Rainy Day In The Noise Day6 log

御手数ですが真下よりご閲覧ください














Alvis「────……(背を向られた事に驚愕しつつも意識が薄れてゆきその場に倒れこむ)……ふっざ…けるな…… 」

クリス「……(崩れ落ちるAlvisを見届けることなくブレードを鞘に収め踵を返す)……口に出して決意したなら実行してみせろ、アンドロイド………いや、Alvis 」

Alvis「     ────ー…(弾き返される力を一身に浴び、ブロック塀に叩きつけられる) 」

クリス「(視界を閉ざし、同じく両手で握ったブレードを真一文字に振り抜き、斬撃を一閃して退ける) 」

Alvis「お前らなんかに束縛されない…逃げも隠れもしない!僕の居場所は僕が決める、この剣のように立ち塞がる物がなんであろうと…切り伏せてでも生きてやる!自分の足で生き抜いてやるんだッ!!(両方の手でフィルムような蒼白い帯を無数に纏った大剣を、白銀の軌跡を描いてクリスへ降りpろす) 」

クリス「……!その叫びに対し微笑を浮かべてもう一本のブレードを抜刀)────よく言った 」

弾かれた大剣が叫びに呼応するように、閃光と共に消滅しAlvisの手の中に再度生成された 」

Alvis「ッ……好き放題言ってくれるんじゃねェ!僕は拾われた訳でも買われた訳でもないんだぞ!僕が!僕が選んだんだッ!僕があの人達を選んだッ!!あの人達が信じてくれた僕を!あの人達を信じると決めた僕自身の選択を信じるって決めた!僕が、僕の心がそうさせた!僕自身に従ったんだッ!! 」

クリス「だったら今すぐにでも戻ったらどうだ、その方が安心だろう…逃げ出した息さ身もわからない子羊みたいなガキが粋がってるんじゃない。他人の承認なくして生きていけないようなお前が、疑い無くしてどうして生きていけると言うんだ、何度繰り返したところで同じだよ、お前は必要とされなければ、承認されなければ自己を肯定できない宙吊りの人形だよ、だから捨てられるという恐怖が付きまとっているんだ……────どうせ今回も捨てられるぞ 」

Alvis「ア"……ぐァ…ッ(叩き伏せた腕を払おうと掴むがびくともせず涙を浮かべて憎々しげにクリスを睨む)……ち……がう…ッ 僕は…信じてる…!信じたい…守るって言ってくれた…待ってるって言ってくれた…!皆の言葉が嘘だなんて思いたくない…! 」

クリス「(サーベルを抜刀して振り抜き、刃を大剣に突き刺してそのまま投げ捨てAlvisの首を鷲掴みにし床に叩き伏せる)────味方など居ない。何処へ行ってもだ 」

Alvis「だッ……まれエエエエエエエェェェェ────ーッ!!(背の六枚羽が瞬時に起動して結合し光の大剣と化したそれを握って思い切り振りかぶる) 」

クリス「結局お前は誰も信じちゃ居ないからだ…誰と居ても、心では信じたいと思っていても最早植え付けられた心理的外傷に精神を揺さぶられ、猜疑心に蝕まれ、お前はいつか自分が拒絶されるのだろうと恐れ!今も逃げ出そうとしている!認めろAlvis、お前は…… 」

Alvis「(ドクン──)やめ……ろ……やめろ!言うな! 」

クリス「(腕を突き出してフェンスに叩きつけ逃げ場を封じ恐怖を煽る)今は民間人の家に潜伏しているらしいな、彼女は只の一般人じゃーない、どうせ外出するにしても行動を共にすればより生存確率は高くなるだろう、巻き込みたくないのなら外に出なければいい。だが、今お前は、この時間帯に一人で、いいか一人で外出している訳だ、それは何故か……言い当ててやろうか 」

Alvis「(学生達の罵声が脳裏で反響して血の気が引き音を立てて線路脇のフェンスに背中がぶつかり追い詰められる) 」

クリス「いいのか、安々と心を許して…さっきのような目先の利益で動くような人間、企業、組織なんざ腐る程この世には鬱積している。今、悪意のない人間がいつお前に欲を向けるかもわからない、お前も知ってるだろ?人間の多くは容易く掌を返すものだと 」

Alvis「(こいつ……!?)……ッ!?(最早返せる言葉もなく一歩一歩、困惑しながら後ずさって行く) 」

クリス「『既に信じるものは自分で決めた』──ーか? 」

Alvis「ッ……!?(気押しされ後ずさる)…だから……だからなんだっていうんだよ、それでアンタを信用しろって?無理だね、僕は…… 」

クリス「(無線を切りAlvisに視線を戻す)……これで一体一、個人同士の対等な対話だ。いいな…(一歩大きく前に踏み出し刃物のように鋭い眼光を潜ませた眼差しでAlvisを見下ろす)…俺を組織の断片として見てくれるな 」

