浅花「ぁ…!(剣の切っ先が眼前に現れ、腰が抜けて尻餅を突いてしまう)―――ッ…!(その場から動けず、ぎゅっと目を瞑る) 」
アオ「…ッ……ダメだ…逃げ…て……ッ!(歯を食いしばり、声を絞りだす) 」
正義の霊長「――――――。(浅花に真正面から否定され、絶句する)…………嘘だろ、君"も"か…?…君も、俺を拒絶するのか―――(悲痛な表情になり、目を伏せる)―――……もう、いい。君が手に入らないのならば(剣を一振りし、浅花へと
切っ先を向ける)…せめて、誰のものにもさせない。――――――
これから何十、何百人という"君"を殺すのかな。(茫然に、曖昧に、朧げに、そして虚ろに微笑む) 」
浅花「(近くのアオと霊長をバッと見比べ、静かに首を振る)違います…あなたはアオさんじゃありません…!!だって…だって!!アオさんは、…そんな怖い目、しないから… 」
正義の霊長「―――え?(浅花が自分を拒絶する仕草をし、笑ったまま汗を滲ませ胸の辺りがゾクリとする)い、いや……そうか、そうだよね。コイツ(アオ)がいるから戸惑ってるんだ。わかるよ…だってソックリだもんね。でも大丈夫、君のパートナーは俺だ…!だから…そんな顔をしないで…二人で新しい人生を始めよう…ッ!(汗が滲む笑顔のまま浅花に諭すように) 」
浅花「ひっ…!?(怯えた表情で、霊長が一歩近寄ると同時に一歩後退する)違う…違います…!あなたは…… 」
正義の霊長「会えた……やっと、会えた…っ!(心からの喜びを表情に出し、アオから手を離して立ち上がる)…あ、浅花ちゃん……わかるかい、俺だ…アオだよ!さぁ早く本物の世界に帰ろう!…こっちへ来て、浅花ちゃん…!(両手を広げ、一歩浅花へ近寄る) 」
浅花「ッッ…―――!!(口元を両手で覆い、目を見開いて二人を見ている) 」
アオ「……そう…じゃ、ない……ッ…俺が、言ったのは……っ…!(だらだらと汗が流れ落ち、荒い呼吸を整えようと肩が上下する)―――君のナイフが…酷く孤独に見えたから、言ったんだ…ッ…君は変わった、と―――――――紡いだ絆を捨て踏み躙る正義なんて、俺は認めな――――……!!?(はっとして声の主を確かめようと振り向く) 」
正義の霊長「だったらどうするか!?……"送る"んだよ…!!誰も傷つかない、腹も減らない、考えることさえ馬鹿らしく無意味になる天上の世界に…!!!(屈んで片膝立ちになり、アオの胸ぐらを掴み上げる)君にこんな正義を掲げられるか、俺に匹敵する勇気と覚悟があるか!?無いだろう!!だから俺と君はちが――――…!(悲鳴を耳にし、声の方へ目をやる) 」
「 ―――ッッ…!!(アオの後方から、声にならない悲鳴が響く) 」
正義の霊長「…当然だよ、変わったさ!俺は生温い正義を捨てて君よりずっとずっと強くなった!!君はまだ気づかないのか!?人間はダメな生き物なんだよ!!脅威を排除しても平和は一時的なもの、放っておけばそこら中に燻っている火種がひょんな事で燃え始める!!(感情を剥き出す) 」
アオ「…ッ…!!?……が…はッ……あ゛ァっ…!!(細く血飛沫を上げ、激痛にたまらず膝をつく) 」
正義の霊長「 ズ バ ァ ン ッ ッ ッ !!!(破裂音にも似た爆音を轟かせ、アオを一閃) 」
アオ「――――――――っ。(目を見開いて瞳が縮小していく) 」
正義の霊長「――――――ヒュンッ(剣戟の最中、一瞬アオより優れた疾さでアオの隙を認める)―――ニィ。 」
二人の動きは寸分違わず、まるで鏡写しのような激しい剣戟を繰り広げて連弾的に劈くような金属音が鳴り響く。
アオ・正義の霊長「キン―――キン―ギィン!―――ギャリッ――キッ―ギンッ!!――――ガァン!!―ガギンッ!―ガンッ―――キィインッ!!――ガッギィィン!!! 」
しん、と場が静まり返る。アオと正義の霊長は瞬時に刃を引いて構えを取り、再び双方の視線が交錯した刹那―――振り被る刃を解き放った。
アオ「ゾクッ―――――。(霊長の視線が突き刺さり、体を強張らせ目つきが鋭くなる) 」
