―――鳴海探偵事務所
風の吹く街、「風都」に建物を構える古風で小さな事務所
…のハズだった
「ったくよ〜!オイフィリップ、まだこの世界のことはわかんねぇのか!?」
「何を焦っているんだい?翔太郎」
焦っているのは事実ではあった。
数日ほど前に遡る…
*
俺はいつも通り、苦めのコーヒーを飲みながらハードボイルドに決め探偵としての仕事に打ち込んでいた
「最近はドーパントも少ねぇな…ま、ちょっとはこの街も綺麗になったってことか」
“ドーパント“ ミュージアムが開発したガイアメモリによる力で超人的な力を手に入れた怪人だ。
この街、風都ではそのドーパントによる事件が後を絶たない
「減少はしたがなくなった訳ではない…今は爪を研いでると言ったところだろう」
年季を感じさせるソファに座り、同じくコーヒーを飲む赤い男。コイツは“照井竜“
警察にドーパント事件捜査科を構える、悔しいが俺よりハードボイルドな奴だ。
「ハッ、爪を研いでる…ねぇ…どんだけ準備して来ようが返り討ちにしてやるぜ。だろ?照井」
立ち上がり宣言してやる
「俺に質問をするな」
俺達は“
仮面ライダー“だ
「相変わらずだな…ちょっくら、またパトロールに行って来る…」
風都は俺達が守る
そう堅く誓い、おやっさんの帽子を手に取った時だった
―――視界が揺れた
*
「地震か?」
帽子を被り回りを見渡す
「地震にしては随分短い揺れだな」
「ま、何もなけりゃいいんだけどよ」
特に気に止めず俺は外に出た
―――外の景色を見て驚愕する
「なんっ…っっっっ…じゃこりゃあああああ!?」
事務所の外は街のハズだ
だが、眼前にあるのは一面の緑と、田舎臭い雰囲気だった
*
「で、検索は終わったのか?」
「情報量が膨大過ぎてね、まだしばらく時間が掛かりそうなんだ…ゾクゾクするねぇ」
「…そうかい」
今この世界の事を調べているのは
フィリップ、俺の相棒だ
コイツは全ての情報が集まる場所 “星の本棚“に入ることが出来る、事件等の情報整理は基本任せている
…だが……
「ところで翔太郎、君は知ってるかい?ゲンジョゲリオと言う食べ物を!!」
「ダメだコリャ」
一度別の情報に興味を持っちまうと、ソレを調べ終わるまで他のことに手が付かない
「まーた変なもんに興味持ちやがって…」
「材料に絵の具…!?興味深い…!」
*
「
ケイオス、地球とは全く別の惑星だ」
検索を終えたフィリップが室内を歩きながら言う
「ケイオス?なんだそりゃ」
「地球とは似ているが、非常に特異な場所だ。分かりやすく言うのなら…“二次元的世界“」
「つまり〜…なんだ、漫画的アニメ的…ってことか?」
「その通り!」
とんでもない世界だと言うことはよく分かった
それはさておき、今一番知りたいことは…
「で、風都に帰る方法は?」
「残念だが、今のところは見つからない」
「はぁ!!?!?」
情けないくらいに自分の口が開くのが分かった
*
最終更新:2013年02月11日 17:12