Alvis「……?……!? 」

クリス「(無言の返答をし無線を取り出す)…定期報告。目標、Alvisの目撃情報が寄せられたエリアを捜索した結果、類似した少年しか発見できなかった。目撃情報は誤報だった模様、繰り返し付近の捜索に戻る 」

Alvis「はは、君こそ僕の事なんて情報でしか知らないんだろ、だからそうやって冷静でいられるんだろ 」

クリス「……(表情一つ変えずブレードを収め首を振るって髪濡らした雨水を払う)どうかな……俺個人が思っていることなんてお前に理解できるのか、ん? 」

Alvis「……(クリスの服装をまじまじと見つめ剣に手を当てる)…どうせ、本気で心配なんかしちゃいない癖に…!無傷で連れて帰れないと困るんだろ!?あんた達はッ!! 」

クリス「(ブレードに染み込んだ油分を払い、散乱する腕の『パーツ』を靴底で踏みつけAlvisに歩み寄る)……背中がガラ空きだ 俺がバラすのが数秒遅かったら、背後から串刺しにされている 」

Alvis「ハッ……ハァ……ッ!(線路下でその光景を目前にして目を大きく見開き息を切らして背中に壁を引っ付ける) 」

シュゥゥゥ……(サングラスをかけた全員同じ顔の男達が、胴体や手足、首を切断され、その部位から煙を咲き動かなくなっている 」

──ー死骸の概念はなんなのだろうか。もし目の前に手足を引地咲かれ転がる半機械の人間がそうでないなら、僕も、死んだ時は人間のようにあつかわれないのだろうか 」

──ーガソリンと血が混じったような匂いが嗅覚を腐らせようとしてくる。降り注いでいる雨が酸性雨に感じるような錯覚を引き起こさせるような、そんな心地だ 」




*




────暫くして天候は雨へと移り変わる。それはあの日の嘆きと似たものとは違い、凍てついた地表を僅かに溶かすような微かな季節の巡りくる足音にも聞こえた」

イナ「こっちの方こそ、よろしくな。アルヴィス(アルヴィスの笑顔に応えるようにイナの表情も朗らかになる) 」

Alvis「改めてよろしくね、イナ(疲れてはいるものの一切の曇りのない笑みを向け) 」

イナ「…うん、そう来なくっちゃ(少しだけ優しげに笑む) 」

Alvis「……(ああ、"そういう眼"だ…なんて強くて真っ直ぐな眼差しなんだろう…そういう目で、前を向いていられたらどんなに……──)…ありが…とう、ありがとうイナ……僕、信じるよ、イナも、イナが守るって言ってくれた自分も… 」

イナ「……ああ。もう何かが消えていくのを見るのは、二度とご免だ(強く直向な瞳でアルヴィスを見据える) 」

Alvis「(脳裏に笑顔で接してきてくれた友人と嫌悪を表にする友人がフラッシュバックする)……いいの?…信じても…いいの……? 」

イナ「このままお前を見捨てろっていうのか…ご免だね、絶対にご免だ!!『巻き込む』だなんて思うな、『仲間ができた』と考えろ!大丈夫だ、守れる…絶対に守ってやるから…ッ! 」

Alvis「!?…い、イナ…駄目だよ、追っ手が何の目的で僕を追ってるのか…はだいたい想像つけど、得体もしれないし何人いるかもわからない、それに、屋内にいたからって安全だって保証はないんだよ?何より……イナまで巻き込んだりでもしたら僕は…! 」

イナ「わかった―――しばらくウチに来い。外をブラついてるよりは何倍も安全なはずだ(真剣な顔をしてアルヴィスに) 」

Alvis「(目をこすってから首を縦に降りイナと向き直る)…うん、彼等は僕の知ってる軍とも違う、なのに気がつけば近くに居てとても怖くて仕方がなかった。だから、ずっとあいつらがいない場所を探してた 」

イナ「 …大丈夫、オレはお前の味方だ。忘れるなよ(くしゃ、とアルヴィスの頭を撫でる)……アルヴィス。この間から続けてた"散歩"っていうのは…スーツ野郎共から逃げてた、ってことなんだな? 」

Alvis「っ……!(何とか言葉を返そうとするが声は喉で詰まって何も言い出せなず瞳が濡れてゆく) 」

イナ「怒るよ、当然だ……!普通と違ったって、違ったって良いんだよ…良いに決まってるだろうが…っ!(盲目だった弟が脳裏をよぎる) 」

Alvis「……(イナの様子を見て驚き目を丸くするが暫く間を置いて笑む)仕方ないんだよ、正直僕も何処から何処まで彼等と違うのかわからない、だから僕も自分が怖い…わかってるんだ…………でも、そんな風に怒ってくれるなんて…思わなかったな 」

