1人、公園のベンチで俯く少女、桂言葉は失恋のショックに泣いていた。

あんなに好きだった伊藤誠に告白したが…結果は撃沈、西園寺世界に取られてしまった。

言葉「……はぁ」

吐く息は思い、泣き過ぎた為目は痛く、喉も乾き切った。
寒いはずなのに寒さは感じないが身体の関節は重くて動かない。

言葉「……帰ろ」


自宅に帰った彼女は壁に自らの手首を切って滴る血で魔法陣を描く。

どうしても諦めたくない、大好きだから誠くんに振り向いて貰いたい…神様、どうか私にチャンスをください…

心に呟き、詠唱をする。

言葉「満たせ(閉じよ)満たせ(閉じよ)満たせ(閉じよ)満たせ(閉じよ)満たせ(閉じよ)、繰り返す都度に五度。ただ満たされる時を破却する」

そして召喚に答えたサーヴァントが言葉に声を掛ける

サーヴァント「啓は…何を望む…」

現れたのは白い陣羽織を羽織った妙齢の男性。

サーヴァント「啓は…何を欲する…」

言葉「わ…私…は…ただ誠くんに振り向いて欲しくて…チャンスが欲しくて…」

サーヴァント「振り向く…違う…啓はその者を欲しているのだ…」

言葉「でも…誠くんには西園寺さんが…」

サーヴァント「何故?奪うのは悪なのか…欲して何が悪いのか…」

言葉「……」

この人は悪い人だ、この人は私の心を分かってくれる優しくて悪い人だ

サーヴァント「啓は…諦める事が出来るのかね…?」
サーヴァント「啓は…忘れて生きれるのかね…?」
サーヴァント「啓は…その者を欲してはいないのかね…?」

言葉「私は…誠くんが欲しい…誠くんが全部欲しい…」

サーヴァント「ならば…啓にはその者を贈り…願いを貰おう…」

目から光を失った少女を見下ろし、サーヴァントはほくそ笑む。

久秀「欲しければ良いのだ…所詮人はすぐに死ぬ…」
最終更新:2020年10月11日 23:14