勝てます!
 そして僕がこの群れのボスとなり可愛娘ちゃんとあんなことやこんなこと…げへへ

 ……ごほん、すいません取り乱しました。
 とにかく僕ももう立派な一匹の雄です。
 いざ、勇気を振り絞って勝負です。
 いました。この群れのボスです。

 僕は古兵(ふるつわもの)に闘いを挑むべく躍り出ました――


 …あぁ、負けました負けました。
 大惨敗です。
 体中傷だらけです。
 というか死にそうです。
 これは美人局に遭った時よりやばいかも知れません。
 あの時はあれでも子供相手に手加減されていたのかと思います。

 流石に噛み千切られてはいませんが、結構血も出てるみたいです。
 首の傷はもう少し深ければ今この時までも持たなかったでしょう。
 右の前足がズキズキ痛みます。
 もしかしやら折れているかもしれません。

 あの群れの境界の外までは命からがら逃げてきましたが、もう動けません。
 後ろ足も棒のように感じます。
 僕は草も疎らな土の上に倒れこみました。


 じとーーーーーーーーーー


 ――何やら視線を感じます。
 首だけもたげて見渡すといつのまにか集まったハゲタカのお姉さん方がこっちを見ていました。
 いえ、お姉さんと呼ぶには少々年かさが…っていうかオッサンも混じっています。
 よく分かりませんが、食的な意味でも性的な意味でもスレ的に無しな感じです。
 色々困ります。

 どうやら彼らは僕が完全に動けなくなるのを待っているようでした。
 早くここから離れなくてはなりません。
 しかし動くに動けません。


「もしもーし大丈夫ですか~?」
 そこに一匹の雌ライオンが話しかけてきました。
 しまった、逃げるのに夢中で別の群れのテリトリーに迷い込んでしまったのでしょうか。
 早く逃げないとこの群れのオスがやってきます。

 ……そうでした。
 逃げるに逃げられないんでした。
 動けという脳の指令を手も足も聞いてくれません。
 横向きに伏せたままヒューヒューと息が口から漏れるばかりです。
 ダメ押しのチェックメイトですね。分かります。

「ってレオ君?」
「リ、リオ、ン………?」
 何というか知り合いでした。
 というか同じ群れで産まれ、同じ草むらで昼寝し、同じトムソンガゼルを喰らった…
 ぶっちゃけ血の繋がった姉妹です。
 母親は違いますが。

 しかし、この場所は僕の生まれた群れの縄張りからはかなり離れています。
 ライオンの雌は基本的に生涯生まれた群れのテリトリーの外に出ることはありません。
 リオンがこんなところいるはずがないのです。

 …分かりました。
 これはお迎えですね。
 あの世からのお迎えに血を分けた姉妹を象った使いを寄越すとは、サヴァンナの神もなかなか粋
な計らいじゃないですか。

 …あぁ、目の前が暗く、いやふわーと明るくなって来ました。
 さらば母なる大地よ。

 ――僕の人生、完!!!――


 気がついたら草むらの中で寝ていました。
 既に日は落ち、周囲を照らすのは月明りだけでした。
 満天の星空と月影。
 生きているのか天国の光景か。
 …どちらもありえそうなくらい美しい月夜です。

 突然草むらがガサッと鳴りました。
 ハイエナにでも嗅ぎつけられたかと思いましたが、それは野ウサギを咥えたリオンでした。

「あ、目覚ました?戦って負けたの?レオ君昔から喧嘩弱いよね~」

 天国でもリオンが待っているとは……いやいや、思考を戻します。
 どうやら僕はまだハゲタカやハイエナに貪られることなく生きているようです。
 助けてくれたのは十中八九、目の前の姉妹だとは思いますが念のため確認を取りました。

「えぇと、リオンがここまで連れて来てくれたのかな?」
「そうそう、今日の晩ご飯にしようと思って引きずって来たの」

 おいおい!!? 嘘だろ!?と思い身構えようとしましたが、傷が痛み上手く立てませんでした。

「冗談に決まってるでしょうが。怪我してるんだから寝てなさい」
 と呆れ顔のリオンにたしなめられました。
 僕は、ゴメンと一言だけ謝り再び寝転びました。

「一応傷口は舐めて消毒してみたけど、それでも感染症になったら恨まないでよ?」
 と言いながらリオンは僕の側に座りました。
 彼女はたった今仕留めて来たのであろう野ウサギを僕のほうへ放ると「独りで食べれる?」と聞
きました。
 僕が短く、後でいいよと答えると彼女は無言のまま僕の隣で野ウサギの解体に入りました。

