名前 堀江 伸一




ここでは宇宙コロニー内部での大気の対流について考察する。
ガンダムに出てくるサイズの筒型コロニーから考察を始め、最後に恒星間旅行用の超巨大コロニーの場合について言及する。



まず、コロニー内の大気を単純に閉じ込められたものと考えます。
すると風船のようなものを考えることができます。
温度も均質なためまだ無風です。


最初にコロニーの回転を考えます。
外壁・内壁の回転がおこるとそれに、引きずられる形で内部の空気が回転を始めます。



内壁、内壁近くの空気、内壁より遠い空気と摩擦が伝播し内壁から遠ざかるほど風は弱くなります。
ただし風は内壁の回転より遅くなるはずですので、内壁の回転速度-内壁にひきずられる風の速度=内壁近くで人間が感じる風の強さとなるはずです。



遠心力は擬似重力にすぎませんので、回転そのものはそんなに大気密度に影響を与えないはずです。


ただし内壁には建物や植物があるため、空気はこれにより撹拌されます。
空気は重力は受けませんが、閉じ込められれていることによる圧力が加わります。


これによって、コロニー内の風の動きは、回転中の洗濯機の渦のようなになるはずです。
しかし空気が摩擦を伝える力はそんなに期待できません。
これは意外と問題で、人間も地上のものも回転しているのに、空気だけが回転しないという恐ろしい事態を招きます。



長時間回転して大気が回転を始めるまで、人間はコロニーに入るべきではないでしょう。
空気の回転を維持するためのつい立てや巨大送風機のようなものが、地上に多数必要かもしれません。








さてこの問題が解決したとして次に問題になるのは熱による対流です。
熱や気圧差による撹乱について考えます。

最初に恒星から遠い場合、太陽光によるコロニー内外の熱分布の変化について考えない場合から始めます。



空気の撹拌という観点から考えると、熱発生源近くで空気がカオス系的に撹拌され、コロニー内の大気は常に撹拌されます。



次に風という観点から考えると、熱による対流が生まれます。
すると熱発生元の偏在が問題になります。

この対流は熱供給の強さや偏在によりますが、定常流かカオス系が発生し、コロニーのサイズからカオス系が生まれる可能性も高いです。



ここではコロニー内の大気モデルに対する熱の散逸と吸収が問題になります。
定常流の場合安定した周期の風が生まれ、それが地上構造物などにあたり弱まっていくプロセスが生まれます。


このレベルなら、コロニー全体を右から左ゆるやかにながれる一つの巨大な風の対流や、小さくゆるやかな対流が共存しながらエネルギーを散逸させていく穏やかな対流を作ることができるでしょう。


全体は予測可能、細部の予測は困難だけど特に問題なしと見ます。
こういう時のパラグライダーは楽しいでしょうね。




ここで問題となるのは熱によるゆるやかな対流と、内壁回転による風が合わさってらせん構造が生まれることです。

前者が鍋の煮沸時の対流の弱い版、後者が洗濯機の対流です。
前者は洗濯機の中心から外へと向かう対流が無数に生まれる。
そんなイメージです。
ゆるやかな下降気流とその隙間に上昇気流が生まれ、回転を安定させます。


風は気圧差によって生まれます。
コロニー外部への均質な熱の発散を想定すると、コロニー内の高温部からコロニー内壁近くへの下降気流を生み出します。
コロニー全体を均質に温めれば風の影響を考える必要はないかもしれません。


さて次はもう少し熱の発生が多い場合です。
大気にエネルギーが溜まりそれが一定以上になると、大気の不安定さが増し、循環した風が散逸されず、消える前に何度も新しい風と合流し、大気の熱が風と共に動き、コロニー内部で複雑な風が生まれます。
こうなると大気の動きを予測することは相当困難な気がします。


最悪熱の偏在によってはカオス系になって予測不可能になる。
大気の熱を散逸させるまでコロニー内では、恐ろしい嵐が吹き荒れる可能性も否定できなくなるわけで。


さらにそれを超えると、沸騰寸前の湯の中のようなものになると思います。
完全なランダムノイズの世界で、気圧が上がりすぎて風の問題以前になるような気がします。
これはこれで物語が一つ作れそうな気もします。


といいますか、空気の温度が上がれば気圧があがります。
どこかで大気圧を調節する弁が必要になるかもしれません。


結論

冷静に計算するなら、人間に住みやすい温度の範囲内で安定させるならば、コロニー内部は小さすぎるためどの部分も気圧差が小さく、強力な風が起きるほどの空間は存在できない。
よって風を考える必要はそんなに存在せず、微弱な風の流れを考えるという範囲内で答えが出る。
そんなところのような気がします。







太陽光の影響がある場合

筒型コロニーが太陽光にあたると、日向では加熱が、日蔭では冷却が起こり教科書にでてくるような対流が置きるはずです。
もちろんコロニーと陽光の向きによる違いが出ます。


  • 太陽光がコロニー側面に当たる場合
この場合、日向から日蔭へまっすぐ貫く上昇気流が起こり、日蔭から日向へ壁面に沿うように進む対流が起こるはずです。
もしかしたら、地球を一周するジェット気流ににたものが、コロニー内壁を駆け巡るかもしれません。
日蔭側では雲ができるでしょう。



  • 筒の上面に陽光が当たる場合。
これは難しそうです。
上面近くに限定的な小さな対流が起こりそうです。






元ネタ

Pixivで恒星間コロニーの絵があり、そこで惑星の大気の循環に関する話題がありました。
それに触発されて作成してみました。
アイディアの源になったイラストはこちらです。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=5151552







考察2

とりあえずここまではガンダムに出てくるサイズのコロニーを考えました。
リンク先の直径300㎞サイズのコロニーでは、熱の巨大な対流が生まれ逆にシンプルになる可能性もありそうです。

恒星間コロニーなので外部からの熱の流入は無視します。


このサイズになると風より大気圧の分布や大気成分の分布の均質化の方が大変かもしれません。
気圧が出鱈目になりやすい。
擬似重力しかないので大気が散乱しやすく、巨大すぎるため大気の分布に乱れが生じやすい。
そのため、大気が中々安定せず複雑な対流が起こる。


直径300キロのコロニーの中に一気圧という大気を入れる、これはどうなるでしょうか?
コロニー内の大気が薄すぎて、局所的にいきなり1.2気圧になり次に0.8気圧になったりなどということもあるかもしれません。
大気が壁面にへばりつくとは限らないのでこれは重要です。



あまりに巨大なので地球の大気と同じようなアトラクターが働きそうです。
現実的な結論はこれかもしれません。




ここで問題になるのは、コロニー内に重力がなく擬似重力しかないことです。
重力がないため、どれほど大気があろうとも地表付近では大気圧があまり働かないはずです。
よって、大気圧を無視した対流を考える必要があります。



重力がないので地球で起こる上昇気流や下降気流、水平な風は期待できません。
全方位均質に同じ条件で風が流れそうです。



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