またあの子を救えなかった

これで何度目かしら

私は、何度もあの子の最期を見届けた

そう、何度も

何度も何度も

何度も何度も何度も何度も

そのたびに、私は胸が締め付けられた

絶望に心が染まっていった

どうしたらあの子を救えるのだろうか

ああすれば良かったのか、それともこうすれば良かったのか

後悔の念が押し寄せて止まらない

それでも私は、くじけない

諦めない

私は必ずあの子を救う


そして少女は、時を戻した────



ほむら「…………………。」

暗い廃工場の中、冷たい空気を醸す少女が一人佇んでいた。

名は暁美ほむら、「魔法少女」である。

ほむら「………聖杯戦争……」

キュウべぇによる契約の例が脳裏に浮かぶ、とても鵜呑みにして良いものではないと肌身に感じるほむら

しかし、鹿目まどかを救う方法、糸口が分からない今、どんな些細なな手段方法でも試さなければならない

それが例え、胡散臭い「万能の願望器」だとしても、だ

ほむらは魔力を込め、詠唱を始めた。

英霊召喚の儀式である。


ほむら「───闇、苦しみ、絶望、どれほど強大な災いが降りかかったとしても、あなたは立っていられるの」

ほむら「微かな希望さえ見えない、真っ暗な世界でも、あなたは進めるの」

ほむら「私は覚悟してる、あなたもそうなら────私に力を貸しなさい、英霊!」

強い光の中、魔法陣の中央から影が見え、ほむらと対面する



アンパンマン「……苦しかったんだね」



ほむらにとっては異形の生命体が現れる、顔がパン生地でできており、服装も奇抜なものであった

アンパンマン「きみ一人が抱え込むことはないんだよ、マスター」

ほむら「……………。」

ほむらに歩み寄るアンパンマン

アンパンマン「これからは、きみの痛みをぼくも背負う、一緒に立ち向かおう、一緒に戦おう!」

ほむら「…………。」

ほむら「……当り前でしょ、あなたは私のサーヴァントなのだから」

ほむらは儀式を終えるや否や、踵を返し、廃工場を後にした

その背中は、とても痛々しく見えた
最終更新:2020年10月11日 23:14