「なんでリオンがこんなところにいるの?」
 僕は解体に一生懸命な彼女に大きな疑問をぶつけてみました。
 リオンは口を野ウサギから離し、ちょっと困ったようで悲しげな表情を浮かべましたが、楽しん
でも悲しんでもいないような声で理由を話してくれました。

「半年くらい前にね、ボスとライアンさん、それから獅子婆(ししばぁ)とか群れの大人が何匹も流
 行り病で死んじゃってさ、うちの群れ壊れちゃった」

 僕とリオンが産まれた群れのボスで、僕らの父親だったオスが死んだらしいです。
 まぁ僕が群れを追われた時を考えれば、最早相当な年だったでしょう。
 それでも死ぬまでボスの座は誰にも譲らなかったということです。
 ライアンさんは群れの第二位の雄、獅子婆は群れの最古参だった雌のあだ名です。
 彼らも死んだということは、群れの中枢が機能を失ったということになります。

「残った雌の半分くらいはガイさんに付いていったんだけど、もう半分は散り散り。それで私と何
 匹かは他の群れに入れてもらおうかと思ったんだけど、先々で元からいた雌に追いわれちゃって
 さ、当てのない旅の始まり始まり。で、半年後死にかけのあんたを偶然見つけましたというわけ」 

 ガイさん…。群れの第三位の雄でハートの熱いガッツ溢れるお兄さんでしたが、いきなり「ディ
バイ○ィング・ド○イバーー!!」とか「勇気で補え!」とか叫び出してちょっと暑苦しかったのを
覚えています。

「お母さん達は?」
 僕とリオンは父親も同じですが母親同士も異父同母の姉妹です。
 ライオンは近親交配を避けるために群れの雄は数年で血縁のない者に交代するシステムですが、同
じ群れの雌はだいたい何らかの血縁のある親戚同士です。

「お母さんは病気が流行った時に死んじゃって、叔母さんは途中まで一緒だったけどはぐれちゃった」
「そうなんだ…」
 父が死に母親は消息不明というのが悲しくないと言えば嘘になりますが、それもまたサヴァンナの
宿命でしょう。
 必要以上に悲しむことも出来ません。
 それはきっとリオンも同じです。

 その後は他の姉妹なんかの消息を分かっている範囲で聞きました。
 逆に僕は群れを離れた兄弟を何ヶ月くらいに何処其処で見かけたなんて話をしました。
 時々リオンが僕の傷を舐めてくれたり、野ウサギを口移しで食べさせてくれました。
 少し恥ずかしかったのですが、どこか懐かしくもありました。

 僕とリオンは群れで同じ時期に産まれた子供の中でも特に仲が良い二匹でした。
 どちらが年長かみたいな概念はないのですが、リオンの方が乳離れが早かったためお姉さんぶっています。
 とはいっても対等な友人で家族であり、僕が群れを離れる時には一緒に付いて来ようとしたこともありますが、群れの掟のため泣く泣く分かれました。

 夜行性の僕らはそのまま朝まで話し込み、昼間はリオンが側にいてくれるというので安心して眠れました。
 その日の夜、僕はリオンにこの後どうするのか尋ねると、行く当てもないので少なくとも僕の怪我が治るまでは一緒に居てくれるということでした。
 少しとはいえ、またリオンと一緒に暮らせると思うとちょっと嬉しく感じました。


 リオンの甲斐甲斐しい世話のおかげで一ヶ月もすると傷は治りました。
 右の前足に多少の違和感が有りましたが、日常生活は平気になりました。
 僕は最大限の謝辞を述べ、彼女にお礼がしたいと申し出ました。
 リオンは、それなら…と言って独りは「寂しいからもう暫く一緒に暮らしたい」と少し恥ずかしそうに話しました。
 僕としてもこの一ヶ月で独りの寂しさには戻り難いものを感じていたので歓迎しました。
 こうして姉弟(リオンがそう主張した)二匹の放浪の旅が始まりました。

 僕らは転々と寝場所を変えながら夜は一緒に狩りをしたり長距離の移動をし、明け方近くなると身
を寄せ合って眠り、昼は昼寝をしたり《狩りごっこ》や《けんかごっこ》をして遊んだり水溜りで水浴びをしたりして過ごしました。
 まるで二匹で童心に帰ったかのような牧歌的な日々が二週間ほど続いたある日、ちょっとした事件が起きました。

 僕らは二匹で《狩りごっこ》をして遊んでいました。
 子供の頃一緒にした遊びで一匹が獲物役になり、もう一匹がそれを捕まえ首に牙を突き立てれば勝ちという簡単なルールです。 
 僕もリオンも他の兄弟姉妹と一緒に将来の狩りの練習も兼ねてこの遊びをよくしました。

