§.1 チベット文字の読み方



音素と字母
(第1回:字母とその読み方): ・ この単元ではチベット文字の種類と形、その読み方・書き方、ローマ字による転写法等を、「字母表」に即して紹介する。
  • チベット文字に習熟し、自由に使いこなせるようになることがここでの目標となる。
  • 修了の目安は、チベット文字の「字母表」を独力で再構成できるようになること、とする。



音素と字母

チベット語には「5つの母音」と、「30の子音」の音の区別(音素)がある。
この音の区別を30の字母と4つの母音記号との組み合わせによって表示する。

※日本語の50音表は母音の区別に個別の字母を当て、清音/濁音/半濁音等の変音を記号により指定する方法をとるが、チベット語では有声/無声、有気/無気、鼻音の区別に字母を割り当てる。サンスクリット語の影響が強い。
※2 30文字なので、たとえば「短歌」のリズム(5 7 5 7 7→31文字)に乗せてしまえば覚えやすいかもしれない。


アルファベットによる転写法

ローマ字アルファベットによる転写方法としては、今日、”Wylie(ワイリー)方式”と呼ばれる転写法が一般に用いられている。ワイリー方式はアクセント記号や特殊文字などを使わず、通常のアルファベット26文字の組み合わせだけでチベット文字のもつ音価をローマ字に転写するという特徴を持つため、テキスト・ファイル形式での保存ができ、PC上でデーターをやり取りする上では非常に便利な方式だといえる。一方で、文字数が多く見かけが煩雑になりがち、という欠点があるので、慣れるまでは読み取りに注意を要する。



字母表

字母(父字:bsal byed)は30種類。4声(無気・帯気・有声・鼻音)×8行(※ha行は2字のみ)

※ 前半の二声は明るく(高声)、後半の二声は沈んだ(低声)で発音する。


字母は子音の区別を表しており、発声時の口の形、発声部位を指定する。
母音の区別は字母に母音記号を付すことでなされる。この際、母音記号を付さない字母は「a(あ)音」で発音する。従って、母音記号は残りの四母音(dbyangs bzhi)に対応する四種類となる。



梵字転写文字(6種)

梵字転写の際に用いられる特殊な字母で、基本字母を左右反転させたものであるため「逆字」(log yig)と呼ばれる。典籍や人物などの固有名などを書き表す際に用いられる。

※大蔵経目録などで練習できるか、あまり詳しくやる必要はない。


字母表の記憶と練習



(練習)30の字母と母音記号を使って、チベット文字で書かれた日本語の文章を読み取ってみる。また、
最終更新:2007年04月24日 01:47