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子宮頸がんの発症とHPVの持続感染の関連性


最も重大な点は、前述のとおり、米国FDAが「HPVによる大半の感染は長続きせず、子宮頚がんと関連性がない」ことを認めたと指摘されている点である。HPVに感染しても多くの場合は、免疫力によってHPVが体内から排除され、HPV感染の大半は2年以内に自然消失する。約10%の人で感染が長期化(持続感染化)すると、その一部のケースにおいて子宮頚部の細胞に異常(異形成)が生ずることがある。自然治癒することも多いが、さらに平均で10年以上の歳月を経た後に、ごく一部(感染者の1%以下)のケースにおいて、その他の複合的要因も伴って、異形成から子宮頚がんに進行することがありうるというのである。つまり、子宮頚がんの発症はHPV持続感染の充分条件でありえても、決して必要条件ではないので、この程度のことで関連性を肯定することはできないのである。

FDAの見解については各所で述べていますが、FDAはHPVが子宮頸がんと関連性はないとは一度も言っていません。詳しくはFDAが既にHPV感染が子宮頸癌の直接の原因ではないと発表したって聞いたけど?を見てください。

子宮頚がんの発症はHPV持続感染の充分条件でありえても、決して必要条件ではないので、この程度のことで関連性を肯定することはできないのである。に関しては、必要条件であっても十分条件であってもどちらでも関連性はあります。ちょっと数学の話になりますが、必要条件・十分条件というのは次のようなことです。

「A⊂B(AはBに含まれる)」=「『AならばB』が真である(正しい)」=「AであることはBであるための十分条件」=「BであることはAであるための必要条件」

簡単な例を出せば上のAを犬、Bを動物にしてみると次のようになります。

「犬⊂動物(犬は動物に含まれる)」=「『犬ならば動物』が真(正しい)」=「犬であることは動物であるための十分条件」=「動物であることは犬であるための必要条件」

この例で分かりますが、ある物体が「犬」であるということを示す為には「動物」であるという条件が絶対に除くことはできません。このことで「犬」と「動物」の関連性を肯定出来ないなどと言えるでしょうか?逆に必要条件・十分条件が成立する「命題」になっているのですから立派に関係があります。関連性が肯定出来ないような例は次のようなものです。「名選手ならば名監督である」これは名選手の中には名監督になった人もいれば、ならなかった人もいますし、名監督の中には選手時代に名選手といわれた人もいれば、いわれなかった人もいます。これは正しいとも間違っているとも言えない、命題として成り立たないものです。この様な例であれば、南出氏のように関連性が肯定出来ないと言ってもいいでしょう。

さて、今回の「子宮頸がんの発症」と「HPVの持続感染」に関しては命題は成り立つでしょうか?HPVの持続感染以外の子宮頸がんの発症があり得るので『「全ての子宮頸がんの発症」は「HPVの持続感染」である』という命題は成り立たないのですが、『「ほとんどの子宮頸がんの発症」は「HPVの持続感染」である』という命題は正しいのでちょっと緩めにみて命題が成り立つといって過言ではないと思います。

従って、南出氏の子宮頚がんの発症はHPV持続感染の充分条件でありえても、決して必要条件ではないので、この程度のことで関連性を肯定することはできないのである。というのは間違いです。

また、ある物体が「動物」ではないことを示せば自然と「犬」でないことも示すことになります。すなわち「HPVの持続感染」を防げば自然に「子宮頸がんの発症」を防ぐことになるのです。南出氏の子宮頚がんの発症はHPV持続感染の充分条件でありえても、決して必要条件ではないので、この程度のことで関連性を肯定することはできないのである。という発言は数学が苦手な人を煙に巻く為の詭弁としかいえません(因みに「充分条件」ではなく「十分条件」が正解です)。逆に、子宮頸がんの発症を防ぐ為にはHPVの持続感染を封じ込めなければいけないのです。これが今の子宮頸がん予防ワクチンの助成運動の原動力の一つになっていることはわかると思います。


最終更新:2011年03月05日 07:40
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