 僕は未だ右の前足が本調子じゃないため、リオンと狩りをする時は態と獲物に感づかれる位置から相手にプレッシャーをかける役で、獲物を仕留めるのはリオンの役でした。
 そのためリオンに獲物役になってもらい僕がリオンを捕まえるという練習をしていました。
「ずっと私と暮らせば狩りは出来なくてもいいんじゃない?決闘するのに全力疾走は必要ないし」
 と冗談めかしていたリオンですが、練習には快く付き合ってくれました。

 最初はお互いに手加減していましたが、僕が結構走れることを確認するといつの間にか夢中になって走り回ってました。
 しばらくして暑くなってきたので、この一回が終わったら日陰で休もうと約束しました。
 これまでのところ《狩り》は三勝六敗の戦績です。 
 本当の狩りでは相手の方がスタミナがあるためもっと成功率が低いのですが、同じライオンの雄と雌でこの勝率はちょっとくやしいのでもう一矢報いたいところです。

 最後はお互い全力でやろうということになりました。
 僕はリオンの後姿を一生懸命追い駆けながら確実に攻撃の届く距離を模索します。
 しかし中々その距離を掴めません。
 それでも連戦で彼女の方もバテているようです。 
 そしていけると思う距離を見定めその一寸手前で足に力を込め、僕は彼女に後ろから飛びつきました。
 爪を立てないように気を付けながら彼女の背にしがみ付き、首を軽く咬みしました。
 これで僕の勝ちです。

「きゃーつかまったー」
 リオンがおどけた口調で降参を宣言します。
 心の中で誓ったとおり一矢報いてやリました。
 何とかして勝利することが出来ましたが、僕もリオンも息も絶え絶えです。
 僕がそのまま彼女の背にしがみ付いたまま息を整えている時リオンが言いました。

「なんかこの格好ってさ…」
「うん?」
「交尾してるみたいだよね」

 ままま、全くなんてことを言うのでしょう、こ、この娘は。
 しかしリオンの言うこともその通りです。
 若い雄雌が折り重なってハァハァしているのですから、そうも見えましょう。
 ああ、向こうでシロサイの親子がこっちを見ています。
「お母さんあれ何してるの~?」
 僕が慌てて体を話そうとする前に彼女は羞恥を滲ませながら言いました。
「挿れちゃダメだよ?」

 その瞬間僕の背骨をぞくぞくとするものが駆け巡りました。
 なんというか血の繋がった姉妹にドキッとしてしまったのです。
「馬鹿なこというなよ」 
 と平静を装って身を離した後もドキドキしっぱなしでした。
 おかしいですよ、姉妹に興奮してしまうなんて。
 僕は冷静になろうと努めました。
 それでもリオンの声が鼓膜を震わせる感覚が今でも残っているような気がして興奮は冷めず、僕はいつの間にかおっきしていました。
 僕はおっきしてるのがばれないよう、直ぐに日陰に移動してしばらく地面に伏せ続けねばなりませんでした。

 その後は何もなくまた平穏な日々が始まりました。
 しかし、それは今までとは少し違いました。
 僕は時々リオンの何気ない仕草に雌を感じるようになってしまいました。
 リオンの方も何となくそれを分かっているようで、スキンシップが増えてきました。
 昼寝の時にべったりくっついて寝たり、水辺で際どい部分まで舐めあったり、食事は口移しで食
べさせあったり。

 いえ、違います!!
 これは姉弟のスキンシップです。
 異性愛じゃなくて家族愛なんです。
 ……そういうことにさせて下さい。

 お互いに雄雌を意識していたのは分かっていました。
 それでも僕らは口には決して出さず、飽くまで姉弟の関係を守りました。
 何故なら僕らは血の繋がった姉弟だからです。
 守らなければならない一線があるのです。
 しかし、それが脆く崩れやすい関係であることは分かってました。
 そして、この関係も壊れ去る日が来たのです。


 姉弟(してい)と雌雄(しゆう)、薄氷一枚で隔てられたような生活が始まって三ヶ月。
 その日は夜明けの頃からリオンの様子が変でした。
 何かそわそわしていて、目がとろんとしていました。
 眠くなったのかと思い、そろそろ寝ようかと聞きましたが「大丈夫」と言われました。
 結局獲物も無く、僕らがこの一週間程使っている寝床に戻り眠ることにした時も「先に寝て」
と言われ、僕は素直に従いました。

