題名:賽の河原

概要:
 毛利輝元という武将がいた。謎の死を遂げた父親に代わり、わずか十一歳で家督を継いだ武将だった。一方で、大国を背負う重圧と孤独に苦しむ人間でもあった。
 吉川元春という武将がいた。尼子家を兄の仇と信じ、頑なに憎み続けた武将だった。一方で、兄の忘れ形見を深く慈しむ叔父でもあった。
 尼子勝久という武将がいた。一度は仏門に入りながら、請われて兵を挙げた武将だった。仏道を忘れることはなくとも、己が選んだ修羅の道に誇りを持って生きた人間だった。
 山中幸盛という武将がいた。主家を滅ぼした毛利家を憎み、戦い続けた武将だった。罪悪感に苛まれながらも、主君の幸福を願って生きた忠臣だった。
 運命は、永禄六年。毛利隆元の死から始まる。



最終更新:2017年05月15日 21:38