題名:残り火
概要:
紋章には力が宿る。紋章は時には忌まれ、時には神に捧げられ、紋章をつくり出す者は常に時代に翻弄された。
市井の職人たちの間で生まれた紋章が、修道院の中で厳かに造られるようになった時代。セルジオが暮らす人里離れた修道院に、また一人、ドナートという名を持つ年若い修道者が連れて来られた。彼はセルジオに問いかける。「紋章が神の言葉だと本当に信じているのか」と。
題名:花咲く都のレナーテ
概要:
紋章史において、きっと今は満開の春の時代。かつて恐れられた紋章は今や上流階級の庇護を受ける芸術品。
学院の紋章学科で学ぶ少女は、最終学年を迎え、身の立て方を思案していた。紋章創りの才に秀で、高い教育を受けた、貴族ではない女子。そんな彼女に目をつける家は多い。その中で、歴史ある名家の青年公子から妹公女付きにと誘いがかかり、思わぬ好機に動揺する。ずっと目指してきた宮廷社会。けれど、脳裏に響くのは幼馴染みの言葉。「よく考えろ。あいつが声をかけたのは、駆け出しの小娘だ」
最終更新:2017年12月30日 22:54