正義の霊長「パキンッ!――――――― キ ィ イ ン ッ ! ! (双銃を消失させ、蒼い剣を生成しアオと全く同一の動きで斬撃を繰り出し刃と刃がぶつかり合う)………俺 が " 変 わ っ た " ?(スゥと瞼を降ろし、ハイライトのない冷徹な目つきになる) 」
アオ「ギィンッ!(蒼い剣で弾丸を切り裂き、拳銃を投げ捨てて霊長へと急接近し下方から打ち上げるように斬撃を仕掛ける) 」
正義の霊長「チャッ ガンガンガンガンガンガンガンガンッッ!!!(もう片方に握っていた拳銃で照準を合わせ、アオが放つ弾丸を全て正確に撃ち相殺する)ガンッ!!(アオより一発多く放ち、弾丸はアオの眼前へと迫っていく) 」
アオ「はッ!!(胸元に当てられている拳銃を上方へ押し上げて弾道を逸し、強引に拳銃を奪い取る)――――チャキッ ガンガンガンガンガンガンガンガンッッ!!!(後方へ飛び退いて拳銃を構え、連射する) 」
正義の霊長「――――――ッツ!!!(カッと目を見開き、もう一度引鉄を絞る)ガァン!!! 」
アオ「ドッ――――…か、ァっ……(弾丸が胸部を貫き、鮮血が飛沫を上げる)……君は"変わった"よ…ッ!!(徐々に口の端から血が垂れてくる) 」
正義の霊長「ガァアンッ!!パキンッ!(弾かれた拍子に大槌は砕け、双銃を生成する)ギャリリリリリィィイィッ―――(拳銃でアオの刺突を受け流し、火花を散らして滑るようにアオと髪が触れる程に接近する)――――――君の動きは手に取るようにわかる。変わらないね――――ガァンッ!!(低く冷徹な声色で言い放ち、銃口をアオの胸元に押し当ててゼロ距離で発砲) 」
アオ「"幾星霜の輝宝(
アンビション・シャワー)"!!―――パキンッ!!!(ナイフを捨てて滞空中に蒼い剣を生成し、迫る槌を弾く)―――ぁぁぁあアアアッッ!!(着地し、鋭い刺突を繰り出す) 」
正義の霊長「グルンッズォオオッ!!(そのまま振りぬいて一回転し、勢いを増した一撃を滞空しているアオの顔面へと打ち込もうとする) 」
アオ「ぅおッ…!!(霊長に刃を打ち付けられ、体のバランスが崩れる)―――――くっ!!(振りぬかれる槌に手をついて側転。槌はアオの体直下を通過していく) 」
正義の霊長「キンッギンッガギィンッガシャァアンッ!!!(涼しい顔で連撃を受け流し、最後にアオの振るうナイフに強く刀身を打ちつけて霊長の持つナイフの刃が砕け散る)―――――パキッ。(そして次の瞬間には大槌を生成し、アオの横っ腹を殴り抜こうとする) 」
アオ「ガギィンッ!!(ナイフの抜き出し様に斬撃を受け止める)ガンッ!キンッ ヒュンヒュンッビュウッ!!(刃の背を空いた手で支えて押し返し、連撃を繰り出す) 」
正義の霊長「……いくよ―――――――ダンッ!!!(凄まじい跳躍でアオに接近し斬りかかる) 」
アオ「……ッ!(周囲を見回し、身構える) 」
正義の霊長「わかってたよ…どうせそう言うのは。……本来俺が行うコレは救済の為なんだが―――(ナイフを生成し、切っ先をアオに向ける)―――君が邪魔だから殺す為にコレを使うね。 」
アオ「…駄目だ。絶対に渡さない。(即答し、霊長を鋭く睨みつける) 」
正義の霊長「―――――そう。君の想像で大体合っていると思う。……俺が多世界を巡っている目的は大きく2つあるんだ。1つは全ての世界の救済と……2つは健常な浅花ちゃんの奪還。…そういうワケだからさ、こっちの浅花ちゃんを俺に渡してくれないかな? 」
アオ「な、なんだよ…その口ぶりじゃ、まるで――――。 」
正義の霊長「いや――――……ううん。ただ、"彼女が元気なまま"君と居るのが憎たらしくって…ね。 」
アオ「…答える義理はないね。それを聞いてどうするつもりなの?(目つきが鋭くなる) 」
正義の霊長「あはは、まぁそう言わないで……ねえ、"こっちの彼女"はどうかな。元気にしてる? 」
アオ「…………できれば、もう会いたくなかったよ。(霊長を見て足を止める) 」
正義の霊長「……やぁ、久し振りだね。アオくん(ふらりと現れ、風に白髪を揺られながらアオを見やる) 」
アオ「カツ、カツ…カツ……(開けた広場を歩いている)……。(なんだ…やけに肌がピリピリする。クソ……) 」
最終更新:2015年01月10日 23:41