★用語解説(五〇音順)
アト人…地球人に似た外見を持つ、アト星出身の人達。
アラル連邦…全ての星を束ねている組織。
エガル人…爬虫類のような鱗に覆われている、エガル星出身の人達。
オルキーラン…かつて存在した超能力を使う人々。八年前に滅びたとされている。
クラル…オルキーランが使っていた、自分の能力を引き出すための道具。短剣、長剣、腕輪、数珠など様々な形の種類がある。
クロリア…アラルに抵抗する組織。
ルシン人…地球人に似ているが、額に三つ目の眼、六本目の指、尖った耳を持つ。オルキーランが生まれた星の種族で、オルキーランのほとんどがルシン人だった。八年前にウイルスによって滅びた。このウイルスにはアラルが関係しているといううわさがある。
★前回のあらすじ
十四歳の星崎里菜は地球でスクールライフを送る普通の中学生だった。
ある日、宇宙から未知の人類がやってきた。外見は地球人そっくりでもはるかに進んだ技術を持った彼らによって、地球人は広い宇宙を知るようになった。
しかしそれと同時に、里菜には危機が迫っていた。里菜が物置で見つけた短剣が、何故か政府のスパイに狙われていた。里菜は幼馴染でハッカーの早瀬大斗と共に地球を脱出する。
二人を保護してくれたのは、政府に反抗する組織クロリアだった。そこで里菜は、短剣がかつてオルキーランと呼ばれた超能力者が持っていた道具、クラルなのだと知る。
山火事をクラルの力で消し止めるなど能力を開花させていく里菜。しかし、大斗達宇宙船乗り達の留守に、里菜のいる基地が襲撃される。
大斗は里菜が死んだと告げられたのだが――。
Ⅳ銃か獣か
私は走りながら、対戦闘機用の銃を草むらに投げ捨てた。走るたびにホルダーに首が引っ張られて邪魔だ。腰から拳銃を抜いて、暗い森の中を進んだ。
私たちが守っていた入り口はあっという間に落ちた。元々こっちの兵や武器の数が負けてたせいで、ほとんど反抗もできずに散り散りになってしまった。そばにいたはずの仲間のミラとも、攻撃から逃げて走っているうちにはぐれてしまった。
巨大な木の根の間に滑り込むと、座り込んで息を整えた。手首の指令装置を見ると、避難場所と経路が表示されている。脱出用の宇宙船が用意されてる場所だ。
深呼吸をしながら立ち上がると、根っこを踏み越えて避難船に向かおうとした。
途端に足元の地面がはじけた。とっさに走って木立の中に逃げ込む。
「今度はアラル軍地上部隊のお出まし?」
私は小声でぼやきながら、銃の安全装置を外した。また光弾が飛んできた。私は転がるようにして逃げ出した。
敵がどのぐらいの数かは知らないけど、新兵一人でかなうような相手じゃないってことだけは確かだよね。かといってこのまま直接避難船に向かったら、撃ち落してくださいって言うようなものだし。
どうやって振り切るか考えているうちに、足元でぴしゃりと水音がした。驚いて一歩後ずさる。辺りを見回して、やっと状況が把握できた。
目の前に暗い池が広がっている。そしてその池は、目の前にそびえる岩壁に開いた洞穴の中に消えていた。
ミラたちが案内してくれた穴とは違うけど、地下水脈への入り口だ。もしかしたら、ここを通れば追っ手を振り切れるかも知れない。
腰の辺りに光弾がかすめた。何か機械の焦げる匂いがする。私は慌ててしゃがみこんだ。
銃を防水ケースに戻しながら、少し迷った。地下水脈には、勇敢な調査隊が真っ青になるほどの猛獣が住んでいるらしい。そんな所を通る必要があるんだろうか。
また近くで土がはねた。「あそこだ!」と言う声が遠くから聞こえる。まずい、居場所がばれてる。私は決心を固めた。敵に私一人で勝てるとは思えない。たとえ敵に投降したって、クラルが見つかったらたとえ素人オルキーランでも、きっと殺されちゃう。だったら猛獣だらけの湖に飛び込んだ方が、まだ生き延びられる可能性、ある、よね。
今は一旦相手から距離を取らないと。
辺りを見まわすと、ミラ達が教えてくれた木の実がなっている木があった。いくつかを手でむしる。一瞬中腰になって、遠くに向かって投げた。
木の実が割れたらしく、破裂音が大音量で鳴り響いた。アラル兵がそちらに走っていく足音がする。
今のうちに。私は息を吸うと、音を立てないように水の中に滑り込んだ。
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最終更新:2012年01月23日 14:18