凛「はぁぁ〜……」

帰路に付く凛は深い溜息を吐いてしまった。

自らが呼んだサーヴァント、アリスのアドバイスに従い令呪を隠す為に手袋を付けてレッスンに出た。

そのせいか他のみんなはやれ怪我をした、やれイメチェンだと質問攻めにあったのだ。
特に神崎蘭子は「我が闇の同胞よ!遂に深淵なる加護をその腕(かいな)に宿したか!ならばこの私にその刻まれし闇の聖痕(スティグマ)を見せてみよ!」とか何とか言って手袋を引っ張ろうとしたのには焦った。

特に苦しかったのはプロデューサーが常に気にしており、事あることに中断しようとしたり、レッスンの内容を変えたりと何かと心配させてしまったのが申し訳ないと思ってしまったのだ。

凛(流石に聖杯戦争に参加しちゃった〜なんて言えないよね…)

凛「はぁ〜……」

通算何度目かの溜め息を吐きながら自宅に入る。

凛「……何これ」

自室のベッドに置かれた武器に唖然。

アリス「いい女の秘密道具」

対してアリスはさも当然の様に答える。

アリス「流石に武器のレンタルは無理だったわ、一応ここに来る時に幾つか持ってこれたけど…」

アリスの手元に弾丸が作られる、スキルによりいつでも弾は作り出せるものの戦闘中には隙が出来る。

その為、この様な暇があったらなるべく弾を作って置くのだ。

ふと、凛はリボルバーを手に取る。

弾は入っていないのにずっしりとした重さが手に伝わる。

これはモデルガンではない、本物だ。

つまり本当に殺し合いが起こるのだ…もし負けたら待っているのは死…

リボルバーを持つ手が震える、その手を包む様にアリスの手が重なる。

アリス「落ち着いて凛、私が居る限り貴女を死なせはしないわ」

目線を合わせ、青い瞳で凛の瞳を見つめながら伝える。

アリス「これでも約束は守るいい女なのよ、私」

凛「……自分でいい女って」

思わず笑ってしまう、心が落ち着いた証拠だ。

アリス「落ち着いたのなら寝なさい、今日はお疲れでしょ」

凛「いや…ベッド使えないんだけど」

アリス「………」
最終更新:2020年11月13日 20:32