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 その時代に話題となっている分野の研究者が、受賞するケースも多い。たとえば、子宮頸がんのワクチンが認可されたときに、1980年代に子宮頸がんの生体細胞のなかにヒトパピロマウィルスのDNAを発見したドイツのハラルド・ツア・ハウゼン氏が受賞した(2008年・生理学・医学賞)。
 また、体外受精の技術を完成させ、1970年代に世界初の試験管ベビーを誕生させたロバート・ジェフリー・エドワーズ氏が、その子(初の体外受精児だった女性)が結婚して、元気な子どもを産み、その子どもも健康だとわかったタイミングで受賞している(2010年・生理学・医学賞)。

 各研究分野のパイオニアが重視される傾向がある。たとえば、2012年にiPS細胞の実用化に向けた研究が評価され、生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏と共に、動物実験における細胞のリプログラミング技術の先駆者であるジョン・バートランド・ガードン氏が同時受賞。
 また2008年の化学賞は、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質を生物や医学の研究で標識として使えるようにした中国系の研究者らが受賞した。彼らの受賞はかねてから有力視されていたが、このときに、そもそもオワンクラゲからこのタンパク質を発見した下村脩氏も同時に受賞している。本人も言っていたように、このタンパク質が発見された当時は、標識としての使い道などは考えられておらず、「何の役に立つかはわからない」状態だった。

 受賞者の弟子や孫弟子が受賞し易いといった、「学派の系譜」が見られる。たとえば、細胞内の輸送メカニズムを解明した功績で今年生理学・医学賞を受賞した3人のうち2人(ジェームズ・ロスマン氏とランディ・シェクマン氏)は、1959年に同賞を受賞したアーサー・コーンバーグ氏の系譜に当たる。もう1人のトーマス・C・スードフ氏は、1985年の受賞者であるジョセフ・ゴールドシュタイン氏とマイケル・ブラウン氏の弟子。2000年の受賞であるエリック・カンデル氏は同じ分野の大先輩と言える。

 物理学賞はここ数年の受賞の法則性が最も明確。これまで、物性物理(物質に関する基礎科学)と素粒子・宇宙物理学の研究者が毎年交互に受賞するトレンドが続いた。ちなみに「素粒子・宇宙物理学の年」であった今年は、やはりヒッグス粒子のヒッグス氏とフランソワ・アングレール氏(ベルギー・ブリュッセル自由大学名誉教授)が受賞している。

 学説が論争の最中にある学者などは受賞しにくい、ノーベル賞自体が「人類に貢献した人に贈る」という名目があるので、軍事技術などの開発者に贈られることは考えにくい、などの見方がある。