陸軍に入ってハト捕獲の仕事をすることになるなんて思わなかった。
アメリカ式の合理的だが厳しい訓練、戦場に出たらこんなものじゃないぞという神経をすり減らす演習、最新の歩兵用ハイテク装備の高度な使い方。
その訓練の果てがハト捕獲の仕事とは。

ワーシャル軍曹は一人そうごちながら、中東のレンガ造りの狭い街路がぬる裏さびた街中にある小さな広場でハトを捕まえる仕事に就いていた。
餌をまき、罠をしかけハトがかかるのを待つ。

バイオベンチャー企業が生物兵器の材料に生きたハトが必要なのだという。
中東の情勢がきな臭くなってきた昨今街中では銃器の流通量が増え、彼の所属する米軍はスパイをおくりこみ治安維持の名目のもとこの地域の兵士を増派していた。
当然現地駐在の彼も訓練の成果を見せるという気勢をあげ仲間と盛り上がっていたのだ。

その緊張感漂う中で彼が開戦までに仰せつかった仕事がハトの捕獲任務だった。
開戦までに五〇羽、何に使うのかしらされてもいないその作業は、任務とはいえどうにも気勢が上がらずどこか呑気な気分も漂うのだった。
彼と同じ仕事を任された兵士が何人か街中にいるらしい。

広場に一人アラビア風のフードをかぶった男がやってきた頭にターバン、腰に水煙管、長いトッカータ典型的なスタイルだ。

「ハトの捕かい?めずらしいねハトなどとってどうするんだい?」
「ああ、私はツアーのコンダクターで日本人の団体さんにハト料理をごちそうするんだよ」
「物好きだなハトなんて上手くもないのに」
「はは、日本人は旅先で奇妙なものを食べたがるからな」

お、そうこう会話をしているうちにハトが一羽罠の箱の中に入ってきた。
まずは一羽だ。
なんともやる気の上がらない仕事だが上手くいきそうだ。



アメリカ生物化学兵器研究所の一室。

ブラインドを下ろした部屋には朝日が差し込み、その部屋の住人である研究員サムスが入ってきた。
彼は今年27歳になる研究員で、昔の大学時代はネズミを相手にネズミの脳とコンピュータを結線し鼠を自在に動かすという研究に従事していた。
鼠の快楽中枢を刺激し移動方向を決定するその研究は非常は

今では鳥を使った偵察、攻撃任務の研究に精を出している身だ。
大学時代は非常に研究が面白かったが、卒業時に企業回りをするとネズミの脳をいじくる仕事など企業に無く途方に暮れたものだ。
ネズミの脳をすりつぶして脳内物質の研究をするような雑用バイトをしたり、ピザ屋のアルバイトをして転々としていたが、そんな彼にも転機が訪れた。
慣れない肉体労働でぼろぼろになり自宅のアパートでネットを見ている時のことだった。
米軍が本物の鳥そっくりのロボを使った偵察、歩兵攻撃用兵器の研究をしているというPR動画。
それが彼の人生の転機となった。



アリゾナ砂漠の小さな町の近くにあるこの研究所は無駄に広い砂漠の中に広大な敷地をとっている。
どの部署も広い区画を使って研究がおこなわれている。

彼の研究室も緑に塗られたコンクリの床が衝立で区切られ幾つかのパースに分かれている。
部屋の壁際には伝書鳩を入れた箱が多数積み重ねられている。
実験部屋では鳥を固定するために













元ネタ一覧
導入は万能鑑定士Qの導入部分のパタンを少しだけ物まね。
文体は押井守の小説を物まね。
私のレベルが引くすぎて物まねになってない可能性高いです。
ネット上の同人作家として非常に低レベルだという自覚はありますが、創作を楽しみたいので気にしません。
この作品の最初の投稿はhttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=443367
でこの時点では全く構想が出来ていませんでした。

機動電介さんというかたに作品の中核構想を相談、あまり役立たない返事をもらいましたがまあ一応相談したので。
+ タグ編集
  • タグ:
  • バードストライカー
  • 生物兵器

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年08月28日 23:31