イナ「………   ガァン!!(話をすべて聞き、やり場のない怒りをバスの中の鉄棒へとぶつける)……ッどいつもこいつも、好き放題やりやがってッ…!!アルヴィスがオレたち(人間)と違うから化物だぁ?利用価値があるから軍で"使う"だぁ…!?ざッけんじゃねぇ…ッッ!!(強く、強く歯噛みする) 」

Alvis「…滑稽な御伽噺だったらよかったのにね…(自分が人間ではない何かだということ、高校での事の始まり、浴びせられた罵声、軍への勧誘と一週間という短い猶予、そしてそれをとっくに過ぎてもなお逃げ続けていること、学生に愛用の二輪を壊されたこと、スーツの男達に追い回されていること、今までに起こったことを眈々と語って行く) 」

イナ「……っ…わかった、全て教えてくれ(息を呑み、表情が険しくなる) 」

Alvis「…そっ…か…(声のトーンを落としてイナの手を離し口を開く)…多分信じられないと思うけど、教えるね…あの時起こったこと全部──── 」

イナ「…ああ。学校が襲われた、ってことだけは知ってる。…それ以外はサッパリだ 」

Alvis「どうだろうね…僕そのものが面倒なのかもしれないしあいつらの考えてることが面倒なのかもしれないし…。イナ…は確かこの前学校来てなかったって言ったよね 」

イナ「べ、別に構いやしないが……っ(されるがままに手を引かれ、椅子に座る)……何か面倒に巻き込まれてるのか、お前(アルヴィスの目を見て) 」

Alvis「(沈黙したまま手を引いて椅子に座り込み息をつく)……ごめん…ただ、君と話をするのにあいつらは怖過ぎるから…勝手に君を… 」

イナ「うわっ―――ちょっ、アルヴィス!?(アルヴィスに腕を引かれ、バスの中へ)お、驚かせるな…!急にどうしたんだよ…!? 」

Alvis「(青冷めた顔でスーツの男達とイナを交互に見ながらバスの存在に気づき中番混乱しつつイナの腕を掴んでバスに駆け込む)乗りますッ! 」

イナ「――――。(アルヴィスと目が合い、言葉の続きを待つ) …っと…バスか……乗るのか?(スーツの男たちからは目を離し、こちらを向いていることに気づいていない) 」

『お待たせ致しました。このバスは行き先番号114番……』(バスが到着し乗客の乗り入れが始まる)

スーツの男達「サングラスを繰り返しノックしながらAlvisを見つめている…モールス信号のリズムを刻みながら)

Alvis「(顔を上げ衰弱しきった瞳をイナに向ける)…隠すこともない…よね、僕は……ー──── 」

イナ「―――……なんか、訳ありっぽいな。(トーンが低くなる) 」

Alvis「どうもしてな…(笑って誤魔化そうとするが声が出ず黙り込み間を置いて)…嫌でも続けなきゃいけないんだ、あてもない散歩 」

イナ「……? …どうかしたか?(アルヴィスの元気が無いような印象を受け、ふと問いかける) ――――……なんだ、アイツら…流行ってんのか、グラサン(それより……気味が悪いな。顔から何まで同じだった気がする…) 」

コツ…コツ…コツ…(ある程度人通りのあるバス停でサングラスをかけた『全く同じ容姿の男達』が幾度も人混みに紛れて通り過ぎて行く)

Alvis「(伏せ目がちにイナを横目で見ながら)はは…うん………そろそろ飽きちゃった…かなぁ? 」

イナ「 …また散歩か?飽きないな、お前も(アルヴィスと微妙に距離を開け、ベンチに座る) 」

Alvis「ビクッ(声をかけられ帽子を目深に被り直す)……っ…い、イナ…? 」

イナ「ん……(バス停に居るアルヴィスを見て、ふと立ち止まる)……よう、なに黄昏れてんだ。(再び歩き出し、近寄りながらアルヴィスに声をかける) 」

Alvis「(バス停のベンチに腰を下ろして吐息を吐きながら空を見上げる)…はぁ 」

イナ「(寒空の下、珍しく徒歩で散歩していた)………もう2月もシマいだけど…まだ冷えるな」










Alvis「ならいいんだけど…さ そう…気のせいね、よくあるよ。またね!(手を振りながら)…『またね』か…後何回、それを言えるんだろうな(踵を返して元の住居に背を向けて歩いていく) 」

