──どうしてそんなこと言うの?お兄ちゃんはそんなこと言わない!──

やめて……

──あたしが食べてって言ってるのよ?どうして食べないの?──

“わたし”は……そんなことしたくなんか……

──こうすれば、もう誰にも邪魔されないんだ──

やめて!お願いだから、“もう”お兄ちゃんを殺さ……!

──ずっとずっと一緒にいようね、お兄ちゃん……!──

もうやめて────


「……また、あの夢……」

暗い自室に一人、虚ろな瞳をした少女、野々原渚は悪夢に苛まされていた。
その夢は「最愛の兄を殺す」という、凄惨極まりない内容だった。
その悪夢は渚の眠りと、心の安定を引き裂き続けていた。

どういうわけか最後に、渚の記憶にない「綾瀬」という女の名前を告げると同時に、八宝菜だけは必ず登場した。
八宝菜が食卓に上れば、もう兄の死は目前だ。
この夢のおかげで、渚は八宝菜をこの世の何よりも嫌悪するようになった。
絶対に食べないし作らない。
臭いも我慢できないし、そばにすら近寄らない。



満月に照らされた自室で兄から貰った赤いマフラーを巻いた渚は包丁を使って魔法陣をガリガリと削り描いていく。

渚「……お兄ちゃん」

そう呟いた後、召喚儀式の詠唱を始めた。
強い光の中、魔法陣の中央から影が見え──

そこに現れたのは緑の繧ィ繝ゥ繝シ縺檎匱逕溘@縺セ縺励◆
繝ェ繝シ繝励ユ繧、繝ォ「縺雁燕縺御ソコ縺ョ荳サ縺?」
繧ォ繝ゥ繝シ縺ョ隱ュ縺ソ霎シ縺ソ縺ォ蝠城。後′逋コ逕溘@縺セ縺励◆
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「──汝が我々の主か」

──現れたのは、赤色の隠密装束の男性。

アーマック「主よ、何を願う」

緑に光る目でマスターである渚を見つめる

渚「……お兄ちゃんと、一緒にいたい」

あの悪夢が、自分の兄への想いに拍車をかけたのかもしれない。
だが、その前から、ずっと前から、自分は兄を愛していたのだ。
わたしたちは、血で、肉で、遺伝子で繋がっているのだ。
生命の起源で繋がっているのだ。
誰にも、悪夢にも、その根源的な繋がりを、絆を、愛情を妨げることは出来ない。

アーマック「……主の其の願い、叶えよう」

渚「……ありがとう」

だって、わたしはこの世界で誰よりも何よりも、
お兄ちゃんを、お兄ちゃんだけを、愛しているのだから──
最終更新:2020年10月11日 23:14