第2章では累積誤差の修正について考えてみる。
マリカではカートの誤差を低減できる場所が無数にある。
ドリフト中での微調整や、連続コーナーの間でも次のコーナーに備えてカートの位置を整えるために一息つける場所などである。
これら誤差修正は累積誤差との綱引きとなりRの値を低減する。
修正は好き放題にはできない。
コーナーでの微調整は車体にも慣性や向きがあるため、コーナーの前後を通る短時間で行わなくてはならず、次のカーブに影響する。
コーナーでの微調整には不可逆性の操作が含まれているため、必ずしも奇麗に調整できるとは限らない。
おまけ程度だが他の理由もある。
連続カーブ内の一息つける直線などでは、微調整をするために十分な長さがあるとは限らない。
単純にカーブ中でのコース取り調整作業は減速を意味するので調整のしすぎはタイムに響く。
このことも連続カーブ内での微調整を難しくさせ、マリオカートの面白さを倍増させる。
誤差修正のためのコース取りは上級者と初級者ではあまりにレベルが違いタイムに差が出ることも見逃せない。
調整作業も、単なる調整ではなく次のカーブも考えたうまい調整となると初級中級者の間は難しく、上級者ではカートの速度が上がりすぎて調整作業のタイミングが減っていき誤差の修正が難しくなる。
下手なうちは一つ一つのコーナーを順番にクリアしていくだけだが、うまくなるほど複数のコーナーを一つにつなげてコース取りを取ることを考え始める。
そうなると手前のコーナーでのコース取りが次のコーナーに影響しだす。
下手なうちは誤差の累積を消すチャンスが多いが、うまくなるほど累積誤差や微調整の難しさが前面に出てくるのである。
いつまでも飽きない理由はここにある。
うまくなる=累積誤差が前面に出てくる、このために上達するごとにコースの意味が変わってくるのである。
直線コーナーは累積したRの値を下げる働きがある。
長い直線ではRが大幅に下がり、短い直線ではRは少ししかさがらない。
50CC、100CC、150CCとあがると、直線コーナーを短時間で通り過ぎるため、直線でRを下げる働きが低下する。
スピードとラップタイムの変化はステージの質的な変化を意味する。
Rが大きすぎる場合、ほんのちょっとの操作タイミングさでカートの位置が大きくずれるため、制御が困難になるがコースアウトによって、累積したRの値はリセットされるのでそこはうまくできている。
微調整と累積誤差Rによる綱引きは、カオス理論における不安定点(累積誤差R)と収束(ユーザーによる微調整)との役を果たしカートの軌道にカオス系を呼び起こす。
カオス系は、毎回違う結果を引き起こし複雑であるためユーザーはいつまで遊んでも飽きないのである。
基本はRが累積するために、同じようにコーナーに入っても毎回違う軌道を通り飽きない点となる。
またコーナーに入る時のコースを変えれば、カートがまた違った軌道を通る。
そのため、毎回状況が微妙に変わり何度同じコースをとおってもなかなか飽きないのである。
次は上達について考えてみよう。
人は走るたびに上達する。
同じ位置からコーナーに入っても、上達と試行錯誤が入るため前走った時と誤差が出る。
この上達によるコーナー取りの変化は次のカーブへも影響し累積していく。
以上は、アイテムや他のカートがいない場合の最もシンプルな分析である。
クリボーや牛、土管などの障害物が加えて理論を考えただけでも一気に複雑になる。
リャプノフ指数をもったコーナーからかく乱を受けた中での障害物の回避は白熱するわけである。
現実のマリカではアイテムや対戦、カート同士の体当たりなど他にも無数の要素が入り、面白さに貢献している。
今回の考察の重要なところはマリカのシステムを関数で表現できる点である。
xをコーナーに侵入するカートとし,aをユーザーによる微調整能力,Fiをi番目のコーナーのリャプノフ指数を求める関数とする。
マリオカートのゲームシステムのうちコーナーでの操作性を
F1(x,a)*F2(x,a)*,,,,fn(x,a)
また、Giをi番目のコーナーを通りこした後のカートの位置とプレーヤの能力をそのまま出力する関数とすれば。
Gn(,,,,G2(G1(x,a)),,,,)
のように関数の中で非常にシンプルに考えることができる点である。
関数レベルで考えて関数を改造してから、ゲームに落とし込む。
ゲームを関数に置き換え直してから、関数の中で考えてゲームの質を上げたり分析したりする。
このサイクルを繰り返すことでゲームの面白さを的確に評価できる可能性や、関数という抽象化された中でのゲーム作りの手法を確立することができる。
関数化することは非常に良い利点がある。
関数の中にカオス系を意識して取り込み、バランスを分析できる点である。
マリオカートが飽きない理由は、累積誤差が蓄積し微調整との綱引きが行われることであった。
累積誤差と微調整の綱引きがマリカにカオス系を引き込み、遊ぶたびに誤差という外因と上達という内因からコース取りがかわりユーザーはいつまで遊んでも飽きない。
マリカに限らず飽きないゲームバランスや操作系にはカオス系が多用されている。
コストを抑えたゲーム開発の一手法として、関数レベルでカオス系を取り入れそこからゲームを作りだすという手法を提唱したい。
この奇怪な文章はなんだろうか?
リャプノフ指数に、カーブから出た後の差の累積?
数学の苦手な人間には意味がわからないかもしれない。
実はここには、マリオカートがなかなか飽きないことの秘密の一つが書かれているのである。
次は図解入りで誰にでもわかるようにこれを説明しよう。
とりあえず前半かけたので書きかけを送信します。
後半は後日送信します。
とりあえず読んだ方感想ください。
第2章はオ披露目場外掲示板(仮)管理人TUさんの発言がヒントになって作成。
第2章末尾はJUNROさんのコメントがヒントになって付加した
私本人任天堂と何の関係もありませんが、マリオカートがなければこの分析にたどり着くことはできませんでした。
任天堂に感謝しております。
最終更新:2010年02月19日 14:07