イナ「…あー、その……(しばし長考し、口を開く)…気のせいだ、何でもないよ(どこか、少しだけ寂しそうに見えたけど…気のせい、かな) ふぅ、オレはそろそろ帰るぞ…お前たちもあまり遅くなるなよ。じゃあな(停めてあるバイクに乗り、エンジンを掛けて走り去っていく)」

Alvis「 ……────えっ(慌てて視線をイナに戻す)…何かおかしなことでも言ったかな」

イナ「 ……アルヴィス? 」

Alvis「そんなに変…かな…うん、かもね。ああやっている時がいつもの日常みたいに思えて…(雲ひとつない夜空をふと見上げ無意識に視界が滲む) 」

イナ「ハハ、ろくに持て成せてないのに楽しい、か。…やっぱり料理してない時はヘンだよ、お前(肩を竦めて少しだけ笑う) 」

Alvis「(弟…か)うん、そうさせて…本調子取り戻してくれないまま仕事辞めたんじゃ寝覚めが悪いし、何よりあそこに居るのは楽しいしね(ポケットに手を突っ込みながら微笑む) 」

イナ「弟がいた時はまた違ったんだけどな…ああ、頼むよ。悔しいけどお前の料理はウマいからな(苦笑いする) 」

Alvis「んー、別にいいけど勿体無いかなぁ…料理は過程も楽しまなきゃ、ちょっと間が空いちゃったけどまた作ろっか? 」

イナ「ふーん…羨ましいよ、オレはもう食事の用意が億劫でなあ。どうも作り甲斐がねぇんだ(ため息をつく) 」

Alvis「あはは…それはどうも…(口元が綻び伏せ目がちに) そっか、まぁあの時は無我夢中っていうか…楽しかったからかなぁ(頭をかきながら) 」

イナ「どうだかな。少なくともお前が食事を作ってた時はまともに見えたよ(肩を竦めて)」

Alvis「変…かな?僕がまともだったことあったっけ?(微笑しつつ首を傾げる) 」

イナ「?(アルヴィスの反応を見て怪訝な顔をする)どうしたってんだよ。本当に少しヘンだぞ、お前(腕を組み、少し案ずるような表情) 」

Alvis「(ビクッと肩が痙攣し瞳が小さく、大きく見開いた目を伏せながら)そっか…イナは知らないんだっけ…そうだよね、でなかやこうやって普通に接してくれないよね 」

イナ「ヘンなやつ……まぁいいけどな(髪を掻きながら) そういや、オレが学校サボってる間にすげー事件があったんだってな。詳しくは何も知らねーけど、お前も気をつけろよ 」

Alvis「(作り笑いが固まり肩を窄める)そうだよ…変わってるでしょ? 」

イナ「………駐車場をか?(小首を傾げて) 」

Alvis「うぇ!?(ハンドルを慌てて背の後ろに隠し振り返る)あはは…別に、ちょっと散歩してただけだよ 」

イナ「(愛車に跨がり、アルヴィスの居る駐車場の側を偶々通りかかる)……ん、アルヴィスか。こんな時間に何やってんだアイツ…(バイクを停めて降り、スタンドを立てる)よう、どうかしたのか 」

Alvis「…(僅かに散乱し残ったネジを拾い上げてポケットに突っ込む)(…軍って給料高いのかな…そしたらまた買い直せるかな) 」

Alvis「……(駐車場にこびりついた油を指で拭き取り眺める)はは……持ち運びやすくなったと思えばいいしね……うん…… 」

紅夜「(まあ、ぶっちゃけ見てたんだけどな『ぶっ壊されんの』をよォ…まぁ言わぬが放って言葉あるしな…)……そいつは形見だよ…まぁなんつーか、慰めにもならねーと思うが…じゃ、俺行くわ(手をひらひらと振りながら階段を上がって行く) 」

Alvis「(部品、ハンドルを握ったまま絶句))…… 」

紅夜「……(灰皿に煙草をしまい機械の部品をAlvisにへ投げる)…理由は知らんが俺がここへ来た時は手遅れだった…気の毒にな 」

Alvis「(上の櫂の人……だっけ)……あの、12番のとこに置いといた僕の原付… 」

紅夜「(煙草をブロック塀に押し当て駐車場で自分の二輪のワックス掛けをしながらAlvisを見る)……どうした 」

Alvis「(後は…そうだ、馬持ってかなきゃ…駐車場塞いでても迷惑だし)…確か12番のロックを解除して…あれ(普段自分が停めているスペースに二輪が無い事に気付く) 」

Alvis「(姫川宅から膨らんだ重量感のあるリュックを背負って出てくる)(…いびきで周りの音が聞こえてそうな気配なかったな…鍵も閉めてないしあんな無防備で大丈夫なのかなぁ…まいいか) 」





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最終更新:2014年03月27日 00:12