Judgement Of Kings 過去ログ5

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続き







李劉冥「・・・今のは、一体・・・。 」


――――それら、一色で染められた光景が走馬灯の様に、李劉冥の脳の中に流れ込んでいく。彼が目を覚ました時、幻術から解放されたかのように視界が元に戻る。しかしそこにはもう――――彼女の姿はなかった… 」


李劉冥の視界が停止する―――彼の目に映るのは真っ赤な空、真っ赤な掌、真っ赤な月、真っ赤な百合の花、真っ赤な歯車、真っ赤な羊、真っ赤なカーテン、真っ赤な雑踏、真っ赤な昆虫、真っ赤な泡、真っ赤な道化師の仮面、真っ赤な鈴、真っ赤な円卓、真っ赤な立方体、真っ赤な花畑、真っ赤な少年の後ろ姿、真っ赤な数字、真っ赤な巨城、真っ赤な片目、真っ赤な桜並木、真っ赤な少女の笑顔―――――――


李劉冥「(ぬっ・・・・・・!?) 」

ナナ「(目と鼻の先にその刃が迫った時―――)―――――― ク ォ ン ――――――― (開眼と同時に紅色の瞳が露わとなり、瞳の中に李劉冥を捉えた) 」

李劉冥「邪ッッッッ!(咄嗟に隠し持った鳳斬布を槍のように長く鋭くナナに飛ばす) 」


李劉冥は戦慄する―――――――――彼女にその"眼"を開かせてはなるまいと


ナナ「んー…それは無理かもしれないよ。だって――――――(眼帯をそっと外し固く閉ざされた瞳が現れる) 」

李劉冥「ほう、それはそれは特異なモノを持っておるな。どうじゃ?儂と共に来ぬか?(ヘラヘラとうさんくささはそのまま) 」

ナナ「(少し強くなった夜風で髪が靡く)…実は私、なんでも見えちゃうんだ。例えば、箱の中に入ったお菓子とか。例えば、月の表面がどうなっているのかとか。例えば、時計の中の機械仕掛けとか。例えば、鳥の脈打つ心臓とか。例えば、暗い海底を遊泳する魚とか。例えば、人の頭の中とか。例えば、人が考えていることとか。例えば―――――"今日ここでお兄さんと出逢うことになる結果"、とかね。 」

李劉冥「―――呵呵呵、なんのことだぁ?儂には・・・皆 目 見 当 が つ か ん な ぁ ? 」

ナナ「…… …… ……"お兄さんが知りたいのはそのこと"? 」

李劉冥「―――――呵呵、すまんすまん、見ず知らずの人間に話す気にはなれんな。申し訳ない、忘れてくれ。 」

ナナ「――――――――(李劉冥の問いに対し、平常を保ったまま無言する) 」

李劉冥「そうか。確かにここは美味いものが多い、きっと作物を育てるための水や肥料がよいのだろう。故にそれを食べて飲み育つ家畜達にも脂がのる。うむ、ここは優れた料理人も多いしな。それにはこの国の産物は欠かせんわけだ。―――して、お主はどこの国に還る? 」

ナナ「ぇ…? あ、うん、そうだよ。いつもこの国に来ては美味しい物を買って帰るんだ~。(うふふと嬉しそうに笑み、紙袋を大事そうに握る) 」

李劉冥「そう、なのかなぁ。―――あ、すまん、引き留めてしまったかな?お主、今から帰りか? 」

ナナ「でもでも、率先して行ってるなんてすごいことだよ。みんなお兄さんのことを見習うべきかもだね~!(腕を組んでうんと頷く) 」

李劉冥「大変だよ?いっつも儂が書いてるのだ。どいつもこいつも書きたがらないから・・・いっつも儂が書いておる。 」

ナナ「ふーんー… 見た目は立派な戦士なのに、結構インテリっぽいのね…(汗) お兄さんも大変なんだねぇー… 」

李劉冥「呵呵、仕方あるまいさ。兵士だものな。とはいっても儂の専門は年々デスクワークになっていっとるわ。報告書とか始末書とか始末書とか・・・。 」

ナナ「えっ…? …んー……(眼帯で覆われた片目ではないもう一つの目でまじまじと見つめる) んー…わかんない。あ、でも…―――――なんだか血の臭いがする。 …やっぱ気のせいかな。(たははと苦笑して) 」

李劉冥「――――どう見える?(あえて質問を質問で) 」

ナナ「へえ!お兄さん、兵士の方なんですか!?(わあと驚いてずいと近寄る)戦争…うん、確かに現在の世界は、争い事が絶えないね… お兄さんも、戦場で人を殺したこと…あるの…?(恐る恐る問いかけ) 」

李劉冥「うむ、ただの観光客よ。最近は戦争続きでゆったりすることもなかった。職場に申請し、こうしてバカンスを楽しんでおるというわけじゃよ。 」

ナナ「うーうん、違うよ。私他所から来たの。 へえ、心配してくれるんだあ。でも…お兄さんも、ここの人じゃあ、ないよね…?(ふふふと悪戯っぽい笑みを浮かべ) 」

李劉冥「(学生、・・・な)そうか・・・お主はここの国のものか?であるのなら、こんな時間に一人で出歩くなぞ、不用心ではあるな。 」

ナナ「…? ううん、いいよー。(はははと苦笑しながら)女王様かぁ~… えへへ、なんか嬉しいな。そう呼ばれるのは女の子の夢だもの。(ちょっぴり満足げに笑みを零す)…でも私にはなれないよ。だって、私、学生だもん。(優しいよ風で学生服のスカートが靡く) 」

李劉冥「ん、そうだが・・・・?・・・・いや、人違いならすまぬ。気を悪くせんでくれ。 」

ナナ「ス…(李劉冥の声に反応し歩みを止める)……?……?? (「私のこと?」と言いたげそうに小首を傾げ、不思議そうに李劉冥を見る) 」

李劉冥「呵呵、白の国の・・・"女王"殿であったかな?(ヒュッとブラックコーヒーの缶をゴミ箱に捨て) 」

ナナ「♪~(背後に手を組んだまま夜の閑散とした橋の真ん中を歩いている。両手には紙袋が握られており、鼻歌を歌いながら、時折天に浮かぶ月を仰ぐ) 」


―――青の国・街外れの橋―――


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最終更新:2015年11月21日 20:12