 既に日は中くらいの高さに昇っている頃、僕は股間で何かもぞもぞしたものを感じ目を覚ましま
した。
 見るとリオンが僕の股間をペロペロと…いえ、ベロベロに舐めています。
 彼女はクンクンとタマ袋の臭いを嗅ぎながら突き出した舌を忙しなく動かしていました。
「何してるんだ!?」と僕は絶叫に近い声を上げました。
 腿や首筋を舐めあったことはありましたが、直接生殖器を舐められるなんて初めてでした。

「ゴメン、抑えようとしたけど無理。なんか体が熱いの。多分発情しちゃった」
 そうです、リオンはあの時僕を誘惑した雌ライオンのお姉さんと同じ目をしています。
「発情しちゃ駄目だよ、僕達姉弟だよ」
「実際、発情しちゃったものはしょうがないでしょ!?」
「ご、ごめんなさい」

 あれ?どうして僕のほうが立場弱いんでしょうか…。
 リオンは再び僕の股間を舐め始めました。
 はふ~、こんなに気持ちがいいとは……
 …ダメです!! 何とか止めさせなくてはいけません。
 僕は彼女を引き離そうとしました。

「リオンだめだよ…」
「いいから黙ってしゃぶらせて。じゃないと咬むよ?」
 咬まれるのは嫌です。
 僕はどうすればいいのかと考えて……
 はふ~、気持ちいい…

 ごめんなさい、快感が誤魔化せなくなって来ました。
 快感に浸っていたいのが正直なところ、せめてリオンが舐めるだけで満足してくれれば… 
「これぐらい大きくなれば挿れるよね?」
 ですよね~。
 発情したらそこに行き着きますよね~。

 リオンはおっきした僕の雄の部分をみてうっとりしていました。
「こんなの挿れたら凄い痛そう~」
 ライオンをはじめネコ科の動物の雄性生殖器(つまりアレです)には無数の棘が生えてます。
 この棘が雌性生殖器(アソコですね)から抜く時に雌に痛みを与え、それが排卵を促すのだそうです。
 ついでに言えばライオンは受精しても着床率が低いので、一度雌が発情したら一日100回単位
で交尾を繰り返します。
 雄の僕からすればこんな苦行・荒行、ぞっとしない話です。

 だというのにリオンは嬉しそうです。
 僕は彼女に言い聞かせました。
「い、いいかリオン?こんなの挿れたらもの凄く痛いと思うぞ~、止めといた方がいいと思うぞ~」
「で、でもね」
 リオンも言い淀みます。
「群れにいた頃大人に聞いたんだけど、慣れれば痛気持ちよくなって病み付きになるって」 
 どうして彼女は尚も嬉しそうなのでしょうか。
 雌の世界って分かりません。

「あれこれ言ってもしょうがないし、挿れちゃうね」
 リオンは向かい合った僕の上に圧し掛かってきました。
 体重は僕のほうが上なので跳ね除けようと思えば跳ね除けられますが、首筋を甘咬みされ体から力が抜けてしまいました。
「レオくんは昔から首筋弱いよね~」
 そのまま首筋を舐め回された僕は「はぅ~」と情けない声を上げて感じ入ってしまいました。
 そして、「えいっ」というリオンの掛け声とともに僕のアレが生暖かいものに包まれました。
 僕と彼女の体勢からしてアソコ以外考えられません。

「挿れちゃった…やっぱり痛いね」 
「姉弟で交尾はしちゃダメだよ…」
「口ではダメとか言っても体は嫌じゃないでしょ?」
 その通りな自分が恥ずかしいのです。
 愛しい姉妹の一番大切なところに僕の欲望を包まれ、身悶えするくらいの快感を覚えます。
 いけないと思っているのに体に感じる幸福感との落差に今までの価値観が揺らぎます。

 でも、まだ射精していない今ならまだ間に合い………………ふぅ……………出ちゃいました。
 いや、違うんですよ!?
 ライオンにしては頑張った方なんです。
 体の構造的に仕方がないんです。
 いや、だから早漏じゃないんですって!?

