PRELUDE ―― VIDEO 3

ｻﾞ……ｻﾞｻﾞｯ…

ノイズ混じりの映像に、高所―――ビルの屋上に立つ人影が映し出される。

人影「(屋上の縁に歩み寄り、ゆっくりとこちらへ振りかえる。映像が荒くて顔まではよく見えない) 」

人影「…案外楽しかったよ。こんなクソみたいな箱の中でアンタ達と遊べて(カメラがズームされる。相変わらず映像は荒いが人影の顔がアップに映る) 」

人影「そうだ…ひとつ"良いこと"を教えてやるよ。この事件の黒幕は…――――…ヒヒ、笑えるだろ？(風が大きく吹き、音声にも一部ノイズが入る。口角を吊り上げて嗤い、段々後ろのめりになっていく) 」

その時、撮影者が咄嗟に動いて映像が大きくぶれ、人影が映像に捉えられなくなる。

「ﾊｯ、ﾊｧｯ……！(コンクリートの地面を捉え続ける画面。撮影者の呼吸が聞こえる)」

ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ………（どこからかヘリの音が近づいてくる）

手が震えているのか、地面を映した小刻みに震える画面がゆっくりと上がり屋上の縁を映す。そこに先ほどの人影はなく――――画面、暗転。