「あ~あ出しちゃった」
 こんな口調で全然咎めるつもりがないことはリオンの表情で分かります。
「おち○ちん抜いたら卵子で出てきちゃうね」
 挑発的な言葉で彼女は何を考えているのでしょうか。 
「なぁ、やっぱり姉弟で子供はまずいよ…そうだ、このまま自然に小さくなるのを待てば……」 
「レオ君?最早ライオン全体の数が少なくなってるんだよ? 近親交配がどうとか気にしてたら、
 そのうち誰も子供なんて作れなくなっちゃうよ?」

 …正直こんな問い掛け・掛け合い、もうどうでもいいんです。
 何があってもリオンを守っていく決意はあります。
 どんな苦痛にも耐えてみせる意地があります。
 体の弱い子が産まれても育てていく覚悟もしました。
 他にも将来の不安はありますがそれも何とかできる、根拠不明な自信があります。
 だけど、一つだけ確証が欲しいのです。

「リオン? 僕のこと好き?」
「好きだよ。愛してる」
「姉と弟としてでも雄と雌でもかまわない、世界で一番愛してくれる?」
「うん」
 リオンは何の迷いもなく答えました。
 僕にはこれだけがあればいいのです。

「リオン、行くよ」
「…いいよ」
 僕とリオンは覚悟を決めてリオンの中から僕の雄の部分を引き抜きました。

 ズブブブ…

「ぐ、ぐわっ!!いっった~~~~~~!!!」
「あ、きもち…きもちいい~~~~~~」

 …因みに上の方が僕のセリフです。
 そうですよね。
 ぎゅっと引き締まったアソコから無数の棘が無数の襞の抵抗を受けながら、敏感な部分を引き抜
くんですもんね。
 おまけに僕とリオンは血の繋がった姉弟。
 アレとアソコの密着度が半端ないですもんね。
 快感を通り越した苦痛ってあるんですね。
 近親相姦怖いです。

 対してリオンは目茶苦茶気持ちよさそうじゃないですか。
「リオンは痛くなかったの?」
「ちょっと痛かったけど…全体が満遍なく引っ掻かれて最高に気持ちよかったよ?」
 理不尽ですよね。
 よく分かりませんが、スレ的に雌の動物が苦痛を受けるわけないですもんね。

 リオンは仰向けに寝てお腹の中で受精を促しています。
 僕はうずくまって大事な相棒の痛みが引くのを待っていました。
 ふと、リオンがこっちを見ているのに気が付きました。
「ねぇ、レオどうしても嫌ならいいんだけどね…」
「な~に?」
「今日はあと何十回ぐらいできそう?」
「・・・・・・・・・」
 先程、どんな苦痛にも耐えてみせると心の中で誓った手前僕には拒否できません。
 やってやります。
 やってやろうじゃないですか。

 こうして僕の荒行・苦行が始まりました。

――5年後――
 あの日から一週間、僕らは飲まず食わずのまま愛し合いました。
 回数は四桁に達していたかも知れません。
 勿論、リオンはきっちりと身篭りました。
 幸い産まれて来た雄雌それぞれ二匹、計四匹の子供達は無事に大きくなりました。 
 姉弟二匹放浪の旅ならいざ知らず、子供が産まれるとなると移動も簡単ではなく定住する縄張りが必要になりました。
 そのため僕らは相談して生まれ育った群れの縄張りがあった場所に戻ることにしました。
 これも幸運なことに、慣れ親しんだ土地に小さいながらも縄張りを確保できました。

 普通の群れなら子供を産んでいない雌が出産した雌の分もエサを集めたりするのでしょうが、僕らの群れは二匹の大人しかいないので僕がエサを集めたりもしました。
 喧嘩は相変わらず強くなく(これでも少しはましになったんですよ)負けることもありましたが、リオンは僕以外に付いて来る気がないので縄張りが少し狭くなるだけで済みました。
 また、息子達は僕に似ず逞しく育ち独り立ちできる年になると僕の代わりに群れ縄張りを守ってくれたり娘達と一緒に狩りをするようになりました。

 定住してから三年目にはリオンが二度目の出産をし、四年目には娘達が孫を産むなど群れの規模も順調に大きくなってきました。
 え?孫達の父親は誰かって?
 …よく分からないけど、親の因果って子に報うんですね。
 自分達のしたことの手前、兄妹で子供は作っちゃいけないとは言えませんよね……
 そんなこんな家族経営で縄張りを着々と広げ、その領土はかつて僕とリオンが育った時よりも広くなりました。

 そんな僕はどうやら、ニンゲンの《けんきゅうしゃ》にはシルバー・ファングというご大層なニックネームを頂いているらしいです。
 ここ数年、急速に勢力を拡大した僕の群れはシルバー・ファングの帝国と呼ばれ《けんきゅうしゃ》に注目されているみたいです。
 ちょっと格好いいかなと思いましたが、風の噂ではシルバー・ファングとはSF、Sister Fucker を暗に意味するのだそうです…
 誰がうまいこと言えといったんだ、考えたニンゲン出て来きやがれ!

 僕はレオ。ライオンの雄、9歳、愛する家族に囲まれ幸せです。
最終更新:2010年